街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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ロシア・西シベリア、ノヴォシビルスク動物園のゲルダとシルカの母娘をめぐってシロ園長の発言

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食欲のないゲルダお母さん Photo(C)Комсомольская правда

ロシア・西シベリアの大都市であるノヴォシビルスクの動物園で昨年の12月11日にゲルダお母さんから生まれた雌のシルカが一昨日の13日にゲルダお母さんから引き離され園内の別の展示場に移動して日本かブラジルの動物園に移動するための待機の状態となっていることは一昨日投稿しています。 母親から引き離されたシルカの昨日(14日)の様子を伝える映像もすでにご紹介しています。
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別展示場に移ったシルカ Photo(C)Новосибирский зоопарк


落ち着かない別展示場でのシルカ(14日)

現地ノヴォシビルスクではこの今回の母娘の別れについてマスコミの報道だぇでなく色々な人も意見を述べ、そして複数のSNSサイトには多くの意見が述べられています。 そういったものの中から今回はノヴォシビルスクの動物園のラスティスラフ・シロ (Ростислав Шило) 園長の発言のごく一部を御紹介しておきましょう。 このシロ園長という方はノヴォシビルスク動物園で長いキャリアを積み上げて園長になられた方で「名物園長」といった個性的な存在のようです。 典型的な「シベリヤっ子」 という感じの方で開放的なおおらかさと率直さを感じさせます。 札幌市はノヴォシビルスク市と姉妹都市の関係にあり、札幌市から訪問団がノヴォシビルスク市を訪れた際にシロ園長が一緒に記念写真を撮ったり談笑したりしている写真を見た記憶があります。 独特の風貌の方で、実は私は去る9月にノヴォシビルスク動物園を訪問した際にもシロ園長が客人何人かを連れてホッキョクグマ飼育展示場に姿を見せたのを目撃しました。
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ラスティスラフ・シロ園長
Photo(C)«Эксперт Сибирь»/Виталий Волобуев

シロ園長が語るには、まず今回のシルカの日本またはブラジルの動物園への移動は純粋な売却であって、そこに何か別の個体がからんだ交換はないのだと語っています。 売却金額は20~30万ドルだそうで、これを現在のレートで邦貨換算しますと現在は円安ですので約2200万円から3300万円ということになります。この額は以前、「ロシア・ノヴォシビルスク動物園のシルカの入手を狙う日本の動物園 ~ 売却金額は三千万円前後か?」 という投稿でもご紹介していましたが、妥当なところでしょう。 これがホッキョクグマの雌の幼年個体の一応の「価格」であるということです。 今回のシルカの売却は純粋な金銭によるもので、そこに付随した動物がないということは、このシルカを購入しようとしている(or 購入した)のは、ひょっとして水族館に近い性格の施設、あるいは水族館そのものではないかという憶測は成り立つかもしれません。 となると、日本でもブラジルでも、それは公営の動物園といった施設ではなくて営利企業が運営している施設がそれに該当する可能性があります。 つまり、「○○動物園」 といった名前ではない施設ということだろうと思います。 そうなると、日本であればすでにホッキョクグマを飼育している二つの施設の名前が浮かんできます。  しかしあくまでもこれは強引な憶測の域を出ない話です。 それから、ごく少数の現地の情報では、「市民はシルカをブラジルに動かすことに反対している」 といった内容が書かれています。 つまりこれは、この少数の情報はシルカの移動先が日本ではなく実はブラジルに 「内定」 しているという何かの情報を掴んでいるのだという解釈も成り立つかもしれません。 しかしこれも私の憶測です。
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ゲルダお母さんとシルカ Photo(C)Комсомольская правда

それからシロ園長は、地元で始まったシルカをノヴォシビルスク動物園で飼育し続けてほしいというネットでの署名活動について、その内容を実現するということはノヴォシビルスク動物園内にもう一つのペアのための新しいホッキョクグマ飼育展示場を新設せねばならないということに他ならず、そのためには9千万ルーブルから一億一千万ルーブル(つまり邦貨換算で2億2千万円から2億6千万円)の資金が不可欠であり、それを(募金などで)集めてくれるというならシルカはノヴォシビルスク動物園で飼育し続けることは可能だと語っています。 このシロ園長の発言は「開き直り」といったニュアンスはあまり感じないわけで、事実そのままを語っているように思います。 要するに、現在の署名活動の内容を実現するためには金が必要であるということです。 そういうことで実際に今度は募金運動の立ち上げが市民によって行われたそうです。
(*追記 - コムソモリスカヤ・プラウダ紙がネットでノヴォシビルスク市民にアンケートをとっています。 それは、「シルカをノヴォシビルスクに留め置くためにあなたは寄付を行う用意がありますか ("А вы готовы сдавать деньги, чтобы Шилка осталась в Новосибирске?")」 というものです。それに対する選択肢による回答比率は(15日夜の時点で)以下です。
・ 小額であっても喜んで寄付したい (47%)
・ 街ぐるみの大きなキャンペーンにして (市より) 動物園に対する援助金を増やす (23%)
・ これは動物園による(寄付) 強要行為と同じである (12%)
・ 多額の援助者(パトロン)を求める必要がある (10%)
・ 関心なし (8%)

こういった回答です。
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Photo(C)«NskCity - Это Новосибирск, Детка!», vk.com

今回のちょっとした騒動の件はノヴォシビルスク動物園が事前の告知無しにシルカをゲルダお母さんから引き離したために現地のファンがショックを受けて大きな不満を感じているというのが本質的な部分でしょう。 ファンの側に気持ちの覚悟といったものがなかったことも騒ぎを大きくしたという印象を否めません。 ゲルダお母さんとシルカの動揺は非常に気の毒には思いますが、これはいたしかたのないことのように思います。 解決は時間の流れにまかすこと以外にはないでしょう。

(*注 - この園長さんの名前である ”Ростислав Шило” の「苗字」を「シロ」と表記するか「シラ」と表記するかは微妙な問題です。 発音的には「シラ」 が近いですが、人名ですので綴りに合わせて以前より「シロ」 と表記しています。

(資料)
Комсомольская правда (Nov.14 2014 - Белую медведицу Шилку могут оставить в Новосибирске, если жители соберут около 100 миллионов рублей)
Газета.Ru (Nov.14 2014 - Новосибирцы просят не отправлять медвежонка Шилку в Бразилию)
Вечерний Новосибирск (Nov.14 2014 - Новосибирцы просят оставить Шилку)

(過去関連投稿)
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ロシア・ノヴォシビルスク動物園で別離したゲルダお母さんと娘のシルカの近況 ~ 母娘共に依然として動揺

◎2014年9月11日(木曜日)訪問
・リバーパークホテルからノヴォシビルスク動物園へ ~ ホッキョクグマたちに御挨拶
・容姿端麗なゲルダお母さん、その娘への態度に見る子育て初体験の初々しさ ~ 育児スタイルを模索中
・シルカ、順調に成長を遂げるその素顔
◎2014年9月12日(金曜日)訪問
・ノヴォシビルスク動物園訪問二日目 ~ ゲルダお母さんとシルカの不安定な関係
・ゲルダの将来への道のりと課題 ~ 一頭の母親と一頭の雌の二役の演技の動機となっているもの
・シルカ、その聡明かつ醒めた知性が発散する魅力 ~ ミルク、マルル、ポロロを超える逸材か?
・クラーシン(カイ)の性格とその素顔 ~ 双子兄弟のピョートル(ロッシー)との違い
◎2014年9月13日(土曜日)訪問
ノヴォシビルスク動物園訪問三日目 ~ シルカちゃん、ゲルダさん、クラーシン君、お元気で! (現在正式投稿準備中)
by polarbearmaniac | 2014-11-15 18:30 | Polarbearology

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