街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


by polarbearmaniac

プロフィールを見る

札幌・円山動物園のララの産室・寝室内での行動への解釈私論 ~ 「未体験性別パターン」 の赤ちゃんか?

a0151913_2348258.jpg
ララ (2014年3月29日撮影 於 円山動物園)

昨年12月21日に札幌の円山動物園でララが産んだ一頭の赤ちゃんの様子について同園の公式ブログの「しろくま通信」の1月13日付けに「移動」というタイトルの投稿がされています。 内容についてはお読みいただければわかりますが、私には非常に興味深く感じます。 全体的には、ララお母さんが赤ちゃんと距離を置くシーンがよくあるという内容です。

私が感じるのは、まず飼育員さんの観察した一連のシーンについて複数のヴァージョンの解釈が存在する段階になっているようだということです。 つまりこれはどういうことかと言いますと、出産直後からしばらくの間は母親の行動の大部分が本能に支配されている傾向が強く、そこに母親の母性の発露の程度差としての個体差はそれほど大きなものではないだろうということです。 しかしある程度の段階になると母親の行動は本能の部分よりも自分の意思と母性が次第に反映してくるようになると考えられるということです。 出産からさほど日数が経過していない段階では、母親の行動は我々にとってほぼ一通りの解釈しか持ち得ない(つまり、赤ちゃんを一生懸命面倒を見ているという母親の本能に基づく行動) と思われますが、ある段階になると母親の行動は本能を脱して意思と母性によって支配されるようになり、そうなると我々はそれらに対して複数の解釈が可能となるということです。 つまりそれは母親の意思と母性による行動に対しては我々のそれに対する解釈は個々人の見解によって多様化するからです。 そして今までのいくつもの例で言えることは、母親の能力が優れていると、「本能 → 意思・母性」 という転換は比較的早い時期に行われるという傾向があるように思います。 今回のララがそういうケースだと思われます。
a0151913_23482715.jpg
ララ (2014年3月29日撮影 於 円山動物園)

まず 「放ったらかし感」 というものですが、私に言わせますとこれは、子供を完全に自分のコントロールの下に置いているからこそ、できることです。 産室内での育児に自分の全ての関心と注意力を払い続けていかねばならない拘束された状態から早々と脱したが故に可能となった、こういった「放ったらかし感」であると私は考えます。 ですから、優秀な母親に見られる典型的なものであると、私は他の偉大な母親たちの例を踏まえてそう解釈するわけです。 飼育員さんは前回の双子(マルルとポロロ)とは違って今回は一頭なのでララはこのように 「放置プレイ」 を行っているという解釈のようですが、赤ちゃんが一頭であるか二頭であるかによって母親の赤ちゃんに対する関与が異なる可能性はもちろんありますが、しかし私はあまりそれは重要ではないように思っています。 それよりも私が考えるのは、今回の一頭の赤ちゃんに対して今までの産室内のララとはやや異なるパターンの対応をしているのが仮に事実とすれば、それはララにとって今までにはないそういう 「新しい対応」 にすべきだと感じているらしい何かがあるということです。 理由として一番考え得るのは、今回の赤ちゃんは 「一頭の雄(オス)」 という、今までララの出産・育児にはなかった全く未体験の新しい性別パターンの育児になっているからではないだろうか と私は解釈してみたく思います。 「男の子の一頭ならこういう対応がよい。」 とララが感じているのではないかということです。 私はホッキョクグマの母親は赤ちゃんを産んで少し経過すると本能的に赤ちゃんの性別を感知しているという考えを持っています。 さて、こうしたことから今回の件についての私の解釈は飼育員さんとはかなり違うということになります。 そういう複数の解釈の存在が可能であるという段階まですでにララの育児は来ているだろうと思っています。 ですから、ララの行動は複数の解釈を許容する意思と母性の発露の段階にまですでになっているということです。
a0151913_23535859.jpg
ララ (2014年3月29日撮影 於 円山動物園)

かなり以前、三年前に 「長期遠征の最終日に見たララとアイラ ~ ララは男の子より女の子を育てるほうが得意?」 という投稿を行っていますので是非それをご参照頂きたいのですが、ララは男の子より女の子を育てるほうがうまいと私は思っています。 しかし仮に今回の赤ちゃんが雄(オス)だったら、それはそれでやはり興味深い育児となると思われます。 産室内での約100日が第一幕、そして戸外登場以降は第二幕です。 ララお母さんは早々とすでに第一幕は ”ハイ、一丁あがり~!” と思っているのではないでしょうか。 第二幕の幕が上がりましたら、そこからはララお母さんは本能ではなく純粋な意思と母性のみによって赤ちゃんに接しているはずです。 それこそがこの親子の一般公開後の「見せ場」であるはずです。 そして我々ファンは第二幕からギャラリーとして 「参加」 させてもらうということになるわけです。 私の今までの海外での体験で言えば、子供が男の子である場合と女の子である場合に違った育児の対応を行う母親と、全く変わらない育児を行う母親と二つにハッキリと別れる傾向を感じます。 前者の典型はウスラーダであり後者の典型はシモーナです。 オリンカとムルマは多分前者のタイプ、フギースとヴェラとフリーダムは後者のタイプであるような気がします。 さて、ララお母さんはどうでしょうか? 私の予想ではハッキリとした前者のタイプではないでしょうか。

さて、しかし今回の一頭の赤ちゃんの性別に対する私の予想は「雌(メス)」 を依然として維持しておくこととします。 それはあのロシアの生物学者であるトゥマノフ氏の研究報告による傾向から読み込んだものだからです。 しかし今回の飼育員さんの書いた内容を読むと、「ひょっとして雄(オス)かな?」 という感じもしてきたことは事実です。 ただし、「雄(オス)」というのはあくまでも今回の件の解釈にしかすぎず、「雌(メス)」というのは科学的なデータの傾向が示すものですから、やはり予想としては「雌(メス)」を維持しておくのが筋が通っていると思っています。

それにしても、やはりララは凄い母親であるということです。

(資料)
円山動物園・公式ブログ (しろくま通信/Jan.13 2015 - 移動

(過去関連投稿)
円山動物園のララの出産日、出産頭数、性別を過去のデータで予想する(前) ~ 「12月15日前後に雌の双子」
円山動物園のララの出産日、出産頭数、性別を過去のデータで予想する(後) ~ データが示すララの"女腹"
札幌・円山動物園でホッキョクグマの赤ちゃん誕生! ~ 「大本命」 ララの堂々たる出産
札幌・円山動物園のララ親子の産室内でのクリスマス
札幌・円山動物園がララの赤ちゃんの産室内での姿を初めて確認し公開 ~ ララお母さんの手慣れた育児
札幌・円山動物園のララに給餌再開 ~ 静かに「勝利宣言」を行った母親の見えざる育児技量の高さ
by polarbearmaniac | 2015-01-14 23:45 | Polarbearology

カテゴリ

全体
Polarbearology
しろくま紀行
異国旅日記
動物園一般
Daily memorabilia
倭国旅日記
しろくまの写真撮影
旅の風景
幻のクーニャ
エッセイ、コラム
街角にて
未分類

最新の記事

ロシア・ノヴォシビルスク動物..
at 2017-08-21 01:30
ロシア・西シベリア、セヴェル..
at 2017-08-20 15:00
*新規投稿お知らせ
at 2017-08-19 23:45
ロシア・ヴォルガ川流域のペン..
at 2017-08-19 02:00
ロシア・西シベリア、ボリシェ..
at 2017-08-18 02:00
ロシアのクラスノヤルスク環境..
at 2017-08-17 01:30
チェコ・プラハ動物園のホッキ..
at 2017-08-16 01:30
ロシア・サンクトペテルブルク..
at 2017-08-15 01:30
ロシア・ウラル地方、エカテリ..
at 2017-08-14 01:30
大阪・天王寺動物園のシルカ ..
at 2017-08-13 01:30

以前の記事

2017年 08月
2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月

検索

ブログパーツ

  • このブログに掲載されている写真・画像・イラストを無断で使用することを禁じます。

ライフログ


人生と運命 1


スターリン―青春と革命の時代


モスクワは本のゆりかご


私のモスクワ、心の記憶


自壊する帝国 (新潮文庫)


甦るロシア帝国 (文春文庫)


嘘つきアーニャの真っ赤な真実 (角川文庫)


ロシア 春のソナタ、秋のワルツ-1999-21st


それからのエリス いま明らかになる鴎外「舞姫」の面影


ミチコ・タナカ 男たちへの讃歌 (新潮文庫)


わがユダヤ・ドイツ・ポーランド―マルセル・ライヒ=ラニツキ自伝


ベルリン戦争 (朝日選書)


Hof――ベルリンの記憶


カチンの森――ポーランド指導階級の抹殺


北京烈烈―文化大革命とは何であったか (講談社学術文庫)


慟哭の通州――昭和十二年夏の虐殺事件


主題と変奏―ブルーノ・ワルター回想録 (1965年)


藤田嗣治 異邦人の生涯


Barle's Story: One Polar Bear's Amazing Recovery from Life As a Circus Act


Hotel Adlon: Das Berliner Hotel, in dem die grosse Welt zu Gast war


Ein seltsamer Mann


Alma Rose: Vienna to Auschwitz


St Petersburg: A Cultural History


Gulag


The Guest from the Future: Anna Akhmatova and Isaiah Berlin