街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


by polarbearmaniac

プロフィールを見る

デンマーク・オールボー動物園のミラクがカナダ・ケベック州のサンフェリシアン原生動物園に旅立つ

a0151913_353057.jpg
ミラク Photo(C)aalborg Zoo

デンマーク・オールボー動物園で飼育されている6歳になったばかりの雌のミラクが火曜日の夜にカナダ・ケベック州のサンフェリシアン原生動物園 (Zoo sauvage de Saint-Félicien) に旅立つためオールボー動物園を出発したニュースが入ってきました。 ミラクはなかなか移動用ケージに入ろうとせず、今回はやむを得なく麻酔が使用されたそうですが、今まで大部分の場合は移動するホッキョクグマを移動用ケージ内に誘導することに成功していたものの、今回はうまくいかなかったために麻酔が使用されたそうです。
a0151913_3112127.jpg
Photo(C)Aalborg Zoo

このミラクがオールボー動物園で生まれてからずっと担当飼育員であったフランク・トムセン氏は、「ミラクをこうして送り出さねばならないことを悲しく思うけれども彼女がカナダに行くことが最も彼女のためになる。 カナダできっとうまくやっていくだろう。」 と語っています。
a0151913_39268.jpg
Photo(C)Aalborg Zoo

(*追記 - 現地の夜、すなわち日本時間の深夜にこのミラクの旅立ちについてデンマークのTV局が番組を放送していますので下にご紹介しておきます。)



さて、このミラクの移動の話はかなり以前からいろいろと報じられていたわけであり、昨年の6月の段階ではカナダ・オンタリオ州コクレーンのホッキョクグマ保護教育文化村 (Polar Bear Conservation and Educational Habitat and Heritage Village – Polar Bear Habitat) に移動することが決まっていたものの、その当時はミラクは雄だとされていたわけでした。 EAZA (欧州動物園水族館協会) のコーディネーターはEEP (European Endangered species Programme) の適用対象個体であるミラクの欧州内で受け入れが可能な施設の選定・検討中であるとしてミラクの欧州域外への流出に 「待った」 をかけようとしたわけですが、その年の10月になって実はミラクは雌であったことが判明し、そしてこれ以降、状況は混沌としていたわけでした。 しかし今年の4月になってスコットランドのハイランド野生公園の飼育責任者のダグラス・リチャードソン氏が同園で飼育されている雄のウォーカーとアルクトスのパートナーとして5歳の雌がEAZAの「ホッキョクグマ特別委員会 (The Polar Bear Special Committee)」 によって選定されたことを明らかにしたわけで、つまりそれはオールボー動物園のミラク以外に考えられないという状況になっていたわけでした。 ところがこうしてミラクはやはりカナダ、それも当初予定されていたコクレーンではなくサンフェリシアン原生動物園に移動となったわけであり、このあたりのは何か深い事情がありそうな気がします。

私の個人的考えでは、オールボー動物園はEAZAのコーディネーターにかなりの不信感を抱いていたためにこのミラクのスコットランド行きに同意しなかったのだろうと思っています。 スコットランドのハイランド野生公園のダグラス・リチャードソン氏もこれまで将来の展開をを自分の願望によって語るような傾向のある方のような印象があり、今年の4月の発言もまたそうした個人的な願望でなされていたということのような気がします。 EAZAのコーディネーターも今回は完全に敗北してしまったように思いますね。 EAZAのコーディネーターは今までは全てオランダの個体の移動先調整を優先し過ぎてているように私には思え、オランダ以外の国の動物園が反発してもおかしくないような印象を与えてきたわけです。 こういったミラクを巡る問題については今までかなり詳しく述べてきましたので過去関連投稿をご参照下さい。
a0151913_310845.jpg
Photo(C)Aalborg Zoo

さて、ミラクがサンフェリシアン原生動物園に行くとなるとやはりパートナーはイヌクシュク となるのか、それともイヌクシュクの息子であるガヌーク をコクレーンから移動させてミラクと組ませるのか、そのあたりがよくわかりません。 ともかく、ミラクのカナダでの活躍を祈りたいと思います。 オールボー動物園に残った雌のヴィクトリア(ミラクの母)とメーリクには繁殖のために雄が出張してくるそうです。 やはりニュルンベルク動物園のフェリックスがまた出張してくるということになるのでしょうか、注目したいと思います。

(資料)
aaborg Zoo (Dec.10 2014 - Isbjørnen Milak rejser til Canada)
NORDJYSKE (Dec.10 2014 - Farvel, Milak)
TV2 N (Dec.10 2014 - Elsket isbjørn flytter til Canada)

(過去関連投稿)
デンマーク ・ オールボー動物園のミラクがカナダ・コクレーンのホッキョクグマ保護教育生活文化村へ!
カナダ・コクレーン、保護教育生活文化村へのイヌクシュクの帰還とEAZAの狙うミラクの欧州域外流出阻止
デンマーク・オールボー動物園のアウゴが約5メートル下の堀に転落、重傷を負い安楽死の処置にて死亡!
デンマーク・オールボー動物園、DNA鑑定するも度重なる性別取り違え ~ ミラクは雌(メス)だった!
デンマーク・オールボー動物園のメーリクとミラクが同園の改修工事のためスカンジナヴィア野生動物公園へ
デンマーク・スカンジナヴィア野生動物公園に「休暇旅行中」のメーリクとミラクの近況
デンマーク・オールボー動物園のメーリクとミラクがスカンジナヴィア野生動物公園での「休暇」を終え帰郷
デンマーク・オールボー動物園でのヴィクトリア、メーリク、ミラクの雌3頭の奇妙な同居生活 ~ 展望なき繁殖
スコットランドのハイランド野生公園へデンマーク・オールボー動物園のミラクが移動か?

(過去関連投稿  - 2011年オールボー動物園訪問記)
雨のオールボー動物園に到着、そして2組の親子と対面!
メーリクお母さん余裕のポリタンク遊び ~ 2組の親子同居の驚異!
アウゴ、その温和な性格が醸し出す満ち足りた時間
オールボー動物園2日目 ~ ホッキョクグマに魚のプレゼント
アウゴと来園者の子供たちとの交流
オールボー動物園3日目 ~ この動物園の質の高さは住民の品性の高さに見事に合致
アウゴ君は犬はお嫌い?
オールボー動物園のホッキョクグマ君たち、本当にありがとう! ~ 是非また近いうちにお会いしましょう!
by polarbearmaniac | 2014-12-11 06:00 | Polarbearology

カテゴリ

全体
Polarbearology
しろくま紀行
異国旅日記
動物園一般
Daily memorabilia
倭国旅日記
しろくまの写真撮影
旅の風景
幻のクーニャ
エッセイ、コラム
街角にて
未分類

最新の記事

フィンランド・ラヌア動物園の..
at 2017-11-24 00:30
ドイツ・ミュンヘン、ヘラブル..
at 2017-11-23 00:30
ロシア・サンクトペテルブルク..
at 2017-11-22 06:00
ロシア・ノヴォシビルスク動物..
at 2017-11-22 00:30
ロシア・サンクトペテルブルク..
at 2017-11-21 01:00
エストニア・タリン動物園のノ..
at 2017-11-21 00:30
エストニア・タリン動物園、新..
at 2017-11-20 01:00
仙台・八木山動物公園、苦心す..
at 2017-11-19 00:30
ロシア・イジェフスク動物園が..
at 2017-11-18 01:30
南フランス・アンティーブ、マ..
at 2017-11-18 00:30

以前の記事

2017年 11月
2017年 10月
2017年 09月
2017年 08月
2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月

検索

ブログパーツ

  • このブログに掲載されている写真・画像・イラストを無断で使用することを禁じます。

ライフログ


人生と運命 1


スターリン―青春と革命の時代


モスクワは本のゆりかご


私のモスクワ、心の記憶


自壊する帝国 (新潮文庫)


甦るロシア帝国 (文春文庫)


嘘つきアーニャの真っ赤な真実 (角川文庫)


ロシア 春のソナタ、秋のワルツ-1999-21st


それからのエリス いま明らかになる鴎外「舞姫」の面影


ミチコ・タナカ 男たちへの讃歌 (新潮文庫)


わがユダヤ・ドイツ・ポーランド―マルセル・ライヒ=ラニツキ自伝


ベルリン戦争 (朝日選書)


Hof――ベルリンの記憶


カチンの森――ポーランド指導階級の抹殺


北京烈烈―文化大革命とは何であったか (講談社学術文庫)


慟哭の通州――昭和十二年夏の虐殺事件


主題と変奏―ブルーノ・ワルター回想録 (1965年)


藤田嗣治 異邦人の生涯


Barle's Story: One Polar Bear's Amazing Recovery from Life As a Circus Act


Lenin's Tomb: The Last Days of the Soviet Empire


Resurrection: The Struggle for a New Russia


Hotel Adlon: Das Berliner Hotel, in dem die grosse Welt zu Gast war


Ein seltsamer Mann


Alma Rose: Vienna to Auschwitz


St Petersburg: A Cultural History


Gulag