街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


by polarbearmaniac

プロフィールを見る

ロシアのサーカス団の四頭のホッキョクグマたち、元気に今度はイジェフスク公演へ ~ 尊厳とは何か?

a0151913_1491771.png
Photo(C)Наталья СМЕТАНИНА/Удмуртская правда

当ブログでは以前からロシアのサーカス団で演技を行っているホッキョクグマたちを追い続けています。 現在、ロシアではサーカスで演技を行うホッキョクグマたちを率いているのはホッキョクグマの調教師であるユリア・デニセンコ女史とその夫であるユーリ・ホフロフ氏、そして四頭のホッキョクグマであるモーチャ (Мотя)、ウムカ (Умка)、クノーパ (Кнопа)、ドーラ (Дора) というチームが唯一であり、彼らの姿を追い続けているわけですが、今年の二月にロシアのサンクトペテルブルクで公演を行った様子と、こういったサーカスで演技を行うホッキョクグアに関する問題点については「ロシアのサーカス団の四頭のホッキョクグマたち、元気にサンクトペテルブルク公演へ」、及び「極地で死ぬかサーカスで生きるか? - "Смерть на полюсе или жизнь в цирке?"」という二つ投稿に凝縮してかなりうまく纏めることができたつもりですのでそれらもご参照下さい。ですので今回はそういった問題点について再度触れることはしないでおきます。 毎回述べていますが私はホッキョクグマにサーカスでこのような演技をさせることは当然反対ですが、このようなホッキョクグマたちがケガや病気が無く元気でいるのかどうかが気にかかり、こうして彼らの姿を追い続けているわけです。
a0151913_1533563.jpg
Photo(C)Анастасия МАЛЫШЕВА/Комсомольская правда
a0151913_2142774.jpg
このほどこのチームはサンクトペテルブルクのサーカスでの公演を終え、今度はロシア・ウドムルト共和所のイジェフスクのサーカスで今月6日から公演を開始しています。 そしてこれらの四頭が元気で演技を行っている様子が報じられました。 この四頭のホッキョクグマたちはそれぞれ一頭当たり一日に6キロの肉と3キロの魚を食べるそうで、その他ではスイカの大好物となっているそうです。 今回のイジェフスク公演の様子を報じる地元のニュース映像を見てみましょう。



こういった、動物が登場する演技として比較に持ち出すのはやや適当ではないとも思いますが、最近いろいろと話題にされている水族館でのイルカのショーがあります。 ホッキョクグマのサーカスでの演技も水族館でのイルカのショーも、彼らが実は我々が考えている以上に知能が高いということの一端を見せつけるものとして提示されているわけですが、このどちらも直ちに止めるべきだろうというのが私の考え方です。 これはもちろん、サーカスで演技を行う他の動物たちについても同様です。 ただしこれは以前から述べていますが特にホッキョクグマの場合の問題点として、この四頭がサーカスを引退しても果たして彼らの余生に環境の良い場所を提供してやれるかどうかに大きな不安が残るわけで、これは頭の痛い問題です。ロシアのサーカス団におけるホッキョクグマ(そして他の動物たち)、日本の水族館におけるイルカ、このどちらも、そもそも繁殖などということとは無縁の存在である点(後者においては極めて消極的である点)でも似たようなものであるわけです。前者においては野生孤児の命を救ったということをその存在の弁護の口実にしている点、後者においては集客力の維持というすなわち水族館の経営の根幹の問題であることを継続の口実にしている点も問題であるわけです。 そこには繁殖などという視点はありませんから、要するに彼らを「消費動物」として「使い捨て」にしていることと同じです。 彼らに演技を強いること以上にまさにこの点においてこそ、我々人間は彼らの尊厳を根本的に傷付けていることは明らかであるわけです。

(*追記) 私は思うのですが、「北海道・ロシア極東、動物園繁殖協力共同体」とでもういう構想が実現すれば素晴らしいだろうと考えています。 ホッキョクグマについてはハバロフスクやサハリンのユジノ・サハリンスクに素晴らしいホッキョクグマの展示場が建設されるそうですから、そういった動物園と北海道の動物園との繁殖における協力関係が構築できれば血統の多様性維持に一定の効果があるでしょう。サーカスを引退したホッキョクグマの余生を引き受けるのはやはりロシア極東の動物園が適していると思いますし、不幸にして出現したロシアの野生孤児個体の保護と飼育について北海道の動物園が何らかの形で協力できないかということもあるわけです(ロシア国内法の問題は当然残るわけですが)。またアムールトラなどについても協力関係は有意義だろうと思っています。

(資料)
Я люблю Ижевск (Jun.10 2015 - Белых медведей в цирке Ижевска кормят мороженым и арбузами)
Комсомольская правда (Jun.8 2015 - Белые медведи в цирке Ижевска съедают по 36 килограмм говядины в день и обнимаются с дрессировщиками)
Удмуртская правда (Jun.10 2015 - На манеже ижевского цирка работают самые опасные хищники – белые медведи)

(資料)
トスカ(クヌートの母)とサーカス団の悲しきホッキョクグマたち
サーカス団のホッキョクグマ今昔物語
サーカスを「引退」し余生を送るホッキョクグマ ~ ウクライナ・ハリコフ動物園のティムの夏
サーカス団(ロシア)のホッキョクグマの訓練風景
ロシアの氷上サーカスでスケート演技をするホッキョクグマのラパ ~ その引退の日は遠し
ロシアの氷上サーカスのホッキョクグマ ~ 現役で活躍するラパ、そして引退したホッキョクグマたちの余生
ロシアの氷上サーカスのホッキョクグマのラパ、ベラルーシ公演でも大好評となる
ロシアの氷上サーカスに出演のホッキョクグマたち、元気に公演を続ける
ロシアの氷上サーカスに出演のラパたち5頭のホッキョクグマの最近の様子
ロシアの氷上サーカス団のホッキョクグマたち、モスクワのボリショイサーカスに出演し大好評
ロシアの氷上サーカス団でスケート演技をするラパに遂に引退の日来る ~ スタロースコルィスク動物園へ
ロシア・クラスノヤルスク動物園のセードフ司令官が陸路5日間で無事にスタロースコルィスク動物園に到着
ロシア西部、スタロースコルィスク動物園でのラパとセードフ司令官の近況 ~ ラパの健康状態への危惧
ロシア西部、スタールイ・オスコル市のスタロースコルィスク動物園で、ラパとセードフ司令官の同居が始まる
ロシア・スタロースコルィスク動物園のラパとセードフ司令官が黒海沿岸のゲレンジーク・サファリパークへ
ロシアの氷上サーカス団の四頭のホッキョクグマたち、元気にヴォルゴグラード公演を行う
ロシアのサーカス団の四頭のホッキョクグマたち、元気にロストフ・ナ・ドヌ公演に登場
ロシアのサーカス団の四頭のホッキョクグマたち、元気にサンクトペテルブルク公演へ
極地で死ぬかサーカスで生きるか? - "Смерть на полюсе или жизнь в цирке?"
by polarbearmaniac | 2015-06-10 23:55 | Polarbearology

カテゴリ

全体
Polarbearology
しろくま紀行
異国旅日記
動物園一般
Daily memorabilia
倭国旅日記
しろくまの写真撮影
旅の風景
幻のクーニャ
エッセイ、コラム
街角にて
未分類

最新の記事

ロシア北東部・サハ共和国、ヤ..
at 2017-03-24 15:00
ドイツ・ミュンヘン、ヘラブル..
at 2017-03-23 20:00
男鹿水族館のクルミと豪太のペ..
at 2017-03-22 23:30
ハンガリー・ブダペスト動物園..
at 2017-03-21 20:00
ロシア・ノヴォシビルスク動物..
at 2017-03-21 18:00
ロシア・ノヴォシビルスク市の..
at 2017-03-20 19:00
デンマーク・オールボー動物園..
at 2017-03-19 20:30
チェコ・ブルノ動物園の「国際..
at 2017-03-19 00:30
ドイツ・ミュンヘン、ヘラブル..
at 2017-03-18 11:00
フランス・ミュルーズ動物園で..
at 2017-03-18 00:30

以前の記事

2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月

検索

ブログパーツ

  • このブログに掲載されている写真・画像・イラストを無断で使用することを禁じます。

ライフログ


人生と運命 1


スターリン―青春と革命の時代


モスクワは本のゆりかご


私のモスクワ、心の記憶


自壊する帝国 (新潮文庫)


甦るロシア帝国 (文春文庫)


嘘つきアーニャの真っ赤な真実 (角川文庫)


ロシア 春のソナタ、秋のワルツ-1999-21st


それからのエリス いま明らかになる鴎外「舞姫」の面影


ミチコ・タナカ 男たちへの讃歌 (新潮文庫)


わがユダヤ・ドイツ・ポーランド―マルセル・ライヒ=ラニツキ自伝


ベルリン戦争 (朝日選書)


Hof――ベルリンの記憶


カチンの森――ポーランド指導階級の抹殺


北京烈烈―文化大革命とは何であったか (講談社学術文庫)


慟哭の通州――昭和十二年夏の虐殺事件


主題と変奏―ブルーノ・ワルター回想録 (1965年)


藤田嗣治 異邦人の生涯


Barle's Story: One Polar Bear's Amazing Recovery from Life As a Circus Act


Hotel Adlon: Das Berliner Hotel, in dem die grosse Welt zu Gast war


Ein seltsamer Mann


Alma Rose: Vienna to Auschwitz


St Petersburg: A Cultural History


Gulag


The Guest from the Future: Anna Akhmatova and Isaiah Berlin