街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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ロシア極北・ネネツ自治管区のウスチ・カラ村に現れたホッキョクグマ ~ 人とホッキョクグマの生命の尊重

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ウスチ・カラの村に現れたホッキョクグマ 
Photo(C)Пресс-служба администрации Заполярного района
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ネネツ自治管区

ロシア北西部のネネツ自治管区にあるカラ海に面したウスチ・カラ (Усть-Кара) という人口500人ほどの村落の近くの海岸に今月初めから一頭の若年個体と思われるホッキョクグマが出没するようになり、そしてそのホッキョクグマは次第に村に近づき家屋近くを歩き回るようになったそうです。 この個体の姿を撮影した映像と写真を下でご覧いただきましょうか。



さて、このホッキョクグマの若年個体ですが、なかなか物腰が柔らかいといいますか、村民たちが近づいたり写真を撮ったりしても意に介さないという様子で大変に落ち着いた態度を示すホッキョクグマだったそうです。 村民とこのホッキョクグマは一種の「共存関係」のようなものができつつあったようです。 この若年個体は堂々と村の通りを歩き回り、そして人家の玄関やベランダにも上がるようになっていたそうです。
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Photo(C)Пресс-служба администрации Заполярного района

そうこうするうちに村民が村から3キロほどの距離の場所で三頭のホッキョクグマの成年個体の姿を目撃したそうで、この成年個体たちもが村に現れることはさすがに好ましいことではないと村長さんは考えたようです。 村にどんどんホッキョクグマたちがやってくるという危険性もあるわけです。 さらに、現在この村に居座っている若年個体もいつ何時人間に対して攻撃的な態度を示し始めるかわかりません。 村長さんは村に居座っているこの若年個体になんとか村を去ってもらわねばならないと考えたわけでした。
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Photo(C)Пресс-служба администрации Заполярного района

村長さんはWWFロシア支部のホッキョクグマ・パトロール(медвежьего патруля) のチームにどうやったらホッキョクグマを村から去ってもらうことができるかを相談し、何かで驚かせるのが一番良い方法であることを知ったそうです。 そして、村にあるバイクや自動車のエンジン音を大きく響かせてホッキョクグマを追い払うという方法を行ったそうです。 この若年個体のホッキョクグマは逃げ出し、そしてカラ海を泳いでいった姿が確認されたそうです。 こうすることによって人間とホッキョクグマの両方の命を安全にするというのがWWFロシア支部のホッキョクグマ・パトロールチームの考えているやり方だということをWWFロシア支部に代表者が述べています。 人間に危害を与えていないホッキョクグマを射殺するなどという方法は違法かつ最悪のやり方ですから、まあこれでよかったということでしょう。 WWFロシア支部に言わせますと、麻酔銃を撃って眠らせて遠い場所に連れて行くのは、結局そのホッキョクグマはまた村に戻ってくるという結果となるという見解だそうです。 ホッキョクグマを驚かせて追い払えば、その場所が危険であることをホッキョクグマは理解し、その後はそこに戻ってこなくなるので、ホッキョクグマにとっても人間にとっても、そのそれぞれの命を守るための最も良い方法だとも言っています。

(資料)
Администрация муниципального района «Заполярный район» (Aug.2014 - Белый медведь гуляет по Усть-Каре)
Няръяна вындер (Aug.5 2014 - В Усть-Кару забрел молодой белый медведь)
Всемирный фонд дикой природы (WWF) (Новости Aug.4 2014 - Белые медведи пришли к людям сразу в двух регионах России) (Новости Aug.11 2014 - Помогите белым медведям вернуться домой!)
Капитал страны (Aug.11 2014 - Гулявший по Усть-Каре белый медведь покинул поселок)
ЧУМотека (Aug.6 2014 - Новые приключения Умки)

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by polarbearmaniac | 2014-08-14 23:00 | Polarbearology

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