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街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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大阪・天王寺動物園のゴーゴ(クライ・ユーコノヴィチ)が南紀白浜のアドベンチャーワールドへ

大阪・天王寺動物園のゴーゴ(クライ・ユーコノヴィチ)が南紀白浜のアドベンチャーワールドへ_a0151913_15582642.jpg
ゴーゴ(クライ・ユーコノヴィチ - Край Юконович) 
(2012年8月25日撮影 於 大阪・天王寺動物園)

本日大阪市より発表があり、ペルミ動物園のアンデルマの息子である天王寺動物園で飼育されている10歳お雄のゴーゴ(クライ・ユーコノヴィチ)が南紀白浜のアドベンチャーワールドに繁殖目的のBLで出張することが発表されました。 出発は3月2日の月曜日であり、ゴーゴの帰園時期というのは未定だそうです。 (*追記 - 産経新聞の報道によると「1年間の予定」となっています。) また、ゴーゴの壮行会は3月1日に天王寺動物園で行われることも同時に発表されています。

このゴーゴの出張というのは本ブログではもう不可避な既定の方針であることを前提として述べてきた通りであり、全く意外な話ではありませんし、今か今かと発表が待たれていたことでした。 出張先が白浜のアドベンチャーワールドというのも今としてはなんとなく理解できるところです。 ゴーゴのパートナーはオホトとなるということですが、それもなんとなく理解できるところです。 私はゴーゴは上野動物園に行くのではないかとも思ったこともありますが、やはり上野はホッキョクグマの繁殖にはBLを非常に嫌がるという傾向があるわけで、どうしてもデアのパートナーは上野が所有権を持つ固定パートナーの雄の個体にしたいという意向は変わらなかったようです。 上野にも他園からBLで受け入れている動物は実際には若干はあるでしょうが、ホッキョクグマなどではまずそれはやりたがらないということです。上野は一度は「「国内の動物園が連携した繁殖計画に基づき、相手のオスを探したい」として、今までの所有権を獲得した雄の個体を繁殖に寄与させるという方針を転換したかのように見えたわけですが、やはりそう簡単ではなかったようです。 これが上野のプライドというわけです。 しかし私は上野がその従来の方針を貫けるかどうかはやや微妙だろうとも思っています。 

今度ゴーゴのパートナーとなるアドベンチャーワールドの23歳のオホトですが、彼女のパートナーだったアークティクが昨年3月に亡くなっており、私はこれでオホトは繁殖の舞台からは引退かなとも思ったわけですが、そうではなかったようです。 ゴーゴの母親であるアンデルマが「雲上の神」ともいえるほど偉大なアンデルマであることはご承知の通りですが、このオホトの母親であったメルセデス(Mercedes/マーセディス)はイギリスではカリスマ的ともいえる非常に有名なホッキョクグマでした。 この件については 「メルセデス (1980 – 2011)、その生涯の軌跡」 という投稿、そしてその投稿の下に挙げてある過去関連投稿をご参照下さい。 上野のプライドというものが仮になかったとしても、やはり地理的にも東京よりも白浜のほうが出張させやすかったということは言えそうです。 まだまだオホトには繁殖に挑戦してもらおうということでしょうが、問題はオホトの育児能力でしょう。

ゴーゴの壮行会は3月1日の日曜日に行われるそうですが、そうなるとバフィン親子の戸外お披露目は3月第一週ではないかという線が出てきました。つまり生後101日が経過したことになるはずの3月6日(金)が候補となって浮かび上がりそうです。 ともかくゴーゴの出張問題が結論をみましたので、バフィン親子の戸外登場が現実味をもって迫ってきたようです。
大阪・天王寺動物園のゴーゴ(クライ・ユーコノヴィチ)が南紀白浜のアドベンチャーワールドへ_a0151913_9193872.jpg
(2012年8月25日撮影 於 大阪・天王寺動物園)

(*追記)
天王寺動物園の公式ブログに本日2月18日付けで「ゴーゴについて」という投稿が掲載されています。 飼育員さんの複雑な胸の内と寂しさが、心の動揺と共に述べられているように思います。

少しだけ意味の取りにくい箇所の記述があるように私には感じます。 「このように全力で子育てしているバフィンと赤ちゃんを放飼場に出した時にバフィンがその日に帰ってくる保障がありません。今までのバフィンのことを考えると、帰ってこない可能性の方が高いかもしれません。」 とお書きになっていらっしゃる意味は、「現在育児に全力投球しているバフィンにもかかわらず、ゴーゴが同園にいると彼の存在への意識によって全力投球している現在の状況にバフィンがもう戻らなくなる可能性が高い。」 という意味でしょうか? 

それから、「ゴーゴと書かず、あえて優秀なオスのホッキョクグマと書きます。」 という意味は、白浜のアドベンチャーワールドはパンダを除いて個体を名前によって識別せず、来園者には種としてしか展示しない方針であることを念頭に置いて、白浜ではゴーゴは単に「雄のホッキョクグマ」 という呼び方になるのだということを、ひょっとしておっしゃりたいのでしょうか?

飼育員さんの心の動揺が感じられ同情の念を禁じ得ません。 ともかく私が感じるには、バフィンお母さんというのは「育児完全主義者」で、今回は全身全霊を込めて赤ちゃんを育てているだろうということです。 その母親の姿を目の前にして感激している飼育員さんの姿が目に浮かびます。 「ゴーゴの出張」、これは勝者となった雄の「勲章」であると私は思っています。


(資料)
大阪市建設局天王寺動物公園事務所 (Feb.18 2015 - ホッキョクグマ「ゴーゴ」の壮行会を開催します~ブリーディングローンによりアドベンチャーワールドへ出園~)
(*追加資料)
天王寺動物園 スタッフブログ (Feb.18 2015 - ゴーゴについて


(過去関連投稿)
南紀白浜アドベンチャーワールドのオホトのお母さんメルセデス(写真)は健在!
ホッキョクグマの健康管理 ~ スコットランドのメルセデス(南紀白浜AWSのミライの祖母)の体重測定
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和歌山・白浜、アドベンチャーワールドのアークティク死す
by polarbearmaniac | 2015-02-18 15:30 | Polarbearology

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