街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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アルゼンチン・メンドーサ動物園のアルトゥーロの近況  ~ 動物園の情報発信不足が憶測を呼ぶ

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アルトゥーロ Photo(C)Clarín /Delfo Rodríguez

アルゼンチンのメンドーサ動物園で飼育されている28歳の雄のアルトゥーロ (Arturo) を真夏の気温の高いメンドーサ動物園から飼育環境・気候のよいカナダ・マニトバ州のアシニボイン公園動物園に移動させて余生を過ごさせてやろうという動物保護活動団体を中心とした運動はアルゼンチン国内で盛り上がりを見せたものの、カナダが法令上の理由でアルトゥーロの「輸入許可」出せない状況であることが判明し、そして一方でアルゼンチン国内での専門家会議で老齢のアルトゥーロに麻酔をかけて長時間移送するリスクを理由としてアルトゥーロはメンドーサ動物園に留まるという結論が出てこの問題は事実上決着していますが、この一連の経緯についてはそれを追いかけた過去関連投稿をご参照下さい。 この専門家会議での結論が出たあたりのところまでをAFPのニュース映像で振り返ってみることにします。



さて、このアルトゥーロをめぐってまたひと騒ぎが持ち上がっています。先週アメリカの女性歌手であるシェール (Cher) が自己の Twitter で非常に感情的なつぶやきを行い物議をかもしたわけでした。 それは以下です。
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要するに、アルゼンチンのクリスティーナ・エリザベット・フェルナンデス・デ・キルチネル(Cristina Elisabet Fernández de Kirchner)大統領に対して「大統領はホッキョクグマのアルトゥーロを拷問にかけても平気なのね。アルトゥーロが死んだらあなたの手はアルトゥーロの血で染まるのよ...」 とかなんとか、実に意味不明な Tweet です。 要するに自分よりも美人である女性大統領に対するかねてから抱いていた屈折した感情をこのアルトゥーロの問題にひっかけてぶっつけたのでしょう。 それそのものは実に取るに足らない行為でしたが、そういったことをきっかけにして、またこの「アルトゥーロ問題」に関心が集まったわけでした。
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最近のアルトゥーロ Photo(C)Clarín

実はこのメンドーサ動物園で最近ライオンが死亡し、その死因にあらぬ憶測が生まれたり、アルトゥーロも外の飼育展示場に姿を見せない期間が長く続いたりしていたことと、こういったことにメンドーサ動物園の的確で迅速な情報発信が十分でなかったことも人々の間で疑惑が生まれた原因だったようです。 アルトゥーロは年齢からくる若干の腰椎の障害があり尿の採取を毎日行って彼の健康状態をモニターしているそうです。 しかしそれ以外は彼はいたって健康であるとメンドーサ動物園は説明しています。そういった園長さんの説明を聞いてみることにします。

 

この下の映像は今年に入ってからのアルトゥーロの姿ですが、動物保護活動家の制作した映像ですのでかなりバイアスがかかっていることは当然ですが、一応ご紹介しておきます。 この映像の音楽は余計ですから音声はoff をお勧めします。



地元のファンもアルトゥーロを大事に思うならメンドーサ動物園の飼育環境のより一層の整備を要求していくべきですし、メンドーサ動物園もそういったアルトゥーロの日々の様子についてもっと頻繁に情報を発信すべきでしょう。 アルトゥーロはもう28歳になっていますから、とりわけ彼の健康状態に関する情報は出し惜しみなく迅速に発信してほしいものです。

それにしても昨年秋の円山動物園のマルル転落事故に対する同園の情報発信の鈍さには驚きました。情報を出すのが遅いと、たとえそれが正確なものであっても評価は低いものとなり、かえって批判をよんでしまうわけです。

(資料)
Clarín.com (May.30 2014 - La respuesta de Cristina a Cher por el oso Arturo) (May.31 2014 - "El oso polar está bien pero es viejo para ser trasladado a Canadá") (Jun.1 2014 - Mendoza: dicen que el oso polar es viejo para dejar el Zoo)
La Razón (May.31 2014 - El zoo de Mendoza llevó tranquilidad por el oso polar Arturo)

(過去関連投稿)
南米アルゼンチン・メンドーサ動物園のペルサ逝く
アルゼンチン・ブエノスアイレス動物園のウィネル、真夏の気温上昇による高熱症で亡くなる
南米アルゼンチン・メンドーサ動物園のアルトゥーロ ~ 同国唯一となったホッキョクグマの健康への配慮
カナダ・アシニボイン公園動物園がアルゼンチン・メンドーサ動物園のアルトゥーロを引き取る交渉を開始
アルゼンチン・メンドーサ動物園がアルトゥーロの引き取りについてのカナダ側の申し出を断る
アルゼンチン・メンドーサ動物園のアルトゥーロのカナダ移送に現実味 ~ カナダ側の獣医チーム受け入れ
アルゼンチン・メンドーサ動物園のアルトゥーロのカナダ移送が不可能となる ~ “The case is closed.”
アルゼンチン・メンドーサ動物園のアルトゥーロ、同園に留まることが決定 ~ 専門家会議の結論出る
by polarbearmaniac | 2014-06-02 23:30 | Polarbearology

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