街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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オランダ・ヌエネン、「動物帝国」のピセルがイギリスへ ~ 欧州の若年個体「集中基地システム」が発動

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Photo(C)Dierenrijk

小さなニュースなのですが重要な意義を持つ移動が行われています。 オランダ・ヌエネンの 「動物帝国 (Dierenrijk)」 で2012年の11月16日にフリーマスお母さんから誕生した雄のピセル (Pixel) と雌のノルチェ (Noordje) の双子のうち雄のピセルが昨日、イギリスのヨークシャー野生動物公園 (Yorkshire Wildlife Park) に向けて出発したというニュースが「動物帝国」より発表されています。

実は昨年11月に「欧州がホッキョクグマの幼年・若年個体をプールする 『集中基地』を計画 ~ 雌はオランダ、雄はイギリスへ」 という重要な投稿を行っていますのでそれをご参照頂きたいのですが、要するに欧州では基本的に2歳前後となったホッキョクグマの幼年・若年個体は性別ごとに全て一つの動物園に集められ繁殖可能な年齢となるまでそこでプールして飼育されるという新しいシステムが計画されていたわけですが、それはとうとう開始となったというのが今回のピセルの移動の意味だというわけです。 雌はオランダ(エメン動物園)に集められるわけですが雄はイギリスのヨークシャー野生動物公園がその集中プール園となるということでしょう。
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Photo(C)Dierenrijk

実にうまいシステムだと思います。 今までですとEAZA のコーディネーターは2歳前後になった段階で同年齢の他園の別の個体とのペアを決め、そして移動させるということをやっていたわけですがこれが時間的にも個体選択面においても余裕のない状態が続いていたわけで、これでは年齢差のあるペアを形成させにくかったわけですが、ともかく繁殖可能な年齢になるまでペアの組み合わせを考慮する時間的余裕が生じるわけで、これは実に合理的なやり方だと思います。

前回の投稿にも書きましたが仮に札幌の円山動物園がララファミリーの若年・幼年個体と欧州個体との交換を狙うならば前回のようにハノーファー動物園を「一本釣り」にして交渉することは困難になり、EAZAのコーディネーターを交渉の窓口としなくてはならないことを意味するわけです。 これは実は非常にやりにくくなったという印象を私は持ちます。 しかし仮にそれがうまくいきますと(実はこれが至難の業なのですが)、ララファミリーの雄ならばイギリス(ヨークシャー野生動物公園)、雌ならばオランダ(エメン動物園)が行先となり、その後に欧州域内の他園に移動するという2ステップが生じることを意味するわけです。

2008年12月に円山動物園はイコロとキロルが誕生し、そしてその翌年の春にはもう欧州個体との交換の方針が明らかにされたわけです。 その時点で円山動物園には先見の明があったわけですが、これを実現させる障害が「飼育基準」であることを認識するのに数年を要し、そしてその障害への対策として「新飼育展示場」の建設計画を進行させているわけですが、それが完成するまでにはイコロとキロルの誕生からなんと10年弱を要することになるわけです。 その間に欧州は今回のような幼年・若年個体の「集中基地」でのプール制を構築するに至っているわけで、世界はどんどんこうして動いているということです。

(資料)
Dierenrijk (facebook/Mar.23 2015 - Vandaag verhuist ijsbeer Pixel van Dierenrijk naar Yorkshire Wildlife Park in Engeland)

(過去関連投稿)
(*ピセル関連)
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(*「集中基地」関連)
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欧州がホッキョクグマの幼年・若年個体をプールする 「集中基地」 を計画 ~ 雌はオランダ、雄はイギリスへ
by polarbearmaniac | 2015-03-24 12:00 | Polarbearology

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