街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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ロシア・ノヴォシビルスク動物園のシルカの来日後に彼女を飼育するのはどの動物園なのか? (上)

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ゲルダお母さんとシルカ Photo(C)Российской газеты

さて、約一か月半後に来日するはずのシルカですが、いったいどこの園が彼女を入手したのかについて考えてみたいのですが、実はこれを予想するための考え方の枠組みを私なりにまとめておくこととします。 そしてそこから何が浮かんでくるかを考えていきたいと思います。 どの園が入手したかに拘るよりもそのほうが有意義な感じがします。 まず私が考えるところの今回のシルカ来日に多少なりとも関連した事項を時系列的に並べてみます。 私に言わせれば以下の事項は全てシルカ来日問題に関係していると考えます。 しかしこれを解き明かすのは非常に難解なパズルです。

2013年
11月27日 アドベンチャーワールド(AWS)で雄のプロスペロー(仮称)誕生
12月11日 シルカ誕生
2014年
2月25日  シルカ誕生の正式発表
3月19日  シルカの性別は雌と判明、AWSでアークティク死亡
5月16日  AWSでミライ急死
5月下旬   男鹿水族館が動物商提訴
6月 4日  シルカ入手を狙うのはブラジル、日本、中国であることが報道
6月18日  男鹿水族館、動物商に勝訴
8月上旬   イジェフスク動物園に野生孤児の雄のバルーが入園
11月11日  シルカ入手を狙うのがブラジルと日本の動物園に絞られる
11月13日  シルカが母親から引き離される
11月14日  レニングラード動物園の雌のザバーヴァのイジェフスクへの
         移動内定
11月25日  大阪でバフィンが出産、翌日報道あり
11月26日  上野動物園がデアのパートナー入手にBL受容の方針示す
12月中旬   イジェフスク動物園の雄のニッサンがモスクワ動物園に移動
          ピリグリムとオーロラがブラジルへ出発
12月21日  札幌でララが出産、三日後に発表
12月下旬   イジェフスク動物園に雌のザバーヴァがレニングラード動物園
         より入園

2015年
1月12日  シロ園長、シルカの単純な売却は行わない意向を示す
2月 4日  シルカ譲渡に関する日本との契約書締結の事実が判明
2月18日  大阪のゴーゴのAWS出張が発表

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シルカ Photo(C)Российской газеты

さて、一歳の雌のシルカを入手した動物園(etc.) は、シルカが雌(メス)であるからこそ入手したのでしょう。 つまり将来的にシルカに繁殖を担わせようということからでしょう。 そうなると現在シルカと年齢的に近い雄(オス)の幼年・若年個体の存在なしにはシルカの入手は意味をなさないわけです。 そして更にシルカは3~4月に来日するわけで、その時期にシルカのためのスペースが確保されている動物園でなければなりません。

現在ホッキョクグマを飼育している各園を、あくまでも私なりに考えてみます。

・旭川 – 繁殖が期待されている雌が三頭(サツキ、ルル、ピリカ)も存在し、しかもスペース不足なのでシルカを入手する動機無し。

・帯広 – スペースも資金もなし。

・釧路 – 繁殖適齢期のツヨシと幼年個体のミルクという二頭の雌が存在しておりシルカ入手の動機無し。

・札幌 – 「黄金の三角形(アイラ、マルル、ポロロ)」 の雌を有しており、さらにララの新しい子供もいる(性別不明)。 この状態で雌のシルカは不要。 ただし、シルカが来日すれば受け入れるスペースはある。 同園ではイコロ、キロルという6歳の雄の権利も有しているがシルカとは年齢差があるのでパートナーとはしにくい。

・男鹿 – 豪太/クルミの更なる繁殖に挑戦中。 シルカのためのスペースなし。

・仙台 – カイ/ポーラの若年ペアで繁殖に挑戦中。シルカ入手の動機無し。 ナナはデビーの娘で長寿が予想され、シルカが同園に入りこむ隙はない。

・上野 – デアのパートナー問題すら解決しておらず、シルカ入手の余裕なし。 ただし当面のスペースはあり。

・八景島 – ユキマル/ユキヒメで繁殖挑戦状態が持続中。 シルカ入手の動機なし。

・横浜 – ジャンブイ/バリーバで今年も繁殖挑戦の意向でありシルカは不要。 ただし、将来のために確保するという動機は持ちうる。 スペースは工面すれば確保可能。

・静岡 – ロッシーの双子兄弟のクラーシン(カイ)の娘であるシルカは不要。

・浜松 – バフィン親子の存在がのしかかる。 バフィンの帰還問題とキロルの残留問題は他力本願であり、シルカ入手の環境が整わない。

・名古屋 – 雄一頭、雌二頭が飼育されており、シルカ入手の動機無し。

・豊橋 – 二頭が飼育されキャンディの権利も有し、シルカ入手の動機なし。

・大阪 – バフィン親子が存在しておりシルカのためのスペースなし。

・姫路 – ホクト/ユキで繁殖挑戦中。 シルカ入手の動機なし。

・白浜 – 一歳の雄のプロスペロー(仮称)が存在していてシルカと同年齢のためシルカ入手の動機あり。 だがゴーゴが移動してくるのでスペース的に簡単ではない。 ホッキョクグマには金をかけたくない姿勢である。

・神戸 – アイスとミユキのペアがおり、シルカ入手の動機なし。

・徳島 – ポロロが存在しており同園は今後もララファミリーの受け皿に徹する方針のようで、札幌に協力することによって今後も金をかけずともホッキョクグマは確保できると考えているのでシルカ入手の動機なし。

・砥部 – シルカのためのスペースはある。 しかしシルカ入手にまとまった金を払うかは大いに疑問。

・徳山 – 新飼育展示場が計画されているが完成前にはユキと交代展示ならスペースは可能かもしれない。 しかしシルカ入手にまとまった金を払うかは大いに疑問。

・熊本 – 仮にシルカが雄だったら「大博打」を打ってその雄を入手し、マルルとペアにしてマルルを恒久的に熊本に確保する狙いはあったかもしれないがシルカは雌であり入手の動機なし。

・阿蘇 – 真昼の冗談である。

・鹿児島 – ホクト、カナの健康問題浮上の可能性によりシルカ入手の動機はあるが、スペース的に困難。 さらにシルカ入手にまとまった金を払うかは大いに疑問。

....といったところでしょうか。 シルカは3~4月に来日しますので、まずその時にスペースが確保可能な動物園でなければなりません。 とすれば、札幌、上野、横浜、砥部は当面ならばスペースは可能でしょう。 スペース問題で不透明なのは浜松、白浜といったところでしょうか。 それらを比較してみますと札幌が一番スペース確保の点で有利ですが、いかんせんララファミリーの若年・幼年個体を何頭も他園に預けていますので、それに加えてシルカを入手するという稟議は札幌市の組織内部では全く通らないでしょう。 砥部はホッキョクグマを購入する意思はないでしょう。 白浜はシルカ入手の意思がない(あるいは断念した)からこそゴーゴの出張を受け入れたのだとも考えられます。 しかしこのあたりは微妙です。

次に、一歳の雌のシルカのパートナーとなりうる年齢の近い雄を飼育しているかどうかという点ですが、白浜のプロスペロー(仮称)はシルカと同年齢ですのでパートナー候補となりえます。 しかし白浜はホッキョクグマ入手などに金は使わないはずです。 さらに札幌のララが産室で育児している赤ちゃんが雄ならばやはりパートナー候補と成り得ます。 同じ札幌市所有の6歳のイコロとキロルは考え様によってはなりえますが、しかしシルカが繁殖可能となるまであと4~5年を要します。 イコロとキロルのパートナー問題はどうするかという問題について私は円山動物園の今後の見通しと考え方はよくわかりません。 ましてや新飼育展示場建設と欧州個体との交換問題をどう考えるかは難しい問題です。 昨年12月21日にララが出産したためにその赤ちゃんのパートナー候補として今年の2月4日にシルカ入手の契約を結んだと考えるのは無理でしょう。 何故ならララの赤ちゃんはその時点では性別不明だからです。

こうやってスペース問題、パートナー個体所有問題、資金問題を考えてみると、シルカを入手しようという日本の動物園は見当たらないように思います。 少なくとも合理的に考えれば存在しないと言って良いでしょう。 にもかかわらずシルカは3~4月に来日するということなのです。 これをいったいどう考えたらよいでしょうか?
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シルカ Photo(C)Российской газеты

私が思うに、要するにシルカを入手したのがどの動物園なのかを考える大前提の条件自体が間違っているのではないかということです。 つまり「シルカが雌(メス)であるからこそ、将来の繁殖のために入手した。 現在シルカと年齢的に近い雄(オス)の幼年・若年個体の存在なしにはシルカの入手は意味をなさない。」 という発想の前提自体が間違いではないかということです。 どういうことかと言いますと、シルカを入手した動物園は、「ホッキョクグマならば雄でも雌でもよい。将来の繁殖パートナー候補は今存在しなくてもよいし、将来も必ずしも必要ではない。」 という考え方なのではないかということです。 つまり、少なくとも単なる展示目的のためだけに入手したのではないかということです。 こういう発想で再び考えてみますと意外な予想が出てくるわけです。

私がロシアの某筋から遠巻きに得た情報を総合すると、日本の動物園で当初シルカを入手しようとしたのはX と Y だったそうですが、交渉は途中で膠着状態の様相を帯びたようで、そうしているうちに後になってZが出現したようです。 結局Zが最終的に勝利したらしいのですが、このZ はY と同じであるという説もあるようです。 ともかく、X、Y が何故行き詰ったのか、そして何故Z が途中で参入したにもかかわらず勝利したのかということが冒頭の時系列の出来事のなかに読み取れるかどうかがポイントです。 私はこのX、Y、Z が具体的にどこかは聞いてはいませんし知りません。 しかしなんとなくの想像はつくのですが....。 私にはこの今回のシルカ問題は何か隠された不気味なものの存在を感じないわけにはいきません。 改めて冒頭の時系列的に並べられた一連の出来事をじっくり見て下さい。 なにかそこから隠されたものが見えてこないでしょうか....?
続く

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by polarbearmaniac | 2015-03-02 06:00 | Polarbearology

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