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フィンランド・ラヌア動物園で誕生の双子の赤ちゃんが生後二週間も経過して二頭ともほぼ同時に死亡!

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産室内でのヴィーナス親子 Image:Yle.fi

12月4日にフィンランドのラヌア動物園でヴィーナスお母さんが産んだ双子の赤ちゃんですが実に残念な情報を同園がSNSのページで伝えています。 この双子の赤ちゃんは生後約二週間を無事に経過しつつあったものの二頭ともに死亡したとのことです。

一昨日の木曜日の昼間では産室内のモニターカメラの映像によって赤ちゃんたちは元気でいたことが確認されていました。 ところがこの親子の姿を捉えていた一台のモニターカメラの映像が不具合によって見えなくなってしまい、他のカメラの映像ではこの親子の姿は捉えられなかったものの音声でこの赤ちゃんたちの声は聞こえていたそうです。 ところが夜になってヴィーナスお母さんは産室の空間から外の室内の場所に出て本日の土曜日の朝までそこに留まっていたとのこと。 そして赤ちゃんたちの声はもう全く聞こえなくなってしまっていたそうです。 状態をチェックする気必要があると感じたスタッフが産室をチェックしたところ、赤ちゃんたちの姿は全くなかったそうです。 ヴィーナスお母さんが食べてしまったということのようです。

ラヌア動物園のSNSによる発表では細部が非常に不明瞭な点があります。 特に赤ちゃんの声が聞こえていたのは何時までのことかということです。 赤ちゃんが死亡したのでヴィーナスお母さんが食べてしまったのか、それとも食害そのものが死因なのかということです。 つまり、何故二頭とも一緒に死亡してしまったかということの原因です。 そのあたりがはっきりしません。 同園では母体の健康に問題があったために赤ちゃんが死に至ったのかを知るためにヴィーナスの健康診断を行うと言っていますので、もっと正確な情報はその時に発表されるかもしれません。 現時点ではSNSへの状況説明だけであって正式な同園としての発表ではないと考えるべきでしょう。 とりあえず以上が現在のところまでの状況です。 週末ですし情報の流れの迅速さを期待するわけにはいかないかもしれません。

本当に残念な結果となりました。 このヴィーナスお母さんの母親としての信頼性は以前 (2009年2010年)には育児放棄などで非常に疑問があったわけですが前回の2011年のランツォの出産と育児に見事に成功していましたし、今回も出産後二週間も順調に産室内で育児を行っていたわけで、それがどうして二頭ともこのような結果になってしまったかについては明確には言えないものの、やはりヴィーナスお母さんの側に問題があったのではないかと私は考えます。 二頭共に同じようなタイミングでこうなるというのは赤ちゃんの虚弱な体質や病気が死を招いた原因であるというよりも何か外部的要因を考えないことには説明が付きません。 今回のヴィーナスお母さんの出産では10月になっても食欲は落ちず、そして出産の一週間前になっても依然として食欲があったという、出産を控えた雌のホッキョクグマでは通常はありえないような状態だったということをご紹介していましたが、私には何かそれが腑に落ちません。 要するに自分が出産するという 「心構え」 や 「覚悟」 がないのに出産したため、とりあえずは産室内で二週間は育児を行ってみたものの、やはり途中でそれが嫌になって育児放棄し、そしてその直後に食害があった...そういうことではないでしょうか。 仮にそれが真実だったとすれば、ヴィーナスお母さんへの母親としての信頼性は、またこれで元のように低下したと言わざるを得ません。
(*追記 - 現地時間の土曜日夜、つまり日本時間の日曜日早朝になって現地の報道が出てきましたが、ラヌア動物園のSNSサイトの情報をなぞったたけの内容です。 唯一の例外は Hufvudstadsbladet 紙で、同紙はラヌア動物園の飼育員さんにインタビューを試み、その内容が記されています。 それによりますと飼育員さんは 「カメラで捉えていた最後の映像を見る限りではヴィーナスはちゃんと赤ちゃんの面倒を見ていました。 可能性としてはヴィーナスの母乳が出なくなってしまったために赤ちゃんが衰弱死したのではないかということです。 産室内のメインのモニターカメラが故障したのが痛かったです。 そのためにいったい産室内で何が起きたのかがわからなくなってしまったのです。」 と残念そうに語っています。 この飼育員さんの解釈は元気だった赤ちゃんが両方ともに同時期に亡くなったことの説明としては十分成立するように思います。 しかしどうでしょうか、母乳が出なくなったとしてもそれほど短時間に赤ちゃんが死亡したとは考えにくいと思います。 やはり私は、赤ちゃんが生きているうちに育児放棄が行われ、そしてただちに食害にあったのだという解釈のほうが現時点では正しいように思いますが。)
(*追記2 - 要するに今回の件の事態の推移が不明瞭な理由は金曜日の状態に関する情報がゴッソリと欠けてしまっている点です。 察するに、金曜日は担当飼育員さんと獣医さんは day-off だったということでしょう。 よくこういう人はいますね、肝心な時に限っていつも day-off という人です。)

(*追記資料)

Hufvudstadsbladet (Dec.20 2014 - Isbjörnsungarna i Ranua döda)
Svenska YLE (Dec.20 2014 - Isbjörnsungarna i Ranua är döda)
Yle.fi (Dec.20 2014 - Ranuan jääkarhunpennut ovat kuolleet)

(過去関連投稿)
フィンランド・ラヌア動物園でホッキョクグマの赤ちゃん誕生!
しかし.....大変残念です...。.
フィンランド・ラヌア動物園でホッキョクグマの赤ちゃん誕生! ~ そして悲報..
フィンランド・ラヌア動物園でホッキョクグマの赤ちゃん誕生!
フィンランド・ラヌア動物園でホッキョクグマの双子の赤ちゃん誕生! ~ ヴィーナスお母さんが出産
フィンランド・ラヌア動物園で誕生の双子の赤ちゃんは生後二週間が経過 ~ 音声による状態確認
by polarbearmaniac | 2014-12-20 23:00 | Polarbearology

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