街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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ウクライナ南部・ムィコラーイウ動物園のジフィルカの近況 ~ ロシアの狙う自国内、旧ソ連圏内の展示充実

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ジフィルカ Photo(C)НикLife

2011年11月27日にモスクワ動物園でシモーナが産んだ三つ子の一頭である雌のジフィルカ (Зефирка) は3月末にウクライナのムィコラーイウ動物園に移動した件や、その後の様子などは逐次投稿してきたつもりです。 なにしろ国内の政治が安定に欠くウクライナのような国の動物園に移動させられた理由は表向きには報じられているにせよ、そこの何か不可解な事情が存在していることは否定できません。 このジフィルカの将来のパートナーとして一時期名前の挙がったチェコ・ブルノ動物園のナヌクについてはその後本当にこのムィコラーイウ動物園に移動してくるのかについて非常に視界不良な情勢であることも不思議な話です。 こういったスキームを構築していると思われるモスクワ動物園の意図も良く読めないわけです。 そういったなかで最近のジフィルカの様子を伝える映像を三つほどご紹介しておきます。







ここ数年、つまり2010年以降の飼育下のホッキョクグマの国境を越えた動きを見ていますと、今まで飼育下のホッキョクグマの最大の「輸出国」であったロシアは自国内、もしくは旧ソ連圏内にホッキョクグマを留めておこうという傾向が近年見てとれます。 それ以外の地域に「輸出」する場合は中国がほとんどであり例外としてドイツのベルリン動物公園にトーニャとヴァロージャが移動(「輸出」)したくらいですね。 あとはと言えばレニングラード動物園のサムソンが南朝鮮のソウル動物園に移動しましたが、最終的にはすぐに彼はやはり中国(長春)に移動しています。 最近よく報道される「新興国の動物園の参入によるホッキョクグマの価格高騰」ですが、その新興国というのは結局のところは中国だけだというわけです。 その中国も今年ロシアから輸入した雄の幼年個体は12万5千ドルで購入したわけです。 ですからその中国ですらもホッキョクグマの価格をつり上げているということはないということです。 ましてや、ある年におけるある一つの都市で付いた一頭のホッキョクグマの値段が「市場価格」でなどは有り得ないわけです。 それを「市場価格」であると主張したい人はそう言わねばならない後ろめたい理由でもあるのでしょう。
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ジフィルカ Photo(C)Николаевский зоопарк

今までも何回か投稿していますがロシアは自国内、及び旧ソ連圏内で複数の動物を複数の動物園間で移動させるスキームの構築に熱心なように見受けられますが、繁殖計画としてはいささか場当たり的ではあるものの、そういった自国内及び旧ソ連圏の地域の動物園の展示動物を充実させたいという意向であるのは間違いではないでしょう。 つまり、いくら高い金額を提示してもロシア(主にモスクワ動物園)は、それだけでホッキョクグマを売却するというわけではないことを示しています。 つまり、「需要増による価格高騰」という「市場メカニズム」が最近はあまり働かなくなっているとみて間違いないことは昨今の状況から容易に導き出されるわけです。 男鹿水族館との間で訴訟になった動物商がモスクワ動物園から何と言われたかを思い出してみて下さい。 つまり個体交換のスキームを構築させてその中でホッキョクグマを国外に出すという意図が見えてくるわけです。 ここに築地の魚市場のような、「需要増による価格高騰」のメカニズムは作動しにくいのが現状というわけです。 

現にこのジフィルカは雌の幼年個体でありロシア国外の動物園からの入手希望は多かったはずで価格も高い値札が付いたであろうことは間違いないにもかかわらず、国外には売却されずにこうして旧ソ連圏内でホッキョクグマが不在の状態が続いていた・ムィコラーイウ動物園に「条件付き無償契約」で移動してきたわけです。 (*余談になりますが、この男鹿水族館に訴えられて敗訴した動物商ですが、モスクワ動物園からこういう個体交換の提案を受けたということは、意外にもかなりまともな動物商だったと言えるでしょう。 さすがは大手有名動物商だけのことはあります。 つまりモスクワ動物園が近年考えていることを結果的には聞きだした形になり、そして同園からある程度の信頼を得ているということを意味しているわけです。)

動物商というのは動物の売買を行って利益を上げるだけの商売ですから、動く金額が大きければより儲かるということにすぎません。 そこに展示動物の充実とか繁殖計画という視点などは不要です。 武器商人が武器を売買して利益をあげる商売であることと同じで、自分の売った武器がどの場所で使用されて何人の人間を殺すであろうかということなどは関係がないのと同じなわけです。

(資料)
НикLife (Apr.5 2014 - В николаевском зоопарке горожан поздравили с весной и показали чиновникам Зефирку)

(過去関連投稿)
モスクワ動物園のシモーナお母さんの三つ子の一頭の雌がウクライナ・ムィコラーイウ動物園に移動へ
ウクライナ、ムィコラーイウ動物園がホッキョクグマの輸入許可を取得するものの立ちはだかった難題
ウクライナのムィコラーイウ動物園にモスクワ動物園のシモーナの三つ子の一頭の雌のジフィルカが到着
ウクライナ・ムィコラーイウ動物園にモスクワ動物園から到着したジフィルカを伝えるニュース映像が公開
ウクライナ・ムィコラーイウ動物園にモスクワ動物園から到着したジフィルカが元気に展示場に登場
ウクライナ・ムィコラーイウ動物園に来園したジフィルカの近況 ~ 場当たり的なEARAZAの繁殖計画か?
ロシア南部・ロストフ動物園とウクライナ・キエフ動物園との間の紛争 ~ 「ホッキョクグマ詐欺」事件の概要
チェコ・ブルノ動物園のコメタがロシア・ロストフ動物園へ ~ ブルノ、モスクワ、ロストフの巧妙な三角関係
ウクライナ南部・ムィコラーイウ動物園に来園したモスクワ動物園生まれの雌のジフィルカの人気高まる
by polarbearmaniac | 2014-08-06 23:30 | Polarbearology

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