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街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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ウスラーダの16頭目の赤ちゃんの行動が示すその性別の予想

ウスラーダの16頭目の赤ちゃんの行動が示すその性別の予想_a0151913_19325558.jpg
昨年12月6日にウスラーダお母さんから誕生したこの16頭目の赤ちゃんだが、このレニングラード動物園は正式な性別判定を行っていないものの、雌(メス)なのではないかと考えているそうだ。 その根拠は同じ時期の雄の赤ちゃんと比較して体が大きくないからだということらしい。 
ウスラーダの16頭目の赤ちゃんの行動が示すその性別の予想_a0151913_19332987.jpg
ウスラーダは「男腹」とでもいったらよいか、今までの15頭の子供たちのなかで雌は3頭しかいないのである。 彼女が最後に雌を産んだのは、なんと今から14年前の2000年 が最後なのである。 それ以降誕生の9頭は全て雄である。 こういった極端な傾向から言えばこの赤ちゃんも雄ではないかと考えたくなるのだが、しかしレニングラード動物園が敢えてこの赤ちゃんが雌だと考えていることを、たとえそれが現段階で予想にすぎないにしても公表したからには相当の自信があってのことと思われる。
ウスラーダの16頭目の赤ちゃんの行動が示すその性別の予想_a0151913_19353767.jpg
確かに容姿から見れば、この赤ちゃんは雌のような感じにも見える。 しかしあのアイラが一般公開開始の日にすら、もう雌以外ではありえないという印象を強く周囲に発散していたほどまでにはこの赤ちゃんの容姿は明白に雌であるとまでは言い切れないようにも思うのである。
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私は容姿よりもその行動からこの赤ちゃんの性別を予想してみたいと思い、今日一日かなりの注意力を注いでみた。 ただしこれは、ウスラーダお母さん独特の母性というものを条件に考慮しなければならず、これについては別投稿を立てて考えてみることにしたい。
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私がウスラーダの育児をここレニングラード動物園で観察できたのは2009年生まれの双子のサイモンとサムソン、そして2011年生まれのロモノーソフの3頭である。 この3頭は全て雄であった。 この私の記憶しているこの3頭の行動と今回の赤ちゃんの行動を今日一日比較してみたのだが、やはり相当に異なっていることに気付かざるを得なかった。 まずその最たるものは、今回の赤ちゃんのウスラーダお母さんへのかなりの甘え方、そしてそれに対するウスラーダの反応である。
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母親が子供に接する場合に、その子供が雄であるか雌であるかによって母親の態度が異なる場合があることはララがマルルとポロロを産んで一般公開された後にまだ性別判定が行われなかった段階で触れたことがある。 ララお母さんは双子のマルルとポロロに対して母親としての権威を誇示することは極力避け、まるで同じ仲間ででもあるようにマルルとポロロに接していた。 その姿勢はイコロとキロルへの態度とは異なっていたのである。
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ウスラーダお母さん

このウスラーダは私のホッキョクグマの母親分類の一つの座標軸で言えば「理性型」のタイプである。 ララは「情愛型」である。 「理性型」のタイプの母親は子供たちに対して「正しいこととそうでないこと、行うべきこととそうでないこと」を示すことを優先する。 そして子供たちにそれに従わせる手段として母親としての権威を用いるのである。 一方、「情愛型」のタイプの母親は、子供たちとのスムーズな関係を優先することを第一に考え、子供たちには愛情を示しつつ穏便な態度で接する傾向が強い。 だから、「情愛型」のタイプの母親には母親としての権威は育児において必ずしも必要とはしないのである。 (*このホッキョクグマの母親像のタイプについては以前の投稿である、「『情愛型 』と『理性型』、『対象関与型 』と『対象非関与型』のそれぞれの母親像の違いを探る」に詳しく述べてあるのでご参照いただきたい。) 
ウスラーダの16頭目の赤ちゃんの行動が示すその性別の予想_a0151913_19381427.jpg
さて、この「理性型」の代表格であるウスラーダお母さんだが、サイモンやサムソンやロモノーソフといった雄の子供たちの側は母親に甘えた姿をあまり見せなかった。 ところが今回の赤ちゃんはウスラーダお母さんに非常に甘えるのである。 しかし、このことだけをもって今回の赤ちゃんがサイモンやサムソンやロモノーソフとは性別が異なるなどとは簡単には言えないだろう。 この今回の赤ちゃんのこうした姿の一部を今日の映像でご覧いただきたい。

ウスラーダお母さんに甘える赤ちゃん

ウスラーダお母さんにまとわりつく赤ちゃん

さて今度はウスラーダの側の態度である。 いつものウスラーダならばこういうシーンでは子供たちを冷徹に突き放したりしていたのだが今回は上の映像でご覧いただけるように、どうもそれほど厳しい態度をとっていないのが実に不思議でもある。 ご参考までに2012年9月に私がこの動物園で撮影したウスラーダと息子のロモノーソフの比較的同種のシーンの映像をご覧いただきたい。

ウスラーダお母さんの授乳をせがむロモノーソフ (2012年9月18日)

さらにこの下も同じ2012年9月の映像であるがロモノーソフは母親ウスラーダの権威の前には、なすすべもないのである。 特に開始後1分30秒当たりのシーンはこのウスラーダの母親としての権威がよく発揮されているように思える。

ウスラーダお母さんのおやつを欲しがるロモノーソフ (2012年9月16日)

つまりウスラーダお母さんはサイモンやサムソンやロモノーソフに対する態度と今回の赤ちゃんに対する態度が幾分異なっており、今回の赤ちゃんに対してはウスラーダのいつもの「母親の権威」を大きく振りかざしてはいないように見える。 これはララお母さんのイコロとキロルに対する態度とマルルやポロロに対する態度が異なっていたことと類似性があるように見えるのである。 この点においては「理性型」の母親も「情愛型」の母親も共通したものがあるようにも思う。 
ウスラーダの16頭目の赤ちゃんの行動が示すその性別の予想_a0151913_20363311.jpg
やや飛躍した考え方であり依然としてこれは仮説の域を出ないが、ホッキョクグマの母親は自分の子供が雄の場合と雌の場合ではそれに対する接し方が異なるのだと考えていいようにも思われる。 仮にこの考え方が正しいとすれば、明らかに今回の赤ちゃんはサイモンやサムソンやロモノーソフとは性別が異なる...つまり雌(メス)なのではないかと言えるようにも思う。
ウスラーダの16頭目の赤ちゃんの行動が示すその性別の予想_a0151913_21213721.jpg
つまり、この赤ちゃんの体格から性別を雌だと考えているレニングラード動物園の予想はやはり正しいのではないかということである。

Nikon D5300
AF-S DX NIKKOR 55-300mm f/4.5-5.6G ED VR
(May.3 2014 @ロシア・サンクトペテルブルク、レニングラード動物園)

(過去関連投稿)
女帝ウスラーダとシモーナ、コーラ、リアの三頭の娘たち ~ 偉大な母親たちの三代の系譜
ロシア・サンクトペテルブルク、レニングラード動物園のウスラーダの歩む道 ~ 再説: 繁殖可能年齢上限
ロシア・サンクトペテルブルク、レニングラード動物園で26歳の女帝ウスラーダが16頭目の赤ちゃんを出産!
ロシア・サンクトペテルブルク、レニングラード動物園のウスラーダの赤ちゃんの産室内映像が公開される
ロシア・サンクトペテルブルクのレニングラード動物園がウスラーダの赤ちゃんの産室内映像を一挙に公開
ロシア・サンクトペテルブルク、レニングラード動物園の女帝ウスラーダの15頭の子供たちの姿
ロシア・サンクトペテルブルク、レニングラード動物園のウスラーダの16頭目の赤ちゃんが遂に戸外へ!
by polarbearmaniac | 2014-05-04 04:30 | 異国旅日記

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