街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum
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ロシア極北ノーヴァヤ・ゼムリャー島で保護されたウムカとエリカの野生双子孤児が行方不明となる
Photo(C)пресс-служба Северного управления по гидрометеорологии.
心配が現実となった実に憂慮すべきニュースが報じられています。 先日ロシア極北のノーヴァヤ・ゼムリャー島の気象観測基地で双子のホッキョクグマの孤児が保護されたニュースをご紹介しています。 その投稿のなかでも触れたのですが、この気象観測基地はこの双子の今後の保護について話を本来は連邦政府の自然管理局 (RPN - Федеральная служба по надзору в сфере природопользования) にもっていかねばならなかったにもかかわらず最初にロシア極地国立公園 (Национальный парк "Русская Арктика") の管理当局に持って行ったわけです。 このあたりが私は先日の投稿でも気になっていたことだったわけですが、管理当局はこの気象観測所の要請に対して「自分たちには(野生ホッキョクグマ孤児の保護処置を決める)権限がない」と気象観測所に回答したそうです。 その後にいろいろ紆余曲折があったようですが、結局はこの地区の自然管理局の出張所に要請が持ち込まれたようです。 この地区の自然管理局の出張所はこの双子孤児の処置を決める権限のある連邦政府の本局に連絡して指示を仰いだわけでした。
実はこの段階で(ロシアの)四つの動物園がこの双子孤児の保護・飼育を行ってもよいと申し出ていたそうで、そのニュースは日本時間昨夜にイタル・タス通信が報道していました。 さて、その後に別のマスコミ (Русская Планета紙) の報道が日本時間の本日になって流れてきたわけですが、連邦政府のモスクワの自然管理局の本局は24日のこの双子孤児の今後の処置を決定する予定だったものの、それがまだ決まっていないという状況だそうです。 こういったお役所仕事のドタバタから生じた時間の浪費の中で、実はこのウムカとエリカと名付けられた双子孤児は保護されていた気象観測所から一週間前に姿を消してしまい、それ以来行方不明になっている事実が明らかになりました。 この観測所はウムカとエリカを囲って逃げられないようにしていたというわけではなかったようです。 気象観測所のスタッフはこの事態に非常に当惑しており、所長さんはなんとかこの双子に観測所に戻ってきてほしいと語っています。 仮に戻れなくともこの島には軍の基地があるのでそこでちゃんと扱ってもらいたいと語っています。 そうでなければこの双子孤児が今度生きていく可能性はほとんどないわけですから所長さんの心配と憂慮はもっともなことだと思われます。
実はロシアにおける野生のホッキョクグマ孤児の保護については、いかに行政が早く対応できるかが重要なポイントであるわけです。 昨年にベルイ島で孤児として発見・保護されたセリク(現 ペルミ動物園)の例では行政当局のトップの方がこの件に非常に理解があったために一連の処置が非常に迅速に進行したわけです。 この件については是非、「ロシア極北で負傷、ペルミ動物園で保護されたセリクについて ~ ロシアでの野生孤児の個体保護の問題点」という投稿を再度ご参照頂きたく思います。 今回の双子孤児の場合はまさにこれがうまくいっていないわけです。
私は思うのですが野生孤児がロシアの極北で保護された件は実は過去に何例もあったと思うのですが、ここ数年こうした形でマスコミが報道し、そしてその後の行政当局の素早い動きがあったおかげで動物園で無事に保護された氷山の一角のような例だけが大きくクローズアップされ、今回のように失敗した例はほとんど報じられていなかったのではないかと思います。 仮にそうだとすれば実に残念なことです。 ネックになっているのは行政当局の動きの遅さもさることながら、移送費用の負担問題にもあるという点です。 昨年のセリクの例では行政がこの費用を負担したわけですが、これが受け入れ側の動物園が負担するということだと大変です(実は本来的には受け入れ側の動物園が負担することのようです)。 昨年のセリクの例でペルミ動物園のエレーナ・ブルディナが語っていたことは今回の例を見ると実に的を得ていることがよくわかります。
さて、このウムカとエリカが心配です。 姿を消してからもう一週間になるそうですが、やはり再びこの気象観測所に現れることは考えにくいようにも思いますが、しかしなんとか元気でいてくれて誰かに保護されていてほしいと思います。
(資料)
ИТАР-ТАСС (Oct.27 2014 - Четыре зоопарка готовы принять медвежат, которые ищут спасения у станции на Новой Земле)
Русская Планета (Oct.27 2014 - «Шансов выжить у них практически нет»)
(過去関連投稿)
ロシア極北で負傷、ペルミ動物園で保護されたセリクについて ~ ロシアでの野生孤児の個体保護の問題点
ロシア極北ノーヴァヤ・ゼムリャー島のマーリェ・カルマクルィで野生孤児の双子が保護される
by polarbearmaniac
| 2014-10-28 16:30
| Polarbearology
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