街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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ロシア・サンクトペテルブルク、レニングラード動物園のウスラーダとメンシコフが次の繁殖挑戦へ同居再開

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ウスラーダ(左)とメンシコフ(右) Photo(C)Ленинградский зоопарк

ロシア・サンクトペテルブルク、レニングラード動物園が世界に誇る「黄金のペア」とも呼ぶべきウスラーダとメンシコフについては今更何を申し上げる必要もないでしょう。 日本のホッキョクグマ界にも非常に関係の深いペアです。 現在27歳の雌のウスラーダ、そして推定26歳の雄のメンシコフとの間にはすでに成育しただけでも16頭の子供が存在しています。 このそれぞれについては以前に 「ロシア・サンクトペテルブルク、レニングラード動物園の女帝ウスラーダの15頭の子供たちの姿」 という投稿でご紹介していましたし、その後に16頭目として雌のザバーヴァが昨年春にお披露目になっています。 
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ウスラーダ (2014年9月16日撮影 於 レニングラード動物園)
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メンシコフ (2014年9月16日撮影 於 レニングラード動物園)

さて、このウスラーダとメンシコフのペアですが地元の報道によりますと今年も更なる繁殖を狙いすでに同居が開始されているそうです。 なにしるウスラーダはもう27歳ですから決して無理をさせてほしくはないわけですが、そうは言ってもこの二頭を別居させ続けておくというわけにもいかないようで、同居させれば結局は繁殖への挑戦を意味することになりますので、これは自然の成り行きだという理解の仕方もあるわけです。
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ウスラーダ (2014年9月16日撮影 於 レニングラード動物園)

多分この二頭の間で今回も間違いなく繁殖行為はあるでしょうが、問題は夏あたりからのウスラーダへの給餌量の増加による体重の大幅な増加と産室内での絶食というプロセスは通過せねばならず、それがウスラーダの体に多少なりとも負担になるのではないかという可能性でしょう 。 このウスラーダというのは並のホッキョクグマなどでは到底ありえません、我々の期待に応えて今年の11~12月に無事に出産する可能性は十分にあると思いますが、レニングラード動物園には是非とも母体の健康にだけは細心の注意を払っていただきたいと思います。 以前の 「ロシア・サンクトペテルブルク、レニングラード動物園のウスラーダの歩む道 ~ 再説: 繁殖可能年齢上限」 という投稿でもご紹介していましたが、ホッキョクグマの最高齢出産成功世界記録 (つまりその後の成育にも成功したということ) はアメリカ・デトロイト動物園で飼育されていたドリス (1948 ~ 91) の持つ35歳11か月という、とんでもないほど凄まじい突出した大記録です。 しかし、現在27歳となっているウスラーダがさらに今年の11~12月に17頭目の赤ちゃんを無事に28歳で出産するとそれば、おそらくそれはデトロイト動物園のドリスに次ぐ「高齢出産成功記録」である可能性が極めて濃厚でしょう。
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メンシコフ (2014年9月16日撮影 於 レニングラード動物園)

それからこの雄のメンシコフですが、彼は私が心底惚れきっていまる雄のホッキョクグマです。 いったいどうやったらこれほど素晴らしい雄のホッキョクグマが存在しうるのか、全く不思議な話です。 彼はありとあらゆる美点を全て兼ね備へ、欠点というものが皆無なアポロ的ホッキョクグマです。 雄のホッキョクグマの 「偉大さ」 という点でこのメンシコフと唯一比較できる(できた)のはドイツのロストック動物園で2013年10月に33歳で亡くなった故チャーチルであり、彼の持つカリスマ性も際立っていたわけですが、このチャーチルは2006年に自分のパートナーだったヴィエナに襲い掛かって彼女の左足に大ケガをさせるという大事件があったわけで、この事件をもってチャーチルは自らの繁殖人生に自分で幕を下ろしてしまったわけです。 私はこれが偉大だったチャーチルの生涯の大きな汚点だったと考えており、この点において私は一頭の雄のホッキョクグマとしてチャーチルをメンシコフの上に置くことはできないと考えています。 欧州のファンの方に言わせれば、やはりチャーチルは神のように偉大な存在として心の中に生き続けているということなのだろうとは思いますが...。  ともかく、多くの来園者が飼育展示場にいるウスラーダとその赤ちゃんを見ている一方で、なぜあれほど多くの別の来園者も同じようにメンシコフを見ているかということの説明は、私だけでなくやはり多くの地元の人々がメンシコフに魅了されているという以外には考え付かないわけです。
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メンシコフ Photo(C)Ленинградский зоопарк
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ウスラーダ Photo(C)Ленинградский зоопарк

雌のウスラーダも雄のメンシコフもそれぞれ比類なき偉大なホッキョクグマですが、それがまたペアとなっているというのですからこれはたまりません。 このブログを開設してから5年になりますが私は彼らに会いたさにその間に6回サンクトペテルブルクを訪問し、そしていつもあの有名なエルミタージュ美術館には入らず、その横をいそいそと通り過ぎてネヴァ河を渡り、そしてこのペアに会いに行くためにせっせと動物園へと向かうわけです。 「ホッキョクグマの偉大さ」 とは何なのか、それを説明することは不要です。 ウスラーダとメンシコフに実際に会ってみれば、それが何かは直ちにわかろうというものです。 それは「親しみ」や「優しさ」などではありません。 「ホッキョクグマの偉大さ」とは、それは我々が「仰ぎ見る」ほどの彼らの存在の崇高さであり、そして我々の憧憬の彼方にある彼らの「生命への尊厳」ともいうべきものの体現にあるわけです。ウスラーダとメンシコフにはそれらがすべて備わっているということです。

(資料)
Невские Новости (Feb.20 2015 - Пятьдесят оттенков белого: в Ленинградском зоопарке громко спариваются белые медведи)

(過去関連投稿)
世界一偉大なペアへのプレゼント ~ ウスラーダとメンシコフのバレンタインデー
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by polarbearmaniac | 2015-02-21 13:30 | Polarbearology

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