街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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大阪・天王寺動物園のバフィン親子の今後を展望する

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大阪・天王寺動物園で昨年11月25日にバフィンお母さんから誕生した雌の赤ちゃんのフローラ(仮称)ですが、公開されたばかりのこの親子がはたしてこれからどうなっていくのかはやはり気になるところです。 そもそもこの親子はいつまでこうやって天王寺動物園で暮らしていくのかは多分現段階では決まっていないように思われます。 ちょっとその展望を考えておきましょう。
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そもそも天王寺動物園ではゴーゴとバフィンの繁殖挑戦は2014年が最後の機会だという捉え方をしていたように私は記憶しています。 「最後」という意味はゴーゴとバフィンの組み合わせは契約問題やバフィンの年齢から考えて最後なのだろうという漠然とした意味でしか私は考えていなかったわけですが、しかしこうして繁殖に成功してみますと、この「最後」ということが俄然、別の意味を持ってくる可能性があります。 日本のホッキョクグマ界では「2年サイクル」の繁殖に対する根強い信念が存在しており、そうする理由を、かつてはアザラシ捕獲技術習得期間の不要に求め、そして近年は繁殖挑戦回数の増加がもたらす繁殖成功による飼育下の個体数維持に求めているわけです。 日本の動物園関係者の一連の行動から察するに、この「2年サイクル」の繁殖への信念には一点の揺らぎもないように感じます。 そうなると、このバフィンは仮に大阪と浜松との間の契約関係を脇に置いておけば24歳の来年に再び大阪で繁殖への挑戦の舞台に立たされる可能性は十分にあると考えられるわけです。 現にゴーゴの白浜出張期間は契約上は一年間です。 何月何日という具体的な期間日が未定であるということにすぎないわけです。 ということは、このフローラが母親であるバフィンと同居するのは来年の2月頃までだろうという一応の予想は成り立つようにも思われます。
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さて、しかし仮にバフィンの年齢を考慮して彼女の来年の繁殖挑戦はないのだとすれば、今度はバフィンとフローラの親子の二年目が大阪で継続されるかどうかです。 これはゴーゴの帰還問題と大きな関係があるように思います。 私には何とも予想が付きません。 この点においては天王寺動物園にも展望があるようには見えません。 さらに、浜松では最終的にバフィンの帰還を受け入れて彼女の余生は浜松で過ごさせてやりたいという希望を持っているようですが、これは園としての意向なのか御担当者としての単なる希望なのかについては私にはよくわかりません。 多分両方のような気がします。  さてそうなると、バフィンの浜松への帰還は来年2月頃になるのか、それとも再来年の2月頃になるのか、それも予想がつきません。 前者の場合はバフィンとフローラはそこで別れることになるでしょう。 後者の場合はバフィンとフローラの大阪での同居は二年間となるでしょう。 前者の場合も後者の場合もフローラは大阪から離れて別の園に移動するでしょう。 それがどこになるのかの予想は現段階では難しいでしょう。 しかしマルルが熊本、ポロロが徳島という預託の前例から考えれば、フローラはホクトのいなくなった鹿児島へという線は消えないで残りそうです。
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2010年の暮れにアイラ、2012年の暮れにミルク、マルル、ポロロの三頭が日本で誕生して性別が雌と判明したときには「世界的に貴重な雌が生まれてよかった」 と一応は思ったわけでした。 さて、ところが上野のデアはその後も悠々の独身生活を楽しんでいます。 そうこうしているうちにこうして大阪で生まれた赤ちゃんのフローラも雌でした。 ところがとんでもない場所からまた雌のシルカが日本にやってくるわけです。 ララが現在産室で育児している赤ちゃんは、また雌のような気もします(少なくともデータ上は雌を強く示唆しています)。 何だか今までとは別の方角から急に首が絞めつけられた日本のホッキョクグマ界なのです。
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天王寺動物園はこのバフィン親子の今後については日本のホッキョクグマ界の今後の状況次第だと考えているようです。 しかし冷静に考えてみて下さい。 現時点から来年の二月までの間に日本のホッキョクグマ界で繁殖に関わることで確実に生じる重要な出来事は以下しかありません。

・札幌のララの赤ちゃんの性別の判明
・ノヴォシビルスク動物園のシルカの来日

この二つだけです。 今年の暮れに日本でホッキョクグマの赤ちゃんの誕生があるかどうかは極めて不確定な要素です。 誕生したとしても少なくとも再来年の2月頃までは誕生園で必ず母親と過ごすわけです。 そしてこれらの全てはいずれも大阪には無関係な話です。 ということはつまり、現時点でこの親子の同居の展望を考えておくことも来年2月頃になってからそれを考えることも、基本的には同じようなものであるという可能性は大きいわけです。 となると、現段階でバフィン親子の同居期間を決めておいても問題はないように思われます。 私の意見はバフィン親子は二年間大阪で同居させるべきであるという考え方です。 動物福祉 (Animal welfare) の観点からもそれが正しいと思われます。 そろそろ日本もこの親子の同居については二年間を採用すべき時でしょう。

(写真は全て2015年3月14日撮影 於 大阪・天王寺動物園)
Nikon D5300
シグマ APO 50-500mm f/4.5-6.3 DG OS HSM

(過去関連投稿)
「ホッキョクグマ飼育マニュアル(Care Manual)」よりの考察(11) ~ 母子をいつ引き離すか
ロシア・西シベリア、ノヴォシビルスク動物園のシロ園長が批判する近年の欧米の 「三年サイクルの繁殖」
仕事師デナリ、その活躍の光と影 ~ 彼の繁殖の舞台からの 「強制引退」 はありえるのか?
今年2014年のホッキョクグマ界を振り返って ~ 世界のホッキョクグマ界における日本の現在の位置確認

(*注 - フローラというのは勿論、この赤ちゃんたちの正式な名前が決まるまで私が便宜上、勝手につけた仮称です。)
by polarbearmaniac | 2015-03-15 23:55 | Polarbearology

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