街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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21世紀に入って飼育下で誕生した三つ子の赤ちゃんを映像で振り返る ~ 三つ子誕生・成育の確率は約4%

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2002年11月にウスラーダが産んだ三つ子
Photo(C)Ленинградский зоопарк

ホッキョクグマの赤ちゃん誕生のニュースというのは今か今かと待っていると意外に流れてこないものです。 このあたりで一息ついておきましょうか。 

今年のシーズンは飼育下のホッキョクグマの赤ちゃん誕生の「豊作」の年ではないかと思います。 有望な雌が何頭もいるわけです。 飼育下のホッキョクグマの赤ちゃん誕生は以前は11月下旬が主流だったように思いますが最近は12月上旬が幾分主流になりつつあるような印象を持ちます。 ですから、これからがむしろ本番といったほうが良いのかもしれません。
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2005年11月にフギースの産んだ三つ子 Photo:SPITS

さて、先日オランダ・レネンのアウヴェハンス動物園でフリーダムが三つ子の赤ちゃんを産みましたが、飼育下で一回の出産 (per litter) で三つ子が生まれる(そして全頭成育する)確率というのは約4%であることがロシアの生物学者であるトゥマノフ氏の研究報告であるReproductive Biology of Captive Polar Bears (by IGOR TUMANOV. Research Institute of Nature Conservation of the Arctic and North, St. Petersburg, Russia) で明らかになっています。 ちなみに双子は68%、一頭は28% といったところだそうです。 注意しなければならないのは、このトゥマノフ氏の研究報告で挙げられている 「三つ子の生まれる(そして全頭成育する)確率は約4%」 という数字は、あくまでも三つ子として成育した場合だけをカウントした確率であり、単純に出産時点での三つ子の誕生を指した数字ではないということです。 つまり、実際は三つ子の誕生はもっとあるが、三頭とも成育した場合に限って 「三つ子の誕生」 という考え方を採用しているという点です。 だから4%という低い確率になるということですね。 これを言い換えますと、「最低でも一頭の赤ちゃんが成育した出産例が25回あれば、やっとそのうち一例が三つ子の例である。」 ということです。 1990年12月に釧路市動物園でコロお母さんは三つ子を出産していますが生後半年にならないうちに一頭が死亡していますので、こういった例はトゥマノフ氏の研究報告では「三つ子の誕生(そして全頭成育)」 の例にはカウントされず、単に双子の出産例として扱われるということになります。

21世紀に入ってから飼育下でのこの三つ子は、2002年11月にロシア・サンクトペテルブルクでウスラーダが、そして2005年11月のオランダ・レネンでフギースが、そして2011年11月にモスクワのシモーナが産んでいます。 出産時には他例もあるのですが産室内で死亡したりして三頭そろっての成育はしていないわけです。 それぞれの映像を見ておきましょうか。

まずこの下はサンクトペテルブルクのウスラーダの産んだ三つ子の2003年の映像です。 このニュース映像はなんとロッシー(ピョートル)が日本に旅立つことを伝えるニュース映像の中で使用されたわけです。



次にこの下はレネンのフギースの産んだ三つ子の2006年の映像です。 二つご紹介しておきます。




フギースノ産んだ三つ子の映像は、すでにこちらの投稿でもご紹介しています。

次はモスクワのシモーナが2011年11月に産んだ三つ子の映像ですが、さすがにこれは数多くあり私自身もモスクワでかなり撮影しています。 まずニュース映像(英語のものですので音声は是非onにして下さい。)、そして次に授乳の映像をご紹介しておきます。





三つ子といっても授乳時にはちゃんと定位置があるようです。 しかし上の映像では開始後2分42秒あたりで三頭のうち二頭の間でいざこざが起き、一頭が授乳から離脱してしまうという興味深いシーンがあります。 

実はこの下の映像(冒頭はCM)は野生下での母親と三つ子の有名な映像です。 この映像の後半は授乳シーンなのですが、やはり三頭のうち二頭に争いが生じています。 取っ組み合いが続くわけですが、こんなことをやっているとこの二頭はお母さんのお乳を飲む時間がなくなってしまうのではないかと心配にもなります。 お母さんの左乳(つまり向かって右側)は上も下も自分の縄張りだと思っている赤ちゃんがいるために、一頭があぶれてしまっているということですね。 こうした点で三つ子には難しさもあるようです。



上の映像はまだ授乳時の定位置が完全には確定していない三つ子のように思えます。 しかしなかなか素晴らしい野生の三つ子の映像ですね。

(資料)
Reproductive Biology of Captive Polar Bears (by IGOR TUMANOV. Research Institute of Nature Conservation of the Arctic and North, St. Petersburg, Russia)

(過去関連投稿)
最近のロシアとオランダでの三つ子の出産例 ~ ウスラーダとフギースの健闘
「情愛型」 と 「理性型」、「対象関与型」 と 「対象非関与型」 のそれぞれの母親像の違いを探る
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(*2012年3月、9月 モスクワ動物園訪問記)
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by polarbearmaniac | 2014-12-02 01:00 | Polarbearology

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