街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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ロシア、ノヴォシビルスク動物園のシルカの今春来日が決定的! ~ 日本の動物園との契約の締結が完了

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シルカ(2014年9月12日撮影 於 ロシア、ノヴォシビルスク動物園)

夜になってロシアのシベリア西部の大都市であるノヴォシビルスクから重大なニュースが入ってきました。 本日水曜日、ノヴォシビルスク動物園の広報担当のピロシコーヴァ氏がノヴォシビルスクの地元マスコミに明らかにしたところによりますと、同園で一昨年12月11日にゲルダお母さんから誕生した一歳の雌のシルカについて日本の動物園とは交渉中の段階ではあるものの大筋では合意している模様でシルカは多分日本に行くだろうという見通しを明らかにしました («Пока договариваемся с Японией, но всё ещё на уровне переговоров. Думаю, месяца 2-3 она ещё точно поживёт у нас»)。 予定される移動の時期はあと2~3カ月後となるようで、それまではノヴォシビルスク動物園のホッキョクグマ飼育展示場から離れた別区画でそのまま飼育されるとのことです。
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コムソモリスカヤプラウダ紙の続報によりますと、同園のラスティスラフ・シロ園長は、シルカは日本に行くと断定的に語っており («Она поедет в Японию»)、シルカの出発の具体的スケジュールについては20日間以内に決定されると述べています。

ゲルダお母さんと娘のシルカ (2014年9月11日撮影)

報道ではノヴォシビルスク動物園が具体的に日本のどの施設と交渉しているのかは明らかにされてはいません。 先日、「ロシア・イジェフスク動物園のピリグリムとオーロラ、同園から忽然と姿を消す ~ ブラジル行きの真相と深層」という投稿でシルカの入手を希望していた(らしい)ブラジルの動物園(未確認情報ではサンパウロ水族館、あるいはリオデジャネイロ水族館)にイジェフスク動物園よりホッキョクグマが二頭移動した(らしい)という投稿を行っていますが、つまりこのことは以前からシルカの入手を狙っていた日本とブラジルの動物園のうちシルカの移動先に日本の施設が有望となったことを意味していたわけですが今回のノヴォシビルスク動物園の広報担当者の発言はそれから一歩進んで、日本の施設と交渉が行われシルカの日本行きの見通しを明らかにした点で非常に興味深い内容だと思います。
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シルカ  (2014年9月11日撮影 於 ロシア、ノヴォシビルスク動物園)

さて、おそらく交渉の最終段階ではやはり価格や条件が問題となったことは多分間違いないと思います。 (*追記 - ロシースカヤ・ガゼータ紙が現地時間夕方に報じた続報によりますと、シロ園長はすでに日本の一つの動物園との契約書に署名した - Как сообщил "РГ" директор Новосибирского зоопарка Ростислав Шило, подписан договор с одним из японских зоопарков. - そうです。 多分本日の現地時間の夕方のことでしょう。 つまりもうシルカの来日は決定的であると考えてよいでしょう。) さらに、いささか気になることがないではありませんが、しかし他ならぬシロ園長がシルカの日本行きを断定的に語っていますのでシルカの来日は、ほぼ決定的だと理解してよいでしょう。 現地のSNSのサイトを見ますと、このシルカを長く見守ってきたファンの方々は非常に悲しんでいます。 泣き出したいほどだと書いているファンの方もいらっしゃいます。 その気持ちは痛いほどわかる気がします。
  
シルカの表情 (2014年9月11日撮影)

静岡のピョートル・メンシコヴィチ(ロッシー)の双子の兄弟であるクラーシン・メンシコヴィチ(カイ)の娘が日本に来るとなると、これはまた血統的にはかなり微妙なものがありますね。 私はシルカ自体は昨年9月にノヴォシビルスクを訪問して実際に会っており(過去関連投稿参照)、シルカが非常に聡明な幼年個体であることを理解していますので非常に彼女を評価し日本に来るということならば大歓迎ではありますが、しかし実はいろいろと問題があると思っています。 そしてこのシルカを入手した施設がどこなのかは全く想像もできませんが、しかし仮にその施設がシルカを同じ年齢のこの雄の幼年個体とペアにしようとして飼育するならば、おそらく世界のホッキョクグマ界で最も不釣り合いなペアとなるでしょう。 ありとあらゆる点においてこの雄の幼年個体とシルカとの間には圧倒的な差が存在しているわけです。 シルカは彼女の一歳年上であるミルク、マルル、ポロロを飛び越えて三歳年上のアイラと仲良くなりそうなタイプです。 いや、それどころではなくシルカはピリカやデアといったさらに年長のお姉様たちの良い仲間になるとでもいったような風情がすでにあるわけです。 ウスラーダとかララとか、そういった育児経験豊かな大物の母親でしたらシルカを御しきれるわけですが、いかんせん新米の母親であるゲルダお母さんではシルカは手におえないわけです。 下の映像をご覧ください。 これも私が現地で撮ったものですが来園者から食べ物をもらおうというゲルダお母さんに対するシルカの冷ややかな態度です。

ゲルダお母さんを無視するシルカ (2014年9月13日撮影)

「お母さん、いったい何やってんだかね~。 もう勝手にしてよ。」 とでもいうシルカの態度です。 はっきり言えば母親など、もうバカにしているわけです。 こういった醒めた知性を持つシルカのパートナーとなるのはこの雄では全く無理というものです。 シルカのパートナーとしては母親がちゃんと育児した雄の個体ではないと無理でしょう。 ところがこうして日本のホッキョクグマ界を見渡してみるとシルカと年齢の近い雄の個体がいないということに気が付きます。 いつの間にか日本のホッキョクグマ界の幼年個体は雌(メス)ばかりになってしまっていたというわけです。 これは欧米の動物園から見れば羨ましく見えるかもしれません。 特に欧州の動物園では深刻な雌不足に悩んでいるわけです。 今回の件の事態の推移を見守りたいと思います。 日本のホッキョクグマ界の将来の血統の多様性の維持を考えると必ずしも100% もろ手を挙げて喜ぶというわけにはいかないかもしれないシルカの来春の来日とも言えそうです。

(資料)
Sibnet.ru (Feb 4 2015 - Медвежонок Шилка навсегда уезжает из Новосибирска в Японию)
Комсомольская правда (Feb.4 2015 - Новосибирская медведица Шилка отправится в Японию)
Российская газета - Сибирь (Feb.4 2015 - Медвежонок Шилка переедет из Новосибирска в Японию)
Сибкрай.ru (Feb.4 2015 - Медвежонок Шилка весной переедет в Японию)
Аи­Ф-Новосибирск (Feb.4 2015 - Шилка уедет из новосибирского зоопарка в Японию)
Русская Планета (Feb.4 2015 - Белая медведица Шилка переедет в зоопарк Японии этой весной)
ФедералПресс (Feb.4 2015 - Белый медвежонок Шилка уедет из Новосибирска в Японию)

(過去関連投稿)
ロシア、ノヴォシビルスク動物園でホッキョクグマの赤ちゃん誕生! ~ ロッシーの双子兄弟が父親となる
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ロシア・西シベリア、ノヴォシビルスク動物園で戸外に登場したゲルダお母さんと赤ちゃんの追加画像
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「ホッキョクグマ飼育マニュアル(Care Manual)」よりの考察(11) ~ 母子をいつ引き離すか
ロシア・西シベリア、ノヴォシビルスク動物園のシロ園長が批判する近年の欧米の 「三年サイクルの繁殖」

◎2014年9月11日(木曜日)訪問
・リバーパークホテルからノヴォシビルスク動物園へ ~ ホッキョクグマたちに御挨拶
・容姿端麗なゲルダお母さん、その娘への態度に見る子育て初体験の初々しさ ~ 育児スタイルを模索中
・シルカ、順調に成長を遂げるその素顔
◎2014年9月12日(金曜日)訪問
・ノヴォシビルスク動物園訪問二日目 ~ ゲルダお母さんとシルカの不安定な関係
・ゲルダの将来への道のりと課題 ~ 一頭の母親と一頭の雌の二役の演技の動機となっているもの
・シルカ、その聡明かつ醒めた知性が発散する魅力 ~ ミルク、マルル、ポロロを超える逸材か?
・クラーシン(カイ)の性格とその素顔 ~ 双子兄弟のピョートル(ロッシー)との違い
◎2014年9月13日(土曜日)訪問
ノヴォシビルスク動物園訪問三日目 ~ "Pour que Gerda et Shilka soient heureuse..."
シルカちゃん、ゲルダさん、クラーシン君、お元気で! そしてまた会う日まで!
by polarbearmaniac | 2015-02-04 18:30 | Polarbearology

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