街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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旭山動物園のサツキとルルが産室を出て飼育展示場に復帰 ~ イワンに新しいパートナーが必要な段階

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サツキ (2014年3月22日撮影 於 旭山動物園)
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ルル (2014年3月22日撮影 於 旭山動物園)

これは旭山動物園の公式発表ではないのですが、「Live Zoo In あさひやま」 という同園のライブ映像配信を担当しているグループが、同園で11月から産室入りしていたサツキ(23歳)とルル(20歳)が飼育展示場に復帰している旨を報じています。 つまりこの二頭には出産が無かった(あるいは成功しなかった)ということを意味することになります。 例年よりもやや遅くまで産室にいたということになるわけですが、それは今年は特別に慎重を期してということなのだろうと思います。 サツキとルルの産室入りについては昨年11月に 「旭山動物園のサツキとルルの出産に関して過去のデータで予想する ~ 二頭が挑戦する『世界~』の壁」 という投稿をしておりますのでそれをご参照下さい。 残念ではありますが、もともと 「飼育下でのホッキョクグマの繁殖は極めて難しい」 わけですから、結果そのものを今更どうこう言うことはできないと思います。
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サツキ (2014年3月22日撮影 於 旭山動物園)

いろいろ感じるところはあるのですが、昨年まで指摘していなかった点を今回敢えて言わせていただくならば、飼育している四頭を二つの飼育展示場に展示してそのうち雌の二頭の繁殖を狙うということならば最低もう一つの展示場が欲しいように思うわけです。 これはどういうことかと言いますと、9月あたりからサツキとルルを単独展示にできたならばこの二頭はもっと落ち着けたような気がするわけです。 特にルルはピリカと同居していたわけで、この二頭の相性は悪くはないとはいってもルルにとってみればやはり終日単独で一つの飼育展示場を独占させてやってほしかったように思います。 サツキにしても然りです。 現在のやり方ですと精神的な落ち着きというものがあまり得られないように思うわけです。 仮に飼育展示場が三つあれば、残る一つでイワンとピリカを交代展示することができます。 施設の問題をどうこう言ってもしょうがありませんが、しかしサツキとルルにもう少し心の平安を与えてやりたかったような気がしており、そうなると現在の施設状態(展示場が二つ)ではイワンとピリカの非展示を受忍できるかという問題が生じてきます。 難しいですね。
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ルル (2014年3月22日撮影 於 旭山動物園)

サツキについては現在23歳ですから、もう繁殖の舞台から引退させてやってもいいようにも思います。 サツキは実際に出産しなくても 「共同声明2011」につながる「ホッキョクグマ繁殖検討委員会」 の立ち上げのきっかけとなる大きな貢献を日本のホッキョクグマ界に与えたわけです。 あのデナリすら全く寄せ付けなかったサツキを、イワンは交尾まで持って行ったわけで、それがそもそもの「ホッキョクグマ繁殖検討委員会」立ち上げの強い契機の一つになっていったわけです。 サツキは旭山動物園の環境に非常に適合した個体で、「もぐもぐタイム」 も無難にこなし、旭山動物園では非常に存在感のあるホッキョクグマとして重宝できるわけです。 難しいのはルルですね。 思い切ってルルを札幌に移動させてデナリと組ませ、旭川にはツヨシを連れてきてイワンとの間の繁殖を狙ってみてはどうかというのが私の以前からの考え方です。 これならば移動は道内だけで済むわけです。 本州の動物園を巻き込むやや規模の大きな移動を考えるなら、やはり横浜のズーラシアをからめた移動でしょう。 ただし、ジャンブイにもイワンと同じような課題が突き付けられ続けているわけで、要するに何らかの「賭け」という要素は排除できません。 旭山動物園の「ほっきょくぐま館」には何か新しい風が必要だと思います。 新しい風を吹かせて 「運」 や 「流れ」 を引き寄せるということがどうしても必要です。 北海道の冬の気温の低さはホッキョクグマの繁殖にとってプラスになりこそすれマイナスにはなりません。 そういった気候環境の北海道に暮らしていて繁殖に寄与できる雄はデナリとイワンの二頭だけという状態です(イコロは除きます)。 いつのまにか北海道は「雌のホッキョクグマの王国」 といった様相を呈しています。
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イワン  (2014年3月22日撮影 於 旭山動物園)

とにかく早くイワンに一仕事してもらわねばなりません。 それまでは何かスッキリとしませんね。 イワンは血統面では申し分ありませんが、しかし彼には何か相手によって奇妙に低姿勢になる雄のような気がします。 遅かれ早かれ、彼はルルやサツキ以外のパートナーを組まねばない時期が来るわけで、男としてのさらなる脱皮が求められることになるでしょう。 旭山動物園はこのイワンに対する信頼感が非常に大きいように私は思っていますが、そうならば彼の男としての脱皮、つまり今までとは異なるパートナーとの繁殖への挑戦について旭山動物園は強く後押しする必要があると思います。 私はロシアで彼の両親を始めてとしてその親族の多くに会っていますが、それはもう仰ぎ見るほどの偉大なホッキョクグマたちばかりです。 だからこそイワンにはもっとより多くのチャンスを与えてやるべきでしょう。 イワンの血統の総元締めの彼女もそう願っているに違いありません。 少し話が外れてしまいましたが、ともかく旭山動物園の果敢な挑戦を期待したいと思います。 ホッキョクグマの種別調整園として是非、攻めの姿勢で将来を切り開いてほしいと願っています。 その具体的な方法の一つがイワンの新しいパートナーとの繁殖への新たなる挑戦ということだろうと思います。

(資料)
Live Zoo In あさひやま (Jan.21 2015 - 「ホッキョクグマのサツキ(1/2) 」、「ホッキョクグマのサツキ(2/2)

(過去関連投稿)
サツキ、産室から出る...~ ホッキョクグマの歴代最高齢出産成功記録は35歳11ヶ月?
イワン(旭山動物園)の責任論は時期尚早か? ~ 正念場を向かえた日本の繁殖計画
2012年の出産シーズンの最終局面をむかえて ~ 必要なのは「幸運」
旭山動物園、ホッキョクグマの人工授精を狙いイワンの精子採取に成功 ~ 「イワン繁殖能力懐疑説」後退
旭山動物園のルルとサツキの展示が再開 ~ 同園にお願いしたいこと
旭山動物園のサツキとルルの出産に関して過去のデータで予想する ~ 二頭が挑戦する 「世界~」 の壁
by polarbearmaniac | 2015-01-21 22:00 | Polarbearology

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