街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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ロシア極北・ネネツ自治管区のヴァイガチ島でホッキョクグマを殺した男が訴追へ ~ 2007年以来の訴追

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昨年4月にヴァイガチ島で殺害されたホッキョクグマ
Photo(C)WWF России

これは年末年始の休暇中に報じられたニュースですが、ここでどうしても触れておかねばなりません。 昨年の8月に 「ロシア極北・ネネツ自治管区のヴァイガチ島のホッキョクグマたち ~ 密漁者の捜査、そして10年振りの摘発」 という投稿をいたし、その中でロシア極北のネネツ自治管区のヴァイガチ島でホッキョクグマの密漁を行った男が捜査当局によって摘発された件をご紹介していました。 このたびロシア連邦内務省・ネネツ自治管区調査部 (Управление МВД России по Ненецкому автономному округу) は昨年の12月30日に発表を行い、ヴァイガチ島に住む38歳の男を、ロシア連邦政府に帰属し保護している野生動物(ホッキョクグマ)を違法に殺害し国家に少なくとも30万ルーブルの損失を与えた容疑で起訴し公判請求を行うこととなったそうです(要するに起訴するということです)。 ロシア連邦刑法258条第一項(Уголовный кодекс - УК РФ - Статья 258.1.) に該当するという判断だということだそうです。 もちろん内務省の側に立って実際に公判を担当するの検察当局となるはずです。

前回の投稿では男がホッキョクグマの毛皮を違法に所持していたという、いわゆる違法な流通過程の一環としての摘発だったわけですが、この男がホッキョクグマを射殺したという大本のところの容疑が固まったために今度はロシア連邦刑法258条第一項に該当する罪(つまりホッキョクグマの違法な殺害による違法なその部位の取得)という根本のところでの罪を問うという段階まで至ったということになるのでしょう。 実は毛皮などの違法所持については前回の投稿では10年振りの摘発ということだったわけですが、ホッキョクグマ殺害という肝心な大本のところについては2007年以来の起訴ということになるそうです。 有罪ならば最高で3年の禁固刑に加え最高百万ルーブルの罰金が課されることになるそうです。 とにかくロシアの捜査当局はこういったホッキョクグマの密猟者の摘発・起訴を容赦なく徹底的にやってほしいと思います。 以下は昨年4月に起きたこの事件を報じるニュース映像です。



野生のホッキョクグマのうちロシアの領土・領海に生息している個体はロシアの国家財産という法的な位置付けがされているわけであって、仮にその個体が人間によって保護され動物園に移送されても管理権・処分権は国家が保持し続ける国家財産であることには変わりはなく、その動物園にとっては当該ホッキョクグマに管理権・処分権がないならば所有権がないことと全く同じことを意味するということです。 つまり当該動物園にあるのは国家のもつ管理権の代行としての飼育業務にしかすぎません。 ロシアから野生出身個体を海外に出すということは国家財産の移動(つまり売却) を意味するだけでなく、そもそも野生個体の保護という目的から大きく外れるわけですからロシアの野生個体が海外の動物園に売られるということはここ15年ほどの間では表向きはないこということになっています。 あったとすれば、それは何らかの不正がからんでいるケースでしょう。 横浜ズーラシアのジャンブイがロシアの野生出身個体であるものの日本に合法的に来ることができたのは、まだロシアでのこの野生個体保護の法的仕組みが完成していなかった段階だったというわけです。 ジャンブイが来日した直後あたりからこうしたロシアにおける野生個体の法的位置づけが最終的に確定し現在に至っているということです。

(資料)
Управление МВД России по Ненецкому автономному округу (Пресс-служба Следственного отдела Управления МВД России по Ненецкому автономному округу / Dec.30 2014 - Утверждено обвинительное заключение и направлено в суд уголовное дело в отношении мужчины, обвиняемого в незаконной добыче особо ценных диких животных)
Уголовный кодекс ( УК РФ ) (ст. 258.1 ч. 1 УК РФ)
Всемирный фонд дикой природы (WWF) (Dec.31 2014 - Впервые с 2007 года дело об убийстве белого медведя рассмотрят в суде)
Pro­Город Сыктывкар (Dec.31 2014 - Воркутинцу за убийство белого медведя грозит 3 года тюрьмы)

(過去関連投稿)
ロシア極北・ネネツ自治管区のヴァイガチ島のホッキョクグマたち ~ 密漁者の捜査、そして10年振りの摘発
by polarbearmaniac | 2015-01-06 01:30 | Polarbearology

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