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街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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ロシア極東・沿海州、ハバロフスク動物園(プリアムールスキー動物園)が新しいホッキョクグマの導入を表明

ロシア極東・沿海州、ハバロフスク動物園(プリアムールスキー動物園)が新しいホッキョクグマの導入を表明_a0151913_1193619.jpg
故 ゴシ (2014年2月のお誕生会) Photo(C)Аргументы и Факты 

先月下旬にロシア極東沿海州のハバロフスク動物園 (正式には「シソーエフ記念・プリアムールスキー動物園」 - Зоосад Приамурский имени В.П. Сысоева)で地元の人々に非常に愛されたホッキョクグマのゴシが24歳で亡くなったことを投稿しています。 私が今まで会ったホッキョクグマの中でも格別に印象が強く、そして私自身の思い入れも非常に深かったホッキョクグマの死を非常に悲しい気持ちで受け止めたわけでした。 さて、このハバロフスク動物園では亡くなったゴシに代わる新しいホッキョクグマを飼育する意向であることを表明し、すでにそのための交渉に乗り出していることを明らかにしました。
ロシア極東・沿海州、ハバロフスク動物園(プリアムールスキー動物園)が新しいホッキョクグマの導入を表明_a0151913_1232727.jpg
故 ゴシ Photo(C)Аргументы и Факты 

欧米や日本の動物園ではホッキョクグマの高齢化が進み、また全体の飼育数も減少しているわけで、仮に現在飼育しているホッキョクグマが亡くなっても新しいホッキョクグマを導入することが非常に難しい状況になってきています。 一方でロシアの動物園では、今まで飼育していなかったホッキョクグマを新たに飼育したいという地方都市の動物園がいくつか出てきています。 日本に近い極東においてはサハリン(樺太)の中心都市であるユジノサハリンスク(旧豊原)の動物園であるサハリン動植物園 (Сахалинский зооботанический парк) はホッキョクグマを導入するための新しい施設の建設を行う予定であることも報道されているほどです。 ハバロフスク動物園(プリアムールスキー動物園)は亡くなったゴシに代わるホッキョクグマを飼育するために1770万ルーブル(約5億円)の資金を要する新しい飼育展示場の整備拡張が計画されているそうです。 園長さんは、「ホッキョクグマの飼育展示場というのはどの動物園でも最も金のかかったものの一つです。(ハバロフスク動物園の)新しい飼育展示場はエンリッチメントに最大の考慮が払われたものとなります。」 と語っています。 ハバロフスクだろうがサハリンだろうが、ホッキョクグマのいる動物園には私はこれからも喜んで出かけていくつもりです。 ましてや日本に非常に近い場所にあるわけです。 距離だけに関するならばどちらも仮に札幌から徳島や熊本に行くよりもかなり近いだろうと思います。 ユジノサハリンスクには新千歳空港から直行便(オーロラ航空)があります。 所要時間1時間20分です。

さて、このハバロフスク動物園がゴシの後継ホッキョクグマ入手のために頼りにするのはモスクワ動物園でしょう。 シモーナの子供がやって来ることになるかもしれませんし、あるいは他園の幼年・若年個体がモスクワ動物園の調整によってやってくるかもしれません。 いずれにせよ注目しておくべきでしょう。 このようにロシア国内の動物園でホッキョクグマを導入する場合には従来のように単なる購入とはならないわけで、ロシアの動物園の主導的立場にあるモスクワ動物園が他種の個体との交換を含めた調整によってホッキョクグマを割り当てるというスキームが発動されることとなるわけです。 希少種の入手にはこうしたスキームに乗っかることが条件となります。 モスクワ動物園もロシアの動物園の盟主という立場から、ロシア国内の動物園におけるホッキョクグマの飼育展示の充実を図ることに協力するという方向に舵を切っており、かつてから外国の動物園へのホッキョクグマの配給元であったというロシアの動物園、特にモスクワ動物園の姿勢に大きな変化が生じているわけです。 つまり、金さえ積めばホッキョクグマは購入できるというわけにはいかなくなりつつあるということですね。 ですから「ホッキョクグマの市場価格」 という概念そのものが急速に過去のものとなりつつあることを意味しているわけです。 こういったことは今までいくつもの情報をご紹介した投稿の中でも触れてきたことです。
ロシア極東・沿海州、ハバロフスク動物園(プリアムールスキー動物園)が新しいホッキョクグマの導入を表明_a0151913_1241950.jpg
故 ゴシ Photo(C)Аргументы и Факты

私は思い出すのですが、あのゴシの飼育されていた場所の施設の簡素さと素朴さは何か心温まるようなものがありました。 ゴシにとっては必ずしも快適とは言えなかったのかもしれませんが、私はあの場所を非常に懐かしく思います。 ここで再度、ゴシの魂の永遠の安息を祈りたいと思います。

(資料)
Аргументы и Факты (Oct.6 2014 - В хабаровском зоосаде появится аквариум для медведя)
РИА "Сахалин-Курилы" (Feb.12 2013 - В Сахалинском зоопарке могут появиться белые медведи)

(過去関連投稿)
ロシア・モスクワ郊外の私設動物園の悲惨な現実
ロシア極東・沿海州、ハバロフスク動物園のゴシ ~ 氷上サーカスを去り動物園を安住の地に
ロシア極東、ハバロフスク動物園のゴシ、身勝手な来園者の指を噛み切る! ~ 後を絶たぬ来園者の規則違反
ロシア極東、ハバロフスク動物園でのゴシの 「来園者襲撃」事件の続報 ~ 自業自得の規則違反者
ロシア極東・沿海州、ハバロフスク動物園のゴシに寄せる地元の人々の想い ~ お誕生会開催へ
ロシア極東・沿海州、ハバロフスク動物園 (プリアムールスキー動物園)のゴシが亡くなる
(*以下、ハバロフスク動物園訪問記)
晩秋の気配濃厚なハバロフスク動物園へ ~ ゴシさん、はじめまして!
ゴシ、その悲哀を突き抜けて澄みきった眼を持つホッキョクグマの魅力
ロシア・ハバロフスク動物園のゴシへの同情と共感 ~ 人間に弄ばれた運命
by polarbearmaniac | 2014-10-06 23:45 | Polarbearology

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