街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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ドイツ・シュトゥットガルト、ヴィルヘルマ動物のフェリックス、その「天才的」な雌攻略能力の発揮を開始

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フェリックス(左)とコリンナ(右) Photo(C)Wilhelma Stuttgart

ドイツ・シュトゥットガルトのヴィルヘルマ動物園で飼育されている25歳の雌のコリンナのパートナーとなるべく一週間ほど前にニュルンベルク動物園の13歳の雄のフェリックスがヴィルヘルマ動物園に到着した件はすでに投稿しています

この25歳のコリンナはすでに一度、出産・育児を経験しており、それは2007年12月に誕生した雄のヴィルベア(現 スウェーデン、オルサ・ベアパーク)でした。 その後も同園ではこのコリンナの出産が期待されていたわけですが彼女のパートナーだったアントンが昨年2月に非業の死を遂げ、それに代わるこのコリンナのパートナーとして昨年ミュンヘンのヘラブルン動物園のヨギがヴィルヘルマ動物園に出張したものの最終的には結果を出すことができませんでした。 今年はもうコリンナは25歳になっているのですが、おそらく今年が繁殖への最後のチャンスと考えられているためにかニュルンベルク動物園のフェリックスがヴィルヘルマ動物園に出張してきたというわけです。 世界のホッキョクグマ界の今年の繁殖シーズンで最も注目すべきなのがこのヴィルヘルマ動物園ということで間違いないでしょう。

この雄のフェリックスは以前にもご紹介していますが、おそらく世界で最も繁殖能力が優秀な雄であるとみて間違いないでしょう。 狭義の意味での「繁殖能力」、それは生物学的な観点からのものですが、しかし彼には広義の意味での「繁殖能力」という、おそらく世界の雄のホッキョクグマの中でそれを持っているのはこのフェリックスだけではないかと思われる稀有の能力があるわけで、あのレニングラード動物園の帝王メンシコフすら持っていない特質です。 それが何かと言いますと、このフェリックスには雌との相性の有無の問題が存在しないということです。 これはどういうことかと言いますと、飼育下のホッキョクグマの繁殖の成功には通常は雄と雌との相性が良いことが前提となり、これが入り口における最大の関門として存在しているわけですが、フェリックスにはこの関門が存在しないということなのです。 彼は全ての雌に興味を持ち、そして全ての雌は彼を受け入れるということです。 そうやってフェリックスを受け入れたが最後、その雌は最低でも必ず出産してしまうということです(育児は別ですがこれは純粋に雌の問題です)。 レニングラード動物園の帝王メンシコフはウスラーダと出会う前に何頭もの雌を拒否したわけです。 日本ではあの円山動物園のデナリはサツキに徹底的に拒否されたわけです。 こういうことがフェリックスにはないということです。
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フェリックス(右)とコリンナ(左) Photo(C)Wilhelma Stuttgart

さて、一週間前にヴィルヘルマ動物園に来園したフェリックスですが、視覚的にコリンナを認識可能だった最初の一日目からコリンナに興味を持ったそうで、コリンナの側も彼に興味を持った様子だったためにヴィルヘルマ動物園の担当者は本日の火曜日にこの二頭を初めて飼育展示場で引き会わせたそうです。 結果は極めて良好 (“Die beiden sind harmonisch miteinander umgegangen”) で、この状況に驚いたらしいヴィルヘルマ動物園は早速HPでこの二頭の「初手合い」の成功を報道向けに報告しているほどです。 今年のフェリックスは昨年のヨギに比べて冷静に立ち回っているそうで、そのあたりからもフェリックスの「非凡さ」を超えたまさに「天才的」ともいえる雌の攻略技術をヴィルヘルマ動物園の担当者は思い知らされた様子です。
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]Photo(C)Wilhelma Stuttgart

コリンナは出産・育児経験があるとはいえ、すでに25歳です。 つまり雌の繁殖可能年齢のリミットの「第二段階」ぎりぎりというわけです。 「第一段階」というのは出産経験のない雌の繁殖のリミットである21歳あたりを設定するわけですが、「第二段階」としては出産・育児経験のある雌の場合の24歳あたりが設定年齢と考えてよいでしょう。 「第三段階」は出産・育児を定期的に何度も繰り返してきた大物の雌のリミットを設定するわけですが、これは現在ウスラーダが挑戦中ですので何歳に設定したらよいかは微妙でしょう。 27~28歳あたりがリミットとなる可能性は大きいでしょう。 さて、ここで以前にもご紹介していますが2008年の映像でヴィルヘルマ動物園でのコリンナお母さんと息子のヴィルベアの、まだ戸外に登場していない時期の室内での映像、そしてお披露目の日の映像を再度見てみましょう。 このヴィルベアについては確かヴィルヘルマ動物園はその誕生の事実を長期間秘匿していたわけです。 お披露目は生後4ヶ月も経過kした後のことでした。





このヴィルヘルマ動物園のコリンナは繁殖可能年齢という土俵からすでに片足が土俵の外に出ている状態のように思うのですが、「打率十割」の天才バッター、「奇跡の男」であるフェリックスをパートナーとして彼女自身が背負っている「繁殖」の二文字が実際のものになるかどうか、極めて注目すべき状況です。

(資料)
Wilhelma (Pressemitteilungen/Mar.17 2015 - Eisbären Felix und Corinna harmonieren gut)
SÜDKURIER (Mar.17 2015 - Eisbären Corinna und Felix turteln im «Pool»)
STUTTGARTER-ZEITUNG (Mar.17 2015 - In Stuttgart liegt Liebe in der Luft)
STUTTGARTER-NACHRICHTEN (Mar.17 2015 - Frühlingsgefühle bei Eisbären-Traumpaar)

(過去関連投稿)
ドイツ・ニュルンベルク動物園、フェリックスの大活躍 ~ 欧州における偉大な雄の素顔
フェリックスさん、はじめまして!
スウェーデン、オルサ・グレンクリット、ベアパークのヴィルベア、静かに 「偉大なる父」 となる日を待つ
ドイツ・シュトゥットガルト、ヴィルヘルマ動物園のアントン、飲み込んだ異物が原因で急死
ドイツ・ミュンヘン、ヘラブルン動物園のヨギがシュトゥットガルトのヴィルヘルマ動物園へ繁殖目的で移動
ドイツ・シュトゥットガルト、ヴィルヘルマ動物園のヨギがミュンヘンのヘラブルン動物園に帰還へ
ドイツ・ニュルンベルク動物園のフェリックスがシュトゥットガルトのヴィルヘルマ動物園へ ~ 仕事師登場
by polarbearmaniac | 2015-03-17 23:55 | Polarbearology

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