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街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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ロシア・サンクトペテルブルク、レニングラード動物園のウスラーダの娘ザバーヴァが12月に他園へ移動決定

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ザバーヴァ (2014年9月24日撮影 於 レニングラード動物園)

ロシア・サンクトペテルブルクのレニングラード動物園で昨年12月6日に女帝ウスラーダが産んだ彼女自身の16頭目の子供である雌のザバーヴァ (Забава) についてレニングラード動物園は、12月に他園へ移動となる予定であることを明らかにしました。 いよいよザバーヴァもウスラーダお母さんと別れるときが来たのかという感慨を持つのですが、これについては非常に興味深い派生的な問題が存在しているわけで、今回をそれを取り上げたいと思います。
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ザバーヴァ (2014年9月24日撮影 於 レニングラード動物園)

まず、このザバーヴァが他園に移動するということは、どの個体が将来のパートナーとしてあてがわれるかということです。 ウスラーダの前回の子供は2011年12月生まれの雄のロモノーソフだったわけですが、彼もやはり生後約一年で移動となったわけで、移動先はシベリアのヤクーツク動物園であり、将来のパートナーとしてはヤクーツク動物園で保護・飼育されていた野生孤児の雌のコルィマーナがあてがわれたということでした。 ロシアでは 「アンデルマ/ウスラーダ系」 というのは圧倒的な勢力を誇るわけですが、毎年のように保護される野生孤児個体を飼育下に取り込んで同一血統への集中を、かろうじてであれ回避するということが可能である点が強みです。 ですから今回のザバーヴァについてもロモノーソフ同様、そういった雄の野生孤児個体が将来のパートナーとなるのではないかと思われます。

となると、いったいどの雄の野生孤児個体になるかが問題です。 ゲレンジークのサファリパークに先日到着したセレシュカではないかとも考えられますが、このセレシュカは性別チェックがまだ行われておらず雄だという完全な確証はまだありませんし、仮に雄だったとしても同じ野生孤児の雌のスネジンカがすでにサファリパークで飼育されていますから、今度はこのセレシュカの将来のパートナーとしてはスネジンカとなる可能性のほうが遥かに大きいでしょう。 そうなると次に考えらえるのがイジェフスク動物園で保護・飼育されている野生孤児の雄のバルーではないかということになります。 ただしイジェフスク動物園ではホッキョクグマがすでに2ペア飼育されていますから、さらにここにザバーヴァが移動して将来的にバルーとペアを組むことは考えにくいでしょう。 となれば残るは、これも去る10月にウランゲリ島で軍によって保護された野生孤児のウムカしかないわけですが、このウムカがウランゲリ島からその後どの動物園で保護・飼育されているのかについて全く報道がありませんし、性別も雄だとは断定できません。 しかしレニングラード動物園が今の段階でザバーヴァの他園への移動を明らかにしたということは、このウムカの性別が雄だと判明し、どこかの動物園で間もなく検疫期間も終了するというタイミングでザバーヴァの12月の移動の予定が明らかにされたのだと考えれば説明が付きます。 ですので、私は飼育動物園が明らかにされていないこのウムカが現在保護・飼育されている動物園にザバーヴァが移動してウムカを将来のパートナーとするのではないかと考えています。 どこの動物園なのかと考えているのですが、なかなか予想がつきません。  (*追記 - レニングラード動物園の飼育部長のシェルグノヴァさんは本投稿がなされた後に、あるSNSでザバーヴァはイジェフスク動物園に行くという内容の発言を行っていますが、本当にそうかどうかは正式発表を待たねばならないでしょう。 イジェフスク動物園は非常に広い飼育展示場を2つ持っているわけですが、しかし3ペアの飼育はキツイと思いますが。)
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ウスラーダ (2014年9月24日撮影 於 レニングラード動物園)

次に、こうしてザバーヴァを12月に移動させるということは果たしてレニングラード動物園は現在26歳のウスラーダにさらに来年繁殖に挑戦させるのかという問題が出てきます。 これはおそらく年明けからメンシコフとの同居を開始させてみて繁殖行為があれば、やはり秋の終わりからウスラーダを産室入りさせようというだろうと思いますが、しかしそうなると夏頃から出産に備えてウスラーダへの給餌量を増大させることが果たして彼女にとって年齢的にも好ましい事なのかどうかが問題となるのではないでしょうか。 レニングラード動物園の飼育部長のシェルグノヴァさんはSNSのページで質問者に答えてウスラーダとメンシコフとの間での繁殖を来年も狙うことは当然だというi意味の発言をしていますが、果たしてどうでしょうか。 そもそも自然界ではホッキョクグマは三年サイクル(場合によっては四年)で繁殖が行われており、飼育下で二年サイクルの繁殖が行われるというのはホッキョクグマの雌における身体の適応性にとっても疑問のあるところですし、ましてやウスラーダは26歳となっていますので決して無理はさせてほしくないと思います。
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ウスラーダお母さんと娘のザバーヴァ 
(2014年9月24日撮影 於 サンクトペテルブルク、レニングラード動物園)

それからシェルグノヴァさんはウスラーダの所有権は現在はレニングラード動物園に移っているということを語っています。 前々回、2009年12月にウスラーダから誕生したサイモンとサムソンの雄の双子のうち一頭の権利を持っていたモスクワ動物園はサイモンを2010年に北京動物園に売却したわけで、この時までは間違いなくウスラーダの所有権はモスクワ動物園にあったはずですが、レニングラード動物園がウスラーダの所有権を得たというのは、おそらくその翌年の2011年のことだったに違いありません。 レニングラード動物園にしてみればウスラーダの所有権をようやくモスクワ動物園から得たわけですからウスラーダの産む子供は全てレニングラード動物園が権利を持つことになり、そういった意味でもウスラーダにさらなる出産を期待したいというレニングラード動物園の気持ちはわかるような気がします。 しかし、それがウスラーダにとって好ましいことかどうかは全く別の問題でしょう。 いずれにせよ、このザバーヴァの所有権についてはレニングラード動物園は決して手放さず保持し続けるでしょう。 ウスラーダの後継問題というものに大きく関係してくるであろうからです。

さて、私は多分ウスラーダの最後の子供となる可能性の非常に大きいザバーヴァをウスラーダがどう育てていくのかを可能な限りこの目で見ておきたいと思っていたわけで5月と9月にすでに現地に行っていますが実は年内にもう一度行きたいと考えていたわけでした。 しかしサンクトペテルブルクは徳島ではありません。 一時間では行けない場所です。 行くのだったら今週末の連休にひっかけてですが、極めて難しくなりました。ちょっと時間がないのが残念です。

(資料)
Ленинградский зоопарк (Facebook/Nov.14 2014)

(過去関連投稿)
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by polarbearmaniac | 2014-11-17 23:30 | Polarbearology

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