街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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ロシア・ノヴォシビルスク動物園のシルカの入手を狙う日本の動物園 ~ 売却金額は三千万円前後か?

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シルカ Photo(C)Бердск-онлайн

ロシア・西シベリアのノヴォシビルスク動物園で昨年12月11日にゲルダお母さんから誕生した雌 (メス)の赤ちゃんのシルカですが、飼育展示場における様子がライブカメラで見ることができるようになった件についてはすでにご紹介していますし、すでに多くの方が見ていらっしゃるだろうと思います。 あらためてご紹介してきますが、こちらをクリックして下さい。 最近はこの映像を見ている人の数が増えたためか、黒い画面から映像がスタートするまで若干の時間がかかる場合もありますが映像そのものはいたってスムーズに配信されています。 この映像の配信に協力したのはTTK西シベリア (ТТК-Западная Сибирь) 社ですが、この会社はこのライブ映像を早送りしたものを公開していますので、それをご覧いただきましょう。 映像は5月25日のものです。 シルカがゲルダお母さんに甘えまくっている様子がよくわかります。



さて、実はこうした親子の姿の裏側で、このシルカをロシア国外にに売却する話が進もうとしているというのも、ちょっと複雑な気持ちです。 ロシアのインテルファクス通信のノヴォシビルスクからの最新の報道によりますと、ノヴォシビルスク動物園のシロ園長は同通信社のインタビューに対して、実はこのシルカを購入したいと申し入れてきている動物園が複数あり、それはブラジル、日本、中国の動物園であることを明らかにしています。 このシルカをいったいどれほどの金額で売却するかについてシロ園長はその金額を明らかにしていませんが、実はその有力なヒントになることを語っています。 昨年6月よりモスクワ動物園からノヴォシビルスク動物園に移動・待機していた一歳の雄の幼年個体が今年の2月にノヴォシビルスク動物園から中国・青島の極地海洋世界に移動した件については「ロシア・西シベリア、ノヴォシビルスク動物園の幼年個体は中国・青島市の極地海洋世界が仕向地と判明」という投稿でご紹介していました。 この雄(オス)の個体の売却金額は12万5千ドル(邦貨換算で1250万円)だったことをシロ園長は今回初めて明らかにし、そして雌(メス)の個体、つまり今回のシルカの売却の場合ならば雄の個体の金額の2~3倍(つまり邦貨換算で2500万円から3750万円)になると発言しています。
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シルカ Photo(C)Бердск-онлайн

まず、今年2月に中国・青島の極地海洋世界に移動した雄ノ幼年個体(このときには2歳になっていたわけですが)はモスクワ動物園に所有権があったわけで、ノヴォシビルスク動物園はそれを預かったわけですから、12万5千ドル(邦貨換算で1250万円)というのはモスクワ動物園が中国に幼年個体を売った売却金額か、それともノヴォシビルスク動物園が一度この個体の権利をモスクワ動物園から獲得した後に中国に売った金額かのどちらかはわかりませんが、いずれにせよ中国側はロシア側に12万5千ドル(邦貨換算で1250万円)を支払ってこの雄の幼年個体を購入したわけです。 実は昨年からいくつかの投稿の中でロシアの複数の動物園がホッキョクグマの雄の幼年個体の相場として挙げていた金額とこの金額は近いわけで、それらの事実から考えるとシロ園長の言うこの12万5千ドル(邦貨換算で1250万円)という中国への売却金額は間違いないものと思われます。 この金額が雄の幼年個体一頭の相場であるからこそシロ園長はそれを隠す必要がないわけです。 2009年に男鹿水族館が動物商との間で雄のホッキョクグマ購入の契約を締結していた件は先日の投稿でもご紹介していましたが、その契約金額は1630万円でした。 それが売買契約でありいったん動物商が個体の所有権を得て転売する形をとるために利益として上乗せする金額があることを考慮すれば、2009年の段階で輸送費用を含めても1630万円という契約金額はおおむね妥当だったということです。 (ホッキョクグマはもっと高額なのだと主張する人は、そう言わねばならない理由があってのことでしょう。)
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シルカ Photo(C)Бердск-онлайн

さて、ノヴォシビルスク動物園はこの雌(メス)のシルカを邦貨換算で2500万円から3750万円の間で売却したいということですが、日本のどの動物園が手を挙げているのでしょうか? 上野動物園と言いたいところですが、上野が欲しいのは雌ではなく雄です。 しかも幼年個体ではなくデアのパートナーになりうる若年個体です。 このシルカの父親のクラーシン(カイ)の母親はサンクトペテルブルクのあの女帝ウスラーダです。 シルカの母親であるゲルダの母親は血統登録上はモスクワのシモーナとなっていますが実はムルマ(豪太の母)であることが極めて濃厚であることはすでにご紹介しています。 いずれにせよ日本の動物園にはシルカと同血統である個体は何頭も飼育されています。 雌のシルカのパートナーとなりうる雄は「アンデルマ/ウスラーダ系」や豪太の息子では難しく、そうなるとララファミリーの雄、つまりイコロとキロルぐらいでしょう。 しかし年齢差がありますね。 シルカが繁殖可能となるまでにはあと5~6年が必要です。 それまでイコロやキロルを放置するわけにはいかないでしょう。 白浜のアドベンチャーワールドには昨年誕生して人工哺育されている雄の個体がいますが、このシルカと同じ年齢です。 となれば可能性としてはあるかもしれませんが、あそこではホッキョクグマにそれだけの金はもう払わないでしょう。

ゲルダお母さんも父親のクラーシンもまだ6歳です。 これからまだまだ繁殖に成功するでしょう。 ですから今回このシルカが日本に来ないとしても、いつか必ずこのノヴォシビルスク動物園で誕生した個体が日本に来ることになると思います。 そしてその個体のパートナーはララファミリーになる可能性は大きいでしょう。 つまりララお母さんがこれから産むであろう子供のパートナーとなるだろうということです。

さて、いよいよ話は風雲急を告げてきました。 非常に複雑な気持ちでゲルダお母さんとシルカのライブ映像を眺めているところです。 しかしそれにしても、日本というのはホッキョクグマ飼育に関してはやはり後進国です。 いなければ海外から買うという従来からの意識と発想で、自国内での繁殖計画の遅れはいかんともしがたいところです。

(資料)
Новосибирские новости (May.29 2014 - Шилка онлайн и льготные авиабилеты в Крым интересуют новосибирцев)
Интерфакс - Россия (Jun.4 2014 - Первый в мире электронный путеводитель заработал в зоопарке Новосибирска)
Честное слово (Jun.4 2014 - Такого гида нет нигде в мире)

(過去関連投稿)
ロシア、ノヴォシビルスク動物園でホッキョクグマの赤ちゃん誕生! ~ ロッシーの双子兄弟が父親となる
ロシア・西シベリア、ノヴォシビルスク動物園で誕生の赤ちゃん、ゲルダお母さんと共に初めて戸外へ!
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(*中国に移動した雄の幼年個体関連)
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ロシア・西シベリア、ノヴォシビルスク動物園にモスクワ動物園から雄の幼年個体が到着 ~ 謎と暗黒の闇
ロシア・西シベリア ノヴォシビルスク動物園に移動したモスクワ動物園生まれの幼年個体の姿
ロシア・西シベリア、ノヴォシビルスク動物園で待機中の2歳の雄の幼年個体 (豪太の弟) が中国へ
ロシア・西シベリア、ノヴォシビルスク動物園の幼年個体は中国・青島市の極地海洋世界が仕向地と判明
by polarbearmaniac | 2014-06-04 22:30 | Polarbearology

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