街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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ノルウェー・スヴァールバル諸島で遂にホッキョクグマとイルカが遭遇 ~ 無慈悲だったホッキョクグマ

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イルカを食べるホッキョクグマ
Photo(C)Samuel Blanc/www.sblanc.com

ホッキョクグマとイルカ、最近何かにつけて話題になる両者ですが、とうとうこの両者の遭遇がノルウェーのスヴァールバル諸島で観測され、そしてホッキョクグマは「愛すべき」イルカを全く無慈悲に容赦なく襲って捕え、そして食べてしまった光景が世界で初めて撮影されました。ノルウェーの極地研究所 (Norwegian Polar Institute) の研究スタッフは昨年よりスヴァールバル諸島でホッキョクグマの生態研究を行っていたところ、偶然にこの現場に遭遇したわけでした。 そして観測されたこういったホッキョクグマの行動について “Polar Reserch” という専門誌に “White-beaked dolphins trapped in the ice and eaten by polar bears” というタイトルの研究論文にまとめた報告書が今月一日に発表されています。

この報告書によりますと2014年の4月に研究スタッフが目撃した一頭のホッキョクグマはちょうど獲物であるハナジロカマイルカ (White-beaked dolphin) を食べていたところだったそうですが、このホッキョクグマが捕えた獲物のイルカはなんと二頭であり、このホッキョクグマは最初の一頭のイルカをほぼ食べ終えようとしたところだったものの量が多くて全部を食べきれず、自分の食べ残しの部分とまだ口を付けていないもう一頭のイルカの死骸をなんとが雪の中に冷凍貯蔵しておこうという行動を始めたそうです。
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食べきれないイルカを「冷凍貯蔵」しようとしているホッキョクグマ
Photo(C)Jon Aars/Polar Research

ホッキョクグマが自分の獲物をこうして後から食べるために貯蔵しておこうという行為も初めて観測されたそうで、極地研究所のスタッフによればホッキョクグマは二頭の獲物(通常はアザラシ)を同時に捕えることに成功するような非常に幸運なケースは全くといってよいほど無いために、食べきれないもう一頭を貯蔵しようという光景を観察するチャンスは今までなかったのだと述べています。 さらにこの後も極地研究所のスタッフはこの地域で少なくとも五頭のホッキョクグマがイルカを捕食している光景に昨年遭遇したそうです。

今までこのスヴァールバル諸島でイルカの姿が観測された記録は無かったものの、なぜ昨年になってイルカが突然のようにこの地域に出現したかですが、通常よりも温度の高い海流がこの地域に向かって流れ、イルカはそれに乗ってスヴァールバル諸島にまで到達したものの急に北風が吹き始めたために氷塊に迷い込んで出られなくなり、なんとか呼吸をしようと氷の間から頭部をあげた瞬間にホッキョクグマに頭部を殴られ噛みつかれて捕獲されたのだろうと研究スタッフは考えているようです。 似たような方法で本来は主食であるアザラシを捕え、そして地上に引っ張り上げる技術のあるホッキョクグマにしてみればイルカを捕獲することは容易だったようです。 ホッキョクグマの研究者として著名なカナダ・アルバータ大学のあのイアン・スターリング教授はマスコミの取材に対して、ホッキョクグマは海洋哺乳動物ならば何でも食べることが可能であるからイルカを捕食しても不思議ではない。 むしろ驚くべきことは、イルカが南の方向に泳ぎ去る前に(氷塊に)迷い込んでしまったことである。」と語っています。

ホッキョクグマにしてみれば今までいなかった新しい「獲物」の出現であり、こうしたチャンスは決して逃さないということでしょう。 氷の間から頭部を出したイルカに対して有無を言わさず襲いかかったのに違いありません。 「オレのやり方のどこが残酷なのか教えてくれ」とホッキョクグマは高笑いしているのかもしれません。

(資料)
Polar Research (Vol.34/2015 - "White-beaked dolphins trapped in the ice and eaten by polar bears")
New Scientist (Jun.10 2015 - Polar bear caught eating dolphins and freezing the leftovers)
by polarbearmaniac | 2015-06-11 23:00 | Polarbearology

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