街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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ウィーンのシェーンブルン動物園にランツォ、そしてリンが無事到着  ~ 秋には「第三の個体」が来園

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ランツォ(左)とリン(右) 
Photo(C)Daniel Zupanc / Tiergarten Schönbrunn

すでに投稿しています通り、フィンランド・ラヌア動物園で生まれた2歳半の雄のランツォがオーストリア・ウィーンのシェーンブルン動物園に向けて先週の月曜日にラヌア動物園を出発したわけですが、先週の木曜日夜に無事シェーンブルン動物園に到着したそうです。 翌日の金曜日からは何度か屋外の展示場にも出してもらっているようです。 さらに昨日の日曜日にかねてからウィーンへの移動がささやかれていたオランダ・レネンのアウヴェハンス動物園の2歳半になる雌のリンもシェーンブルン動物園に無事到着したそうです。 そしてランツォとリンはすでにもう同じ展示場で初顔合わせをし、プールでも泳いでいる様子が伝えられています。 以下に、このシェーンブルン動物園に到着したばかりのリンの姿をご紹介しておきましょう。



5月23日に総工費9百万ユーロ(約11億円)を費やして建設中だったシェーンブルン動物園の新施設である「フランツ・ヨーゼフ・ラント ("Franz Josef Land")」 がオープンするわけで、それにあわせた形で二頭のホッキョクグマがシェーンブルン動物園に「戻ってきた」ということになります。
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フランツ・ヨーゼフ・ラント ("Franz Josef Land")

以前にもご紹介していましたが、リンの父親のヴィクトルはランツォの母親のヴィーナスと兄妹の関係にあるわけで、ランツォとリンは繁殖上の組み合わせとしては好ましいものではありません。 オーストリア放送協会(ORF) の報道によりますと、秋にでも三頭目の雄のホッキョクグマがこのシェーンブルン動物園に移動してくるそうです。 あそらくその雄がリンの将来の繁殖上のパートナーになるのでしょう。
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ランツォ Photo(C)Daniel Zupanc / Tiergarten Schönbrunn
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リン Photo(C)Daniel Zupanc / Tiergarten Schönbrunn

要するにこのシェーンブルン動物園はホッキョクグマの幼年・若年個体の成長の場としても機能するわけで(要するに日本で言えば、現在のおびひろ動物園、とくしま動物園、熊本市動植物園のような役割)、このシェーンブルン動物園で成長期を暮らすこうした若いホッキョクグマたちは将来、繁殖計画によって他の動物園の個体との交換が行われる予定だそうです。 ですからその場合ランツォは他園に移動するということになるでしょう。 このランツォとリンはいずれも二歳半です。 私は一般公開して間もない時期の2012年3月にオランダでこのリンと、そして彼女の双子である雄のルカに会っていますが(「レネン、アウヴェハンス動物園でホッキョクグマたちに御挨拶」、「アウヴェハンス動物園のフギースお母さんの双子の性格」、「フギースお母さんの性格と子育て」 をご参照下さい)、その時は性別がまだこの二頭の性別が判明していませんでしたが、「冒険家」ちゃんと「甘えっ子ちゃん」というように性格は分かれていました。「甘えっ子ちゃん」のほうが雌のリンなのだろうと思います。 その時に私が撮影した映像を以下にご紹介しておきましょう。



二歳半といえば、アイラより一歳年下でマルルとポロロより一歳年上です。 日本ではこのあたりとそれからその上の世代の幼年・若年個体は雌ばかりでパートナーの雄がいません。 欧州ではいわゆる「ロストック系」を中心に雄がだぶついています。 このあたりを両者うまく解決することは可能ですが、日本サイドは「基準」(この場合、複数頭飼育は当然ですので面積的にはマニトバ基準を超えたEAZAの基準)を満たす新施設新設は不可欠であるわけです。 冬場には雪で覆われる飼育展示場の光景というものが対欧州へのアピールにもなるでしょうから、やはり北海道でしょうね。

(資料)
Tiergarten Schönbrunn (News: May.12 2014 - Die Eisbären sind da!)
ORF (May.12 2014 - Eisbären in Schönbrunn angekommen)
Die Presse (May.12 2014 - Eisbären im Tiergarten Schönbrunn angekommen)
Kurier (May.12 2014 - Eisbären Lynn und Ranzo ziehen nach Schönbrunn)
Krone.at (May.12 2014 - Bewohner der neuen Eisbärenwelt in Wien angekommen)

(過去関連投稿)
(*以下、ランツォ関連)
フィンランド・ラヌア動物園でホッキョクグマの赤ちゃん誕生!
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フィンランド・ラヌア動物園のランツォの移動先選定が難航か? ~ 綻びを生じた(?)欧州の繁殖計画
フィンランド・ラヌア動物園のランツォの移動先選定が混迷を極める ~ 繁殖成功後の次なる壁
札幌・円山動物園の新ツインズ(ノワールとブランシュ – 仮称)、そして他のララの子供たちの将来 (上)
札幌・円山動物園の新ツインズ(ノワールとブランシュ – 仮称)、そして他のララの子供たちの将来 (中)
フィンランド・ラヌア動物園のランツォがオーストリア、ウィーンのシェーンブルン動物園へ  
フィンランド・ラヌア動物園のランツォがウィーンのシェーンブルン動物園に向けてラヌア動物園を出発

(*以下、リン関連)
オランダ・レネン、アウヴェハンス動物園でホッキョクグマの赤ちゃん誕生!
オランダ・レネン、アウヴェハンス動物園でのフギースの今回の出産を過去のデータと比較する
オランダ・レネン、アウヴェハンス動物園で誕生の赤ちゃん、順調に3週間目へ
オランダ・レネンのアウヴェハンス動物園で誕生の2頭の赤ちゃん、順調に生後8週間が経過
オランダ・レネン、アウヴェハンス動物園で誕生の2頭の赤ちゃんが遂に戸外へ
オランダ・レネン、アウヴェハンス動物園の2頭の赤ちゃんのその後の映像
オランダ・レネン、アウヴェハンス動物園の2頭の赤ちゃんの水に親しみ始めた映像
オランダ・レネン、アウヴェハンス動物園での三世代同居の試み
*以下、2012年訪問 の現地レポート
レネン、アウヴェハンス動物園でホッキョクグマたちに御挨拶
アウヴェハンス動物園のフギースお母さんの双子の性格
フギースお母さんの性格と子育て

(*以下、欧州との個体交換関連)
札幌・円山動物園の新ツインズ(ノワールとブランシュ – 仮称)、そして他のララの子供たちの将来 (上)
札幌・円山動物園の新ツインズ(ノワールとブランシュ – 仮称)、そして他のララの子供たちの将来 (中)
ドイツ・ハノーファー動物園に2012年夏に札幌・円山動物園が提示した交換候補個体はアイラだった!
by polarbearmaniac | 2014-05-12 23:45 | Polarbearology

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