街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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欧州がホッキョクグマの幼年・若年個体をプールする 「集中基地」 を計画 ~ 雌はオランダ、雄はイギリスへ

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ララ(ラーレ) Photo(C)Zoo am Meer Bremerhaven

実に興味深いことが報道されています。 北ドイツのブレーマーハーフェン臨海動物園では昨年の12月16日にヴァレスカお母さんから誕生したララ(ラーレ)が大変な人気であり来園者数の大幅な増加をもたらせているわけですが、同園のハイケ・キュック園長はこのララ(ラーレ)がもう一年間、来年の11月まで同園に留まったのちにオランダのエメン (Emmen) の動物園に移動することであることを明らかにしたと同時に、2012/2013年に欧州で誕生した幼年・若年個体の扱いについて EEP (European Endangered Species Programme – 欧州希少動物繁殖計画) のうちホッキョクグマを担当する専門グループが会議を開いて提言をまとめた事実を明らかにしました。 その提言の内容としては、雌の幼年・若年個体をオランダのエメン動物園 (Dierenpark Emmen) に完成する新飼育場へ集め、そして雄の幼年・若年個体をイギリス(どこの動物園かは触れていません)の動物園に集め、それぞれ繁殖可能な年齢となるまでそこでプールして飼育するということだそうです。 雄の個体は最長の場合で7歳まで飼育する場合もあるようです。
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ララ(ラーレ) Photo(C)dpa

さて、このオランダとイギリスの幼年・若年個体の「集中基地」で繁殖可能な年齢となった個体を、おそらくペアにして「集中基地」から欧州各地の動物園に移動させるということになるのでしょう。 2012/2013年誕生の個体だけでなく、私はおそらくそれ以降に誕生した個体も2年間を母親と過ごした後にこうして「集中基地」に移動させるというやり方が継続するのではないかと予想します。 つまりこうすることによって、今までのように母親から離れる複数の幼年個体をペアにして別の動物園に移動させようとしてEAZAのコーディネーターが複数の園間の調整に忙殺されることを防いで、もっと長い期間を視野にしてホッキョクグマの再配置を行えるようにするのが目的ではないかと思います。 なかなかうまいやり方だと思いますね。 さすがにホッキョクグマ飼育に関して先進的な欧州です。

さて、そうなりますと数年前より札幌の円山動物園が構想しているララの子供たちと欧州個体との交換については、前回のようにドイツのハノーファー動物園などの欧州の動物園を「一本釣り」にして交渉することは難しくなり、話を第一回のようにアムステルダムのEAZAのコーディネーターに持って行く必要があるということを意味するように思われます。 仮にこの円山動物園の交換交渉がうまくいったとしますと(現実には極めて容易ではありませんが)、ララの子供たちのうち交換となった個体が雌(メス)ならばオランダへ、そして雄(オス)ならばイギリスへ行くということになるでしょう。 そしてそこから2~3年後に欧州内の別の動物園に移動するという経過を辿ることになると思われます。

今回の報道は実に興味深いと同時に日本にいる我々にも非常に示唆的な内容だと思います。 どうでしょうか、日本もこの幼年・若年個体の「集中基地」を新設することを考えてみては。 そのためにはもっと多くのホッキョクグマの赤ちゃんが日本に生まれてきませんといけませんね。 世界のホッキョクグマ界はどんどん動いているわけです。 それを知っておく必要があるだろうということです。

(資料)
Zoo am Meer Bremerhaven (Alle News /Nov.27 2014 - Wie geht es weiter mit Eisbärin Lale?)
WESER-KURIER (Nov.27 2014 – Lale kommt in niederländischen Zoo)
kreiszeitung.de (Nov.27 2014 - Eisbärmädchen „Lale“ bleibt noch ein Jahr in Bremerhaven)

(過去関連投稿)
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by polarbearmaniac | 2014-11-27 22:30 | Polarbearology

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