街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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円山動物園のララの出産日、出産頭数、性別を過去のデータで予想する(前) ~ 「12月15日前後に雌の双子」

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ララ (2014年7月21日撮影 於 札幌市・円山動物園)

日本国内のホッキョクグマの出産に関する予想を続けます。 前回は男鹿水族館のクルミの出産予想を行いました。 今回は札幌・円山動物園のララについてです。 予想を行うために使用するデータはこれまで通りロシアの生物学者であるイーゴリ・トゥマノフ氏の研究報告である ”Reproductive Biology of Captive Polar Bears (by IGOR TUMANOV. Research Institute of Nature Conservation of the Arctic and North, St. Petersburg, Russia)” です。 ただし前回のクルミの場合と若干異なるのは、ララについては彼女の過去の5回の出産(そして成育)のデータをこのトゥマノフ氏の研究報告と併用して用いるという点です。 その点において今回のララについての予想はクルミの場合よりも幾分精度は高くなる可能性があるかもしれないということは言えます。 尚、ララの過去の出産についてのデータについては円山動物園の前担当飼育員さんの作成された「ホッキョクグマの繁殖に関する一考察」 を資料として用いることにします。 何度も申し上げておきますが、これは単な「遊び」の領域を出ないもので、あまりに真剣に真面目に受け取ってもらっては困るということです。 何せ相手は生身の生き物ですからデータ通りの傾向を今回も示すかどうかは全くわからないということです。
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ララ (2014年7月21日撮影 於 札幌市・円山動物園)

さて、まずララの過去5回の出産成功のデータを簡単に下にまとめておきます。 トゥマノフ氏のデータとの整合性を図る必要上、交尾確認日の最初の日を「交尾日」として採用しています。

1.ツヨシ (2003年12月11日誕生)
交尾日 4月 2日
妊娠期間 (Pregnancy Duration) 253日間

2.ピリカ (2005年12月15日誕生)
交尾日 5月13日
妊娠期間 (Pregnancy Duration) 216日間

3.イコロ、キロル (2008年12月9日誕生)
交尾日 3月20日
妊娠期間 (Pregnancy Duration) 264日間

4.アイラ (2010年12月25日誕生)
交尾日 3月27日
妊娠期間 (Pregnancy Duration) 273日間

5.マルル、ポロロ (2012年12月8日誕生)
交尾日 3月19日
妊娠期間 (Pregnancy Duration) 264日間

次に再度トゥマノフ氏の研究報告のデータを簡単に下にまとめます。 尚、 この「妊娠日数/期間 (Pregnancy Duration)」 はAZAのマニュアルで言う "Total Gestation times"(懐胎日数/期間)と同じ意味です。

(1)交尾日、出産日、妊娠期間、出産頭数、性別との関係
交尾日    平均妊娠日数 出産平均頭数 性別(オスの確率)
2月11-28日   281日      1.55    50.0%
3月 2-31日    254日     1.80     51.9%
4月 1-30日    237日     1.75     54.3%
5月 8-16日   207日     2.25     55.6%
6月 5-13日   166日     1.50     33.3%

(2)妊娠期間と平均出産頭数との関係
妊娠期間        平均出産頭数
164 - 233日間     1.88
239 - 256日間     1.76
260 – 294日間     1.64

(3)1回の出産あたりの出産頭数の確率
1頭出産の確率  -  28%
双子出産の確率  - 68%
三つ子出産の確率 -   4%

さて、これらのデータを基に今年のララの出産について予想してみることとします。 あくまで今回の予想はララが本当に妊娠していて出産に至った場合という条件が付くのは勿論のことです。
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ララ (2014年7月21日撮影 於 札幌市・円山動物園)

今年ですが、ララとデナリの(最初の)交尾日は4月4、5日というのが確認されています。 この場合、トゥマノフ氏のデータとの整合性を図る場合は確認された交尾日の最初の日を「交尾日」とするというのがルールとなっていますので4月4日が今回の「交尾日」、つまり計算の起点とします。 そしてこの場合、トゥマノフ氏の研究報告のデータを採用すればララの最も早い出産の可能性は妊娠期間 (Pregnancy Duration) が164日目に当たる9月15日であり、最も遅い場合は妊娠期間 (Pregnancy Duration) が294日目に当たる来年1月24日ということになります。 交尾日が今年は4月4日ですからトゥマノフ氏の研究報告のデータによればこの時期に交尾をした場合の平均妊娠日数は237日間であり、この場合はララの出産予定日(正確には出産可能性が最も高い日)は11月28日前後となることを意味します。

ところがララの過去の出産データで交尾日と妊娠日数を参照しますと、彼女は2005年に産んだピリカの場合を除いて後のケースは全てトゥマノフ氏の研究報告のデータが示す平均妊娠日数よりも10~20日間ほど多い妊娠日数を示すという傾向があるわけです。 となれば、トゥマノフ氏の研究報告のデータによる出産予定日よりも実際の出産は10~20日間ほど後になるだろうという予想が成立します。 そうなると今年のララの出産予定日は12月8日から12月18日の間という線が出てきます。 これをもっと細かく焦点を合わせようとすれば、過去のララの出産で最も今年の交尾日(4月4日)に近い交尾日を示したのは2003年のツヨシの出産時であり、その時は4月2日に交尾を行い妊娠期間 (Pregnancy Duration) 253日間で12月11日に出産しています。 続いてララの出産で最も今年の交尾日(4月4日)に近い交尾日を示したのは2001年の4月1日であり、この時は妊娠期間 (Pregnancy Duration) 265日間の12月21日に出産しています(その後食害で赤ちゃんは死亡)。 この2001年と2003年の例はララがまだ出産について安定していない状態だった頃であることを考慮したとしても、今年のララの出産はトゥマノフ氏の研究報告のデータより15~20日ほど遅い日に出産する可能性が大きいように考えられます。 ということは、ララの出産日は12月13日から18日の間である、という予想が成り立ちます。 さらにこの場合、トゥマノフ氏の研究報告のデータよりも妊娠期間 (Pregnancy Duration) が長くなるわけですから、傾向としては赤ちゃんの性別は雄(オス)の確率はやや減り、そして平均出産頭数はやや下がることになります。 そうしますと大雑把にまとめると、「ララの出産日は12月15日前後であり出産頭数は二頭より一頭の可能性がやや高く、性別は雌(メス)である。」 という予想になるのですが...。
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ララ (2014年7月21日撮影 於 札幌市・円山動物園)

しかし前回2012年におけるララの出産後に性別を予想した投稿である 「ララの赤ちゃんたちの性別を過去のデータを用いて予想する!」 をご参照いただきたいわけですが、ララは出産を重ねるごとにトゥマノフ氏の研究報告のデータの Table 1 のデータ(性別)の傾向には沿ってきつつあるものの、Table 2 のデータ (頭数) とは依然として逆の方向性を示しているというのが前回(マルルとポロロ)までの結果です。 ということはつまり、性別については雌(メス)という予想ができても頭数については1頭ではなく逆に双子の可能性がやや高いだろうということが予想として成り立ちそうです。

以上を大雑把にまとめると以下のようになります。 つまり

ララの出産日は12月15日前後であり出産頭数は一頭より二頭の可能性が高く、その性別はどちらも雌(メス)である。

...と、こういう予想となります。

さて、次にララの出産(予定)日に沿って頭数、性別の傾向を探ってみたいと思います。 (続く

(資料)
Reproductive Biology of Captive Polar Bears (by IGOR TUMANOV. Research Institute of Nature Conservation of the Arctic and North, St. Petersburg, Russia)
ホッキョクグマの繁殖に関する一考察 (札幌市円山動物園)

(過去関連投稿)
ララが降誕祭に生んだ赤ちゃんの性別を予想する!
ホッキョクグマ出産統計から見た傾向を再確認する ~ 出産シーズンに向けての知識整理
ドイツ・ヴッパータール動物園で誕生の赤ちゃんの性別を過去のデータで予想する
ホッキョクグマ飼育マニュアル(Care Manual)」よりの考察(5) ~ 赤ちゃんの頭数・性別は事前予測可能か
ララの赤ちゃんたちの性別を過去のデータを用いて予想する!
札幌・円山動物園のキャンディにとっての12月6日 ~ 平均出産予定日とイケメン飼育員さんが救った命
男鹿水族館のクルミの出産日、出産頭数、性別を過去のデータで予想する ~ 「11月30日前後に雄か雌の一頭」
by polarbearmaniac | 2014-11-13 18:00 | Polarbearology

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