街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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ロシア・西シベリア、ノヴォシビルスク動物園のゲルダお母さんとシルカとの関係を探る ~ 映像分析は難解

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シルカ Photo(C)RIA NOVOSTI

昨年12月11日にロシア・西シベリアのノヴォシビルスク動物園でゲルダお母さんから誕生した雌 (メス)の赤ちゃんのシルカですが、ライブカメラでこの親子の様子が逐次配信されていることはご存じの通りです。 技術的な問題で配信が一時中断したことはありましたが、全体としては実にスムーズに映像が送られてきています。 ホッキョクグマ親子の姿がこうして24時間にわたって高精細度の画像で配信されるということは画期的なことだと思います。 今後他の動物園でも是非やっていただきたいと思いますね。

実はこのノヴォシビルスク動物園のゲルダお母さんとシルカのライブ映像についてですが、欧州やアメリカではほとんど全くといってよいほど話題になっていないのが不思議です。 何故でしょうか。 この映像の存在について紹介されていないということが理由なのかもしれません。 欧州やアメリカにとってロシアの動物園は情報が少なく異質な世界だと認識されているようです。 さらにロシア語という言語は印欧語族ではありますが、キリル文字を用いるかなり特殊な言語だと認識されているのでしょう。 欧州のファンの方々が陸続きのロシアにホッキョクグマに会いに行くというケースは実はあまり耳にしません。 私はその理由はロシア語という言語の問題など以上におそらく、欧州からは気楽に自動車で行くことが難しい距離にあるからなのだと考えます。 さりとて飛行機に乗ってまで見に行こうという考えはおきないということです。 私も欧州で暮らしていた時には自分で車を運転して遠いモスクワまで行こうなどという発想は全くありませんでした。 欧州というのは我々が想像するよりもはるかに車社会なのです。 移動に自動車の利用を発想の中心に据えているわけで、自動車の利用できない距離の場所には関心が急に薄まってしまうということだろうと思います。 (*追記 - それからちなみにロシアでは、空港の航空会社のカウンターと大きなホテルのフロント以外では英語は本当に見事なまでに通じません。 本当に見事なまでにです。 モスクワの中心部にある大きな地下鉄の駅で切符を買おうとしても英語は全く通じません。ですからいつもアメリカ人観光客が立ち往生しています。 モスクワ動物園の入場券売り場のカウンターでも英語は全く通じません。 ですからロシアの他の動物園の入場券売り場などなど推して知るべしです。 地下鉄にせよ動物園にせよ、そもそもチケット売り場のおばさんたちが英語など理解しようなどという気持ちを毛頭持っていないわけです。 ところが北京動物園の入場券売り場では英語は良く通じます。 北京動物園の場合はパンダをお目当てにして訪れる外国人が多いからでしょう。 ロシアを旅行されようという方はそれなりの覚悟をして下さい。 郷に入っては郷に従えなのです。)

さて、このライブ映像で見るゲルダお母さんとシルカとの関係ですが、私の見たところ一筋縄ではいかないように思えます。 どういうことかといいますと、この親子の関係の核心部分がどこなのかについて見定めにくいということが理由に挙げられます。 ゲルダお母さんは私独自の母親分類で言えば、まず「理性型」ではないように見えます。 ですから「情愛型」か、あるいは「中間型」のどちらかでしょう。 「対象関与型」か「非対象関与型」かですが、これは後者の可能性の方が高く見えます。 ここでいくつかの映像を見てみましょう。



上の映像は、ゲルダお母さんがゆったりと泳いでいるにもかかわらずシルカは前半はそれを見ているものの後半はそれにはあまり関心がないという様子です。 次の映像もパターンとしては比較的同じです。



ゲルダお母さんがシルカを遊びに誘っているようにも見えません。次も同じパターンのシーンです。



これらからは正直言って何かを引き出すことは難しいです。 しかし何か核心部分に近いものがあるのかもしれません。 次はシルカが一頭で遊んでいる映像です。



ゲルダお母さんはまるでウスラーダのようにゆっくりと歩き回っていますね。 この下は授乳のシーンです。



以前に、授乳中に赤ちゃんの体を舐めるのが「情愛型」の特徴だと書いたことがありますが、上のシーンではゲルダお母さんは特に赤ちゃんの体を舐めてはいません。 だから「情愛型」ではないとも言い切れないようにも思います。

要するにこれらの映像ではゲルダお母さんとシルカとの関係の核心部分についてはよくわからないということです。このゲルダお母さんは初産で育児初体験ですが、自分の生活の全てをシルカとの関係に費やしているというわけではないことだけはよくわかります。ですから、そういた意味ではララやシモーナとは違った母親のようにも見えます。一方で、ウスラーダのように育児の全部を自分の生活の一部として処理する巧みさがあるようにも見えません。まだ経験不足で自分の育児のやり方を確立していないと考える方が当たっているようにも見えます。ライブカメラの映像は映像として、やはりどうしてもこの親子は自分の眼で見てからその関係を判断したいように思います。

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by polarbearmaniac | 2014-06-19 01:00 | Polarbearology

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