街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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ロシア・ウラル地方、ペルミ動物園で暮らすアンデルマと二頭の若年個体たち ~ 雪のプレゼントに大喜び

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アンデルマ (2013年10月1日撮影 於 ロシア、ペルミ動物園)

ロシア・ウラル地方の都市であるペルミの動物園に暮らすホッキョクグマといえば今更もうここで申し上げる必要もないでしょう。 昨日御紹介したモスクワ動物園で昨年11月にまた出産を果たしたシモーナの祖母にあたるアンデルマです。
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このアンデルマは日本に大変に縁の深いホッキョクグマであることは今まで何度もご紹介してきました。 彼女の新しい孫が大阪の天王寺動物園で昨年11月に誕生したことはご承知の通りです。
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アンデルマ (2013年10月1日撮影 於 ロシア、ペルミ動物園)

このアンデルマは1989年9月に極北のノーヴァヤ・ゼムリャー島付近で息子のメンシコフ(現 レニングラード動物園)と共にレニングラード動物園のスタッフによって野生で捕獲された経緯は以前にご紹介しています (過去関連投稿 - ロシア・ペルミ動物園のアンデルマ、その日常の姿 1~4)。 このアンデルマはそういった経緯により実は年齢が不詳なのですが、現在33歳であるという説がロシアでは有力です(私は31歳、又は32歳だろうと考えています)。 ロシアの地方都市の小さな動物園でひっそりと暮らしていたアンデルマですが、2013年の夏に野生孤児個体の雄のセリク、そしてその年の秋にはカザン市動物園生まれの雌のユムカ(ミルカ・ユーコノヴナ)という当時はまだ一歳になっていなかった二頭の幼年個体がペルミ動物園に加わったため、このアンデルマは30歳以上年下のこの二頭の幼年個体の「母親役」を務めることになったわけでした。 こういった経緯の全ては今まで全て洩れなく投稿しています(過去関連投稿参照)。
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アンデルマ (2013年9月30日撮影 於 ロシア、ペルミ動物園)

このアンデルマは私の言い方で 「アンデルマ/ウスラーダ系」 という大血統グループの総元締の存在であり、昨年暮れに世界の動物園で誕生した赤ちゃんでは、大阪・天王寺動物園の赤ちゃんはアンデルマの孫、モスクワ動物園の双子の赤ちゃんはアンデルマの曾孫、ニュルンベルク動物園の赤ちゃんはアンデルマの玄孫、アンティーブのマリンランドの赤ちゃんはアンデルマの来孫といったように昨年暮れに誕生して現在発表されている11頭の赤ちゃんたちのうちの5頭がアンデルマの直系の子孫として新たに登場しているわけです。 日本にもすでにカイ(仙台)、ロッシー(静岡)、イワン(旭川)、ホクト(姫路)、ゴーゴ(大阪)といった雄の5頭に加え間もなく来日するシルカ、こういった個体たちがアンデルマの直系血族なのです。 なぜこれほどアンデルマの血族が拡大したかと言えば、それはアンデルマ自身だけではなく彼女の息子のメンシコフのパートナーであるウスラーダ、そしてこのメンシコフとウスラーダの間に生まれたシモーナという、このサンクトペテルブルクとモスクワの二頭の雌のホッキョクグマたちが 「偉大なる母」 として繁殖能力に優れているからなのです。 この「アンデルマ/ウスラーダ系」の一族の大きな繁栄は、特に日本のホッキョクグマ界における血統の多様性の維持に重大な脅威をもたらすほどのものとなっています。
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アンデルマ (2013年10月1日撮影 於 ロシア、ペルミ動物園)

私が2010年、2012年、2013年という三度のペルミ訪問におけるそれぞれ数回の動物園訪問で実際に会ったアンデルマは、まさに比類ないほど素晴らしいホッキョクグマでした。 ウスラーダが「現世の女帝」 とするならば、アンデルマはまさに「雲上の神」といったところでしょう。 現在アンデルマと一緒に暮らしているセリクとユムカ(ミルカ・ユーコノヴナ)はアンデルマが自分たちの実の母親でないものかかわらずアンデルマに授乳を求めようとしているシーンは以前にご紹介していますが、そういった「人(熊)徳」に優れているアンデルマの包容力というのは只者ではないわけです。 ウスラーダは自らが偉大なホッキョクグマであることを自覚し、そしてその自分の偉大さを周囲に漂わせるホッキョクグマであるのに対して、このアンデルマはその存在自体が不思議な光沢を発し、そして根元的な美の世界を自然体で体現している別格のホッキョクグマなのです。 私はこのアンデルマに初めて会った時から彼女に魅了され続けています。 そして過去関連投稿の数をご覧いただければ、私がいかに心血を注いでこのアンデルマのことをこのブログを訪問していただいた方々にご紹介したいと願ってきたかは、おわかりいただけると思います。 私は過去数回のペルミ動物園の訪問でアンデルマの写真は合計約1500枚撮影しています。 そのうちこのブログで今までご紹介しているのは50枚程度です。 一頭でこれだけの枚数の写真を撮影したホッキョクグマは日本ではララファミリーの何頭かのホッキョクグマたちだけでしょう。
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ペルミ動物園のアンデルマ(左)、ユムカ(中央)、セリク(右)
Photo(C)Пермский зоопарк

さて、ペルミ動物園は16日に撮影されたおもしろい動画を四本も同時に公開しました。 そこに映っているのはアンデルマ、セリク、ユムカ(ミルカ・ユーコノヴナ)の三頭です。 これらの映像をご紹介しておきましょう。 ペルミ動物園ではホッキョクグマ舎の屋根に積もった雪を降ろし、そしてその雪を飼育展示場に落としたわけでした。 三頭のホッキョクグマたちはそれに大喜びだったそうです。 早速雪遊びを始めました。 映像の開始部分では左がアンデルマ、中央がユムカ(ミルカ・ユーコノヴナ)、右がセリクです。



次は左がセリク、中央がユムカ(ミルカ・ユーコノヴナ)、右端がアンデルマです。 雪の山が大分崩れています。



次の二つの映像は、この雪のプレゼントがある前の映像のようです。 開始部分で左がアンデルマ、右がユムカ(ミルカ・ユーコノヴナ)です。 ユムカ(ミルカ・ユーコノヴナ)はパイプのようなものに興味を持ったようです。



次は上の映像の続きでユムカ(ミルカ・ユーコノヴナ)はパイプの興味深々です。 アンデルマは途中から右端に登場しますが、鶏肉のようなものを食べています。



これらの映像は地味なものですが、ロシアの地方都市の小さな動物園で暮らすホッキョクグマたちが日常のちょっとした変化にも非常に喜んで夢中になっている姿を映したものとして私には非常に心温まるものとして眼に映ります。 偉大なるアンデルマは健在です。 うれしいことです。
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ペルミの街角 (2013年10月1日撮影)

(資料)
Новостной сайт Перми и Пермского края (Feb.17 2015 - В зоопарке белые медведи устроили игры в снегу)
В-курсе.ру (Feb.17 2015 - В пермском зоопарке медвежата устроили снежную битву)
Рифей-Пермь (Feb.17 2015 - В пермском зоопарке белые медведи устроили снежное побоище)

(過去関連投稿)
*ユムカ関連
ロシア連邦 ・タタールスタン共和国、カザン市動物園でホッキョクグマの赤ちゃん誕生!
ロシア連邦 ・タタールスタン共和国、カザン市動物園で誕生の赤ちゃんの命名について同動物園が告知
ロシア連邦 ・タタールスタン共和国、カザン市動物園の赤ちゃん命名のイベントは悪天候で延期となる
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ロシア連邦 ・タタールスタン共和国、カザン市動物園の雌の赤ちゃんの名前が 「ユムカ 」 に決定!
ロシア連邦・タタールスタン共和国、カザン市動物園のユムカは順調に生後7か月が経過
ロシア・カザン市動物園のユムカのペルミ動物園への移動の日が迫る  ~ お別れ会が開催の予定
ロシア・カザン市動物園のユムカが来週ペルミ動物園へ移動 ~ 日曜日のお別れ会開催の告知
ロシア・タタールスタン共和国、カザン市動物園のユムカがペルミ動物園に無事到着
*2013年カザン市動物園訪問記
シャリアピンパレスからカザン市動物園へ ~ 別れの時が迫ったマレイシュカとユムカの母娘の姿
偉大なる男ユーコン、中年男の持ついぶし銀の魅力
マレイシュカお母さんの性格と母性
ユムカの性格と素顔 ~ カザンに初雪の降った日...そして別れ
*セリク関連
ロシア極北、カラ海のベルイ島で前脚をケガをして動けなくなっていたホッキョクグマの赤ちゃんが保護される
ロシア極北、カラ海のベルイ島で保護された赤ちゃんはセリクと命名され、ペルミ動物園での飼育が決定
ロシア極北のベルイ島で保護されたセリクがペルミ動物園に到着 ~ 10月にカザンからユムカも来園予定
ロシア極北のベルイ島で密漁者の銃撃により負傷し保護されたセリク、ペルミ動物園で報道陣に公開される
ロシア極北で負傷、ペルミ動物園で保護されたセリクについて ~ ロシアでの野生孤児の個体保護の問題点
ペルミ動物園で保護されている野生孤児セリクの素顔 ~ まだ順応できない環境の激変
*ユムカとセリク
ロシア・ペルミ動物園におけるセリクとユムカの近況 ~ テルペイがロストフ動物園に移動か?
ロシア・ペルミ動物園でのセリクとユムカの初顔合わせは不調に終わる
ロシア・ウラル地方 ペルミ動物園でアンデルマが気の強いユムカに手を焼く ~ 大物に挑みかかる小娘
ロシア・ウラル地方、ペルミ動物園のユムカと野生孤児のセリクとの関係が良好となる
ロシア・ウラル地方、ペルミ動物園でアンデルマとユムカ、そして野生孤児セリクの3頭同居は順調な滑り出し
ロシア・ウラル地方、ペルミ動物園でのアンデルマ、ユムカ、セリクの三頭同居は大きな成果を上げる
ロシア・ウラル地方、ペルミ動物園でのアンデルマ、ユムカ、セリクの三頭同居の近況 ~ 最新の映像が公開
(*以下、アンデルマ関連)
雌の入手を求めてペルミ動物園を訪問したベルリン動物園のブラスキエヴィッツ園長ロシア・ペルミ動物園の歴史を物語る貴重な写真 ~ ペルミ州知事が公開のコレクションより
ロシア・ペルミ動物園、ホッキョクグマ舎に置かれた「赤いソファ」
ロシア・ペルミ動物園でのホッキョクグマへの活魚のプレゼント
ロシア・ペルミ動物園で夏期恒例の活魚のプレゼント始まる ~ アンデルマ健在!
ロシア・ペルミ動物園、アンデルマとテルペイの夏
ロシア・ペルミ動物園のホッキョクグマ、「生ける伝説」となったアンデルマ
ロシア・ペルミ動物園で一般公開された生後3ヶ月のゴーゴ(現・天王寺動物園)の様子
ロシア・ペルミ動物園、アンデルマの表情(1) ~ 捕捉し難き素顔
ロシア・ペルミ動物園、アンデルマの表情(2) ~ その存在への認識
ロシア・ペルミ動物園のアンデルマ、その日常の姿(1) ~ 遠征での映像より
ロシア・ペルミ動物園のアンデルマ、その日常の姿(2) ~ 遠征での映像より
ロシア・ペルミ動物園のアンデルマ、その日常の姿(3) ~ 遠征での映像より
ロシア・ペルミ動物園のアンデルマ、その日常の姿(4) ~ 遠征での映像より
ロシア・ウラル地方 ペルミ動物園が創設80周年を祝う ~ 偉大なるアンデルマ健在!
ロシア・ウラル地方、ペルミ動物園で夏期恒例のホッキョクグマへの活魚のプレゼント始まる
*2010年、2011年ペルミ動物園訪問記
ペルミ動物園に入ります
「おいゴーゴや、お母さんだよ。元気でやってるかい?」
アンデルマの輝かしい姿に感動....!
アンデルマの三態
アンデルマさん、お元気で!
ペルミ動物園へ ~ アンデルマとの待望の再会!
アンデルマ、至高の存在である名ホッキョクグマの素顔
好男子テルペイの素顔 ~ ペルミ動物園2日目
アンデルマ、その年齢を超えた丸顔の美形
アンデルマに午後3時のおやつは肉のプレゼント
ホッキョクグマに魚のプレゼント ~ ペルミ動物園3日目
ペルミ動物園、ホッキョクグマに一日2度のおやつのプレゼント
アンデルマさん、お元気で! ~ ペルミ動物園最終4日目
ペルミ動物園前のオルジョニキーゼ通りを西に歩く
*2013年ペルミ動物園訪問記
小雨のペルミ動物園へ ~ 偉大なるアンデルマとの再会、そして野生孤児のセリクとの出会い
ペルミ動物園で保護されている野生孤児セリクの素顔 ~ まだ順応できない環境の激変
アンデルマ、その至高のホッキョクグマの色褪せることなき永遠の伝説
ペルミ動物園訪問2日目 ~ ペルミに初雪の舞った日のホッキョクグマたち
アンデルマさん、お元気で! ~  「日本に暮らす我が息子たち、孫たち、曾孫のホッキョクグマへ...」
by polarbearmaniac | 2015-02-18 01:30 | Polarbearology

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