街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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来年2015年の国内ホッキョクグマ再配置案を考える (試案)~ キャンディの札幌残留は何故問題なのか

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キャンディ (2014年2月1日撮影 於 札幌・円山動物園)
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ゴーゴ (クライ・ユーコノヴィチ - Край Юконович) 
(2012年8月25日撮影 於 大阪・天王寺動物園)

まだ今年の繁殖シーズンの結果は出そろっていないわけですが、少なくとも結果が出ている範囲内で来年の繁殖シーズンのことを少し考えてみましょう。 結果が出ている個体としてはゴーゴ(大阪)とキャンディ(札幌)です。

手っ取り早く言えばこのゴーゴとキャンディとの間で繁殖を狙うことにすればよいわけですがスペースに余裕のある動物園がありません。 そうなると、このペアの形成は難しいでしょう。 つまり別々に考えなくてはなりません。 大阪のバフィンは間違いなく3月上~中旬に赤ちゃんと一緒の戸外に登場するでしょう。 バフィンの出産・育児はおそらく今回が最後となるでしょうから、彼女は赤ちゃんと一緒に来年一杯、あるいは動物福祉 (Animal Welfare) を考慮すると再来年一杯は親子で大阪に留まるはずです。 その間にゴーゴをどうするかですが、これはもう上野出張しかないでしょう。 上野はホッキョクグマに関してはBLでの繁殖挑戦を嫌がるでしょうが、他にデアのパートナーとなりそうな個体を入手することは諸状況から考えて不可能らしいので、ゴーゴは上野に二年間出張すればいいわけです。  ゴーゴも二年ほど東京の空気を吸うのも悪くない話でしょう。
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デア (2014年11月30日撮影 於 恩賜上野動物園)

キャンディは当初のBL契約期間の後にさらにまた再延長していますから、もうこれ以上延長すべきではないでしょう。 キャンディが豊橋から札幌に移動したのは純粋に繁殖が目的であり、それ以上でも以下でもありません。 また、円山動物園も彼女のために契約に基づいてやるだけのことはやったわけですし、彼女がさらに繁殖に挑戦するのならば何も札幌だけに限らないわけです。 ですから彼女はこれで豊橋帰還というわけですが、考え方は二つあって、一つはこれで繁殖の舞台から引退させるというもの、もう一つは別のパートナーとさらに繁殖を目指すということですが、後者を狙うならば浜松に移動させてキロルをパートナーとして繁殖に挑戦させるのがよいでしょう。 もうキロルは繁殖可能な年齢に達しているからです。 この利点は、仮にキャンディがキロルとの間で繁殖に成功すれば少なくともデナリの血が薄まった個体が誕生することを意味するからです。 (*注 - 但し今度はララの血が入ってくることになるわけで、それはそれで新たな問題ではあるわけですが。)
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キロル (2013年3月16日撮影 於 浜松市動物園)

仮にキャンディを札幌に残留させたいと考える方がいたならば、以下のような問題があることを認識する必要があるかと思います。 それは円山動物園で来年から着工されるらしい新施設の工事問題との関係です。 それによって騒音、その他が生じてホッキョクグマの繁殖が難しくなるという考え方があるようですが、ならば仮に今年ララに出産がなければ、また来年デナリはララとキャンディの二頭を相手に繁殖に寄与させるということになるのでしょうか? 一頭の雄が二頭の雌を相手にしてその両方を同じ年に出産させたケースというのはここ10年ほどの間では私の思い出す限りでは2007年のドイツのニュルンベルク動物園 しかありません(雄はフェリックス)。 しかしこの二頭の雌の出産後にニュルンベルク動物園は失態を犯してしまったわけです。 二頭同時の出産(そして成育) というのは実は至難の技なのです。 ましてや工事による騒音問題云々を言うならば、ララとキャンディの二頭を繁殖に挑戦させるのは尚更無理というものですし、それを強行するのは無責任だと言ってよいでしょう。 一つの動物園で二頭の雌が同時に出産に成功した例はごく最近では他に2009年のモスクワ動物園の例 (シモーナムルマ)がありますが、この時は雄が二頭(ウランゲリとウムカ)、それぞれ別の雌をパートナーとして成功させたわけです。 このアナロジーで行けば円山動物園はキャンディを残留させて来年さらにララとキャンディの二頭を同時に繁殖させようとすれば、雄をもう一頭札幌に連れてくる必要があるということです。 この場合、イコロを帯広から札幌に帰還させてキャンディのパートナーにさせるべきでしょう。 何が何でもキャンディを札幌に残留させてデナリとの間で繁殖を成功させたいという人が万が一にも仮にいたならば、そういう人はキャンディの繁殖のためにはララを他園に移動させるべきだと主張すべきでしょう。 そこまで言わないとその主張は筋が通りません。 また、仮にララが今年出産に成功しても、円山動物園自体が工事の騒音問題の影響云々についてその存在を否定しないのならば、そういった環境にもかかわらず他園が所有しているキャンディをさらに札幌に残留させてデナリとの間で繁殖を狙おうとするのは、豊橋の動物園に対して失礼な話となるでしょう。

ということで、ゴーゴとキャンディの来年の選択肢については非常に単純だろうと思います。 問題はバリーバ、ツヨシを含む数頭についてですが、これは今年の繁殖シーズンの結果を待って改めて考える問題となるでしょう。 そしてこれはかなり面倒な問題となるはずです。 そして姫路のホクト...彼は実は血統的には相当に繁殖に対する「実力」があるわけで、彼をどうやって活用するかというのが大問題となるかもしれません。 彼を一時的にキャンディのパートナーにさせることは、ある条件さえ整えられれば可能かもしれません。 そういったことは後日、機会を改めてまた考えたいと思います。

(過去関連投稿)
来年2014年の日本のホッキョクグマ界の変動の選択肢を考える ~ 壮大なパズルへの挑戦
バリーバ、バフィン、キャンディの出張組の来シーズンを考える ~ 繁殖可能年齢上限付近の個体の処遇
さらば、札幌のキャンディよ! また会う日まで! ~ The File of "Candy at Sapporo", Closed.
男鹿水族館での今後のホッキョクグマの繁殖を考える ~ “ What if...? ”
by polarbearmaniac | 2014-12-22 23:00 | Polarbearology

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