街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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上野動物園、引き続きユキオとデアとの間の繁殖を狙う意向を堅持 ~ 混迷深まるデアのパートナー問題

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デア (2014年8月17日撮影 於 恩賜上野動物園)

面白い記事が出ています。 人材情報サービスのポータルサイトであるマイナビに上野動物園の「ホッキョクグマとアザラシの海」の8月19日付けの訪問記の記事があります。 これを書かれた方はホッキョクグマにそれほど事前の知識を持っていなかった方のようですが、かえってそれが幸いしてか、いろいろの情報に先入観無しに率直に接した記事になっています。 その記事には何枚かの写真をアップされており、そして飼育員さんにいろいろ話を聞いた内容も述べられていますが、その中で上野動物園でのホッキョクグマの繁殖について、「2頭が今後ペアリングによる繁殖に至る可能性もあるという。 ただ、これまではデアがまだ若かったことなどもあって、引き続き相性など様子を見ながら判断することになるそう。」 と触れています。 これは私にもなんとなく聞こえてきていた話の内容とほとんどと同じなのですが、こうやってネット上に記事が出ましたので上野動物園の意向というものが改めて確認できたことになります。
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デア (2014年8月17日撮影 於 恩賜上野動物園)

つまり、デアのパートナー問題というのはやはり膠着状態だということですね。 そして、これからどうしようとするのかはまた具体的には見えてきていないような印象を持ちます。 デアが来日した際にはあれほどデアのパートナー獲得への意欲と自信を示していた上野動物園ですが、現在のこうした状態は相当に不本意だろうと思います。 つまり現在の状況は、ララファミリーの雄の個体の入手は完全に暗礁に乗り上げ、そして多分今年中の海外個体の入手もないということを意味していることになります。 上野動物園に大きな誤算があったことになるわけです。 この記事を書かれた方は 「ユキオ、26歳とかなり高齢だ。」 と写真に非情なキャプションを入れていますが、確かにユキオは「高齢」ではあるものの「かなり高齢」とまでは言えません。 ただしかし正直なところ繁殖に関しては相当に厳しい年齢です。 ですから私は上野動物園(の飼育員さん)の言うことはあくまでも同園の表向きの方針を語っただけだろうという理解をしています。 そして表向きではない本心のところでは実は上野は非常に困っているという印象を受けます。
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イコロ (2013年1月20日撮影 於 おびひろ動物園)

円山動物園(札幌市)はイコロを「天下の」上野動物園に出さないことについては、これは相当に腹の据わった方針のようですね。 何故そうなのかについて私は以前の投稿でも推測を入れてみたわけですが(過去関連投稿参照)、やはりララファミリーの若年・幼年個体を海外の個体と交換することに固執していると考える以外に有力な理由は見当たらないように思います。 あるいはひょっとして、円山動物園よりも上の力が働いていて同園のそういう方針を後押ししているからだという可能性も無くはないかもしれません。 私はこの方針それ自体は間違ってはいないと思います。 それからマルルとポロロの「二年預託」についてですが、私は熊本や徳島に今年の3月から今まで5回ずつそれぞれに行って得た印象では、この「二年間」という期限が熊本・徳島サイドに強烈に刷り込まれているのに驚いているわけです。 「どうせ延長になるのだ」 という認識(期待?)をこの二園はほとんど抱いていないように感じます(現段階ではこの二頭が実際どうなるかはわかりませんが)。 ただし私はこの二園はマルルとポロロを二年間しっかりと飼育して実績を上げれば次のララファミリーの幼年個体にまた来てもらえるという考えがあるように思うわけです。 現在のマルルとポロロに対するこの二園の破格の 「VIB (Very Important Bear)」 待遇を見ていますと、おそらくそのようになる確率は大きいでしょう。 特に徳島ならば今後において新たなララファミリーの幼年個体二頭の同時預託が十分に可能でしょう。 こういったことで、ここでも円山動物園はこのマルルとポロロを海外個体との交換候補として考えていることは確実と考えてよいと思われます。 それも、私が考えている以上に確固とした方針であるらしいことが、こういったことからも窺わえるわけです。

さて、こうしてララファミリーの若年個体の入手が極めて困難である現状では上野動物園のデアの「真のパートナー」探しはいよいよ混迷を極めそうです。 やはり海外個体でしょうか。 2016年の11月にはモスクワ動物園生まれの三つ子の一頭である雄の「冒険家ちゃん」は5歳になります。 そうなると一応は翌2017年の春には繁殖可能になるはずです。 やはりこの「冒険家ちゃん」をデアのパートナーとするしかないのかもしれません。 「アンデルマ/ウスラーダ系」がさらにまた一頭増えることにはなります。 これまでの間、一応ユキオを表向きのデアのパートナー扱いにして時間を稼ぐということになるのでしょうか?

(資料)
マイナビニュース (Aug.19 2014 - 「東京都・上野動物園の"水と氷の回廊"で大迫力の巨大白クマを見てきた」

(過去関連投稿)
イタリア・ファザーノ、サファリ動物園での2008年産室内映像を振り返る ~ デア (現 上野動物園)の誕生
イタリアよりデアが元気に上野動物園に到着
上野動物園がイタリアのマスコミ取材に対して、デアのパートナーに雄の若年個体導入の意向を語る
久方振りの上野動物園でデアとの対面 ~ 姉に瓜二つのラテン的美女の将来のパートナーは?
盛夏の上野動物園、日曜日午後のデアの姿
花の季節の到来した上野、女神デアの日曜日 ~ 「知性」から「象徴的存在」への真直ぐな階段
上野動物園の女神デア、その神性の宿るところ ~ 父親との同居成功という稀有の体験が語るもの
梅雨の合間の女神デアに会い彼女のパートナー候補を考える ~ イコロ、キロルの線はすでに消えた?
上野動物園にユキオが無事帰還 ~ 報じられるデアとのペア形成はあり得るのか?
女神デアのパートナー問題の推移や如何 ~ 候補はイコロかキロルかイョシか?
男鹿水族館がホッキョクグマ購入契約の着手金返還訴訟で動物商に勝訴 ~ 動物商の真の意図を探る
イタリアのマスコミ取材に対しイコロとデアのペア実現にかなりの自信を示していた2年前の上野動物園
by polarbearmaniac | 2014-08-20 22:00 | Polarbearology

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