街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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ロシア・イジェフスク動物園のピリグリムとオーロラ、同園から忽然と姿を消す ~ ブラジル行きの真相と深層

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ピリグリムとオーロラ Photo(C)Зоопарк Удмуртии

今回の投稿の内容は 「超マニア向け」 であり多くの方には興味のない話でしょうから無視していただいて結構です。 実に不可解なホッキョクグマの移動がすでに行われていたことをロシアのイジェフスク動物園(正式にはウドムルト動物園 - Зоопарк Удмуртии)がSNSのサイトで発表しました。 このイジェフスク動物園というのはホッキョクグマに関しては過去のいくつかの例からも、何事もコソコソと行うことが大好きなようです。 おそらく何か後ろめたいことがあるのでしょう。 同園で飼育されていた5歳の雄のピリグリムと、そして野性出身の5歳の雌のオーロラが「最近」そろってブラジルへ移動したのだと同園は言っています。 いつ移動したかも明らかにせず、そして行先がブラジルのどの動物園なのかも明らかにされていません。 未確認情報によれば移動は昨年12月中旬のことだったようです。 ちなみに、私が昨年9月にイジェフスク動物園を訪問した時にもこの二頭の姿を見ることはできませんでした。 なにしろニッサン君とドゥムカお母さんの親子、そして野生孤児のバルーが二つの展示場のそれぞれにいたわけで、ピリグリムやオーロラに会えないことはしょうがないなと思っていました。
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ピリグリムとオーロラ Photo(C)Зоопарк Удмуртии

さて、実はブラジルの某動物園は最近、ホッキョクグマを入手するためにいろいろな動きを行っていたことは私も知っていました。 その一つの動きは昨年ロシアのサーカス団と交渉してホッキョクグマを入手しようとしたものの断られたという事実、そしてノヴォシビルスク動物園の現在は1歳になった雌のシルカの入手を希望していたという事実です。 この後者については昨年の夏頃から動きを見せていました。 結局のところブラジルの某動物園はノヴォシビルスク動物園のシルカの入手は断念したのだと考えてよいと思われます。 そして今回、ブラジルの某動物園はイジェフスク動物園のピリグリムとオーロラの若年ペアをブラジルに移動させることに成功したらしいのですが、これはこの二頭を購入したのではないと考えるのが妥当でしょう。 何故なら、雌のオーロラは野生孤児の出身ですからロシアの連邦政府の自然管理局 (RPN) が個体の権利を持ち、そしてこのオーロラについては自然管理局 (RPN) の持つ管理権の代行としての飼育を行うのは本来はカザン市動物園なのです。 カザン市動物園はご存じの通り飼育施設が貧弱ですのでオーロラを飼育する余裕がないためイジェフスク動物園がさらにその飼育の代行を行っているのだろうということにすぎません。 そうした野生個体はロシアの国外に売却などによって移動させるということはできないはずなのです。 雄のピリグリムは以前にもご紹介していますが 「さすらいのホッキョクグマ」 です。 彼の所有権はカザン市動物園にあるわけです。 つまり、オーロラとピリグリムは本来カザン市動物園で飼育されるべき個体であるにもかかわらず同園の施設の貧弱さのためこの二頭はイジェフスク動物園に預けられて飼育されていたというのが事実なのです。 ですからこの二頭を移動させるということは最低限カザン市動物園の指示、もしくは了解があってのことでしょうが、それにしても二頭がそろってロシア国外に出るという自然管理局 (RPN) が承認するはずもない移動が事実上生じたことになります。 極めて不自然な状況です。 しかしこれがロシアという国なのだと考えればいいだけの話かもしれませんが。
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ピリグリムとオーロラ Photo(C)Зоопарк Удмуртии

最近ロシアの動物園では水面下で何かおかしな動きが感じられます。 というのは、昨年になって野生孤児が三頭も保護されてロシア国内の動物園に送られています。 それはイジェフスク動物園の雄のバルーゲレンジーク・サファリパークの雌のスネジンカと性別が公表されていないセレジュカです。 一昨年はペルミ動物園で雄のセリクが保護されましたが、ここのところあいついで出現する野生孤児を保護・飼育するためにロシアの動物園は相当に無理を重ねており、そういったことが理由でモスクワ動物園が構築した他種他園間移動のスキームの実行の遅れにもつながっていると私は考えています。 イジェフスク動物園は10歳の雌のドゥムカと9歳の雄のノルドという年長ペア、そして5歳のオーロラとピリグリムという若年ペアの二組ならば飼育して同時に繁殖を狙うこともできるわけですが、ドゥムカとノルドとの間に一昨年遅れにニッサンが誕生し、そして昨年になって野生孤児のバルーが来園したためにスペースに余裕が無くなったのでしょう。 そしてさらにこのバルーの将来のパートナーとしてレニングラード動物園からザバーヴァが来園することになり、こういった状況の下でカザン市動物園の指示か了解の下でオーロラとピリグリムの若年ペアをブラジルに移動させることになったのだろうということが考えられますが、何故南米ブラジルの動物園に移動させるのかは全く理解不能です。 このイジェフスク動物園は以前にもプロメテイ (Прометей) という雄の若年個体をこっそりと中国に売り飛ばし、そのことを後から知ったファンが騒ぎ出すと言った事件があったわけです。 今回も実はこの二頭をこっそりと移動させたかったものの、噂を聞いた一部の方がネット上で同園に問いあわせるなどしたために今回の二頭の移動の事実だけはしぶしぶと認めたということだろうと思います。 この二頭の移動は売却ではなく有償の賃借だとしても、その期間満了後にロシアに戻るとは到底考えにくいと思います。 つまり、ある種の「脱法行為」 が行われ、この二頭はずっとブラジルに留まるであろうことはほぼ間違いないのではないかと思います。 そもそも飼育展示場の新設工事などでホッキョクグマの仮の飼育スペースがないために他園に預けるとはいっても、わざわざロシアから非常に遠方の気候環境の異なる南米のブラジルの動物園に移動させるという話自体が胡散臭く、しかもそのブラジルの某動物園がもともとホッキョクグマを入手したいと活動していたのであれば尚更のこと、これは事実上はロシアからブラジルへのホッキョクグマの譲渡であることは明らかです。 ここで一昨年の7月と9月のイジェフスク動物園でのピリグリムとオーロラの映像を二つご紹介しておきましょう。





さて、移動後一か月が経過しているもののブラジル国内の動物園からは依然としてホッキョクグマ二頭の来園の発表もマスコミの報道もありません。 この二頭が本当にブラジルに行ったのでしたら検疫期間も当然終了しているはずですから、これは実に奇妙ですね。 ひょっとしてブラジルに行くと見せてまた中国でしょうか? 少なくとも今回のこの二頭の移動については何かの不正がからんでいるとみて間違いないでしょう。 そういった話は現場の善良な飼育員さんなどは知らないはずで、園のもっと上の地位の人間しか真相を知らないだろうと思います。 ピリグリムは本当に可哀想なホッキョクグマです。 幼年個体のうちから移動に移動が繰り返され、そして安住の地と思えたイジェフスク動物園も実はそうではなかったというわけです。 ともかく現時点では公式的にはオーロラとピリグリムは「行方不明」 という状態です。 実に馬鹿げた話だと思います。

このオーロラとピリグリムの件については、その現在の元気な姿が確認できましたらまた必ず投稿するつもりです。

(資料)
Зоопарк Удмуртии | ВКонтакте (Jan.26 2015 - "Белые медведи Пилигрим и Аврора")

(過去関連投稿)
(*以下、ピリグリム関連)
ロシア・カザン市動物園でホッキョクグマの赤ちゃん誕生!!
ロシア・カザン市動物園で生まれた赤ちゃん(続報)動画公開!
モスクワ動物園、ロシア国内の幼少ホッキョクグマの売却一元管理を開始か?
ロシア・ウドムルト共和国のイジェフスク動物園 ~ 「さすらいのホッキョクグマ」ピムの安住の地となるか
モスクワ動物園がカザン市動物園に1頭のホッキョクグマを贈与 ~ 帰属意識と権利関係の狭間で

(*以下、オーロラ関連)
ロシア極北・タイミール半島でホッキョクグマの2頭の赤ちゃんを保護!
ロシア・タイミール半島で保護された赤ちゃん孤児の続報
ロシア・クラスノヤルスク動物園の2頭の赤ちゃん孤児、同市に留まり同居の継続が決定!
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ロシア・クラスノヤルスク動物園で保護の双子の孤児に別れの時来る ~ オーロラがイジェフスク動物園へ

ロシア・ウドムルト共和国イジェフスク動物園でピリグリムとオーロラが「結婚式」 ~ 新しい繁殖基地へ
by polarbearmaniac | 2015-01-28 01:30 | Polarbearology

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