街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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野生孤児セリク (現 ロシア・ペルミ動物園) の保護後の表情を捉えた写真家アレクサンドル・ザセキン氏

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Photo(C)Александр Засекин

昨年8月にロシア極北ヤマロ・ネネツ自治管区のベルイ島で廃棄物回収作業を行っていたボランティアチームによって発見・保護された密漁者に銃撃されて脚を負傷していた雄の幼年個体であるセリク(現 ペルミ動物園)については、その発見・保護から彼がペルミ動物園で保護・飼育されることになった経緯、そして私が昨年秋にペルミ動物園で実際に彼に会った件についても全て投稿しています(過去関連投稿参照)。
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Photo(C)Александр Засекин

このセリクは私が昨年会ったホッキョクグマの中でもとりわけ強い印象を与えたわけですが、それはなんといっても彼は母親を密漁者に殺されたようで(*注 - 当初はそうは考えられていなかったようです)彼自身も左前脚に被弾して動けなくなっていたところを人間によって発見:保護されてから間もない時期だったため依然として不安におののいている表情を見せていたという印象を強く持ったからでした。これはつい先日もTVのニュースをご紹介しているイジェフスク動物園で保護された野生孤児のバルーの表情にも共通したものがあったわけでした。 チュメニ州を活動の本拠地としているロシアの写真家であるアレクサンドル・ザセキン (Александр Засекин) 氏はたまたまこの時に現地を取材しており、そしてこの野生孤児であるセリクの保護の場に出くわして貴重な何枚かの写真の撮影に成功していたのでした。 そういった写真の何枚かをチュメニ州のニュースサイトのこのページで見ることができます。
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Photo(C)Александр Засекин

セリクはペルミ動物園で保護・飼育されることになったわけですがロシアの飼育下のホッキョクグマの血統の多様性の維持のためにはこのセリクのような野生出身個体の存在は不可欠であるわけで、要するに野生個体の不幸によって動物園での飼育下のホッキョクグマの維持が可能となるという実に残酷で皮肉なパラドックスであるわけです。 しかしそもそも動物園で飼育されるためにホッキョクグマという種が存在しているわけではありませんから、あくまでも野生下における彼らの生存こそがなによりも大事なことであるわけです。

セリクに降りかかった大いなる不幸、そして母親を失ってしまった一頭の幼年個体の不安に満ちた表情をザセキン氏の作品は良く伝えていると思います。

(資料)
ВТюменец.ру (Apr.25 2014 - Как тюменские волонтеры спасли раненого белого медвежонка и передали в зоопарк)
Информационная группа 72 (Jul.24 2014 - А потом люди ушли)

(過去関連投稿)
*セリク関連
ロシア極北、カラ海のベルイ島で前脚をケガをして動けなくなっていたホッキョクグマの赤ちゃんが保護される
ロシア極北、カラ海のベルイ島で保護された赤ちゃんはセリクと命名され、ペルミ動物園での飼育が決定
ロシア極北のベルイ島で保護されたセリクがペルミ動物園に到着 ~ 10月にカザンからユムカも来園予定
ロシア極北のベルイ島で密漁者の銃撃により負傷し保護されたセリク、ペルミ動物園で報道陣に公開される
ロシア極北で負傷、ペルミ動物園で保護されたセリクについて ~ ロシアでの野生孤児の個体保護の問題点
ペルミ動物園で保護されている野生孤児セリクの素顔 ~ まだ順応できない環境の激変
ロシア・ペルミ動物園におけるセリクとユムカの近況 ~ テルペイがロストフ動物園に移動か?
ロシア・ペルミ動物園でのセリクとユムカの初顔合わせは不調に終わる
ロシア・ウラル地方 ペルミ動物園でアンデルマが気の強いユムカに手を焼く ~ 大物に挑みかかる小娘
ロシア・ウラル地方、ペルミ動物園のユムカと野生孤児のセリクとの関係が良好となる
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ロシア・ウラル地方、ペルミ動物園でのアンデルマ、ユムカ、セリクの三頭同居は大きな成果を上げる
ロシア・ウラル地方、ペルミ動物園でのアンデルマ、ユムカ、セリクの三頭同居の近況 ~ 最新の映像が公開
ロシア・ウラル地方、ペルミ動物園のユムカとセリクが活魚捕獲イベントに挑戦 ~ 母親の手本無き悲しさ
by polarbearmaniac | 2014-09-01 19:00 | Polarbearology

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