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エストニア・タリン動物園の一歳半の雌のノラの近況 ~ ネット上のホッキョクグマ映像の「強者」と「弱者」

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ノラとフリーダお母さん Photo(C)Tallinna Loomaaed

一昨年2013年の11月24日にバルト海に面したエストニアの首都タリンの動物園で生まれた雌のノラについては昨年の一歳の誕生会以来投稿していませんでした。 やはりエストニアという国からのニュースの少なさも関係しているわけですが、このノラについてもまだまだ追い続けていきたいと思っています。 というのも、このノラについては雌の幼年個体と言う段階で園長さんが「ノラは手放さない」と発言しているもののやはり国境を超えたホッキョクグマの繁殖計画を推進するという趨勢からいえば、ノラを他園に移動せざるを得なくなってしまうわけです。 仮にノラを手放さないとすれば今度はノラのパートナーをどう得るかということが問題となり、国際間の繁殖計画に参加しないタリン動物園にとっては建設計画が進められている新ホッキョクグマ飼育展示場に暮らすことになるノラのパートナーを獲得することが障害とならざるを得ない可能性があるわけです。 極めて注目される状況です。 この件について詳しくは「エストニア・タリン動物園でノラの一歳の誕生会が開催される ~ 参加する繁殖計画はEAZAかEARAZAか」という投稿をご参照下さい。

ここで比較的最近のノラとフリーダお母さんの様子を見ておきましょう。 これはタリン動物園の公式映像で今年の3月頃のものです。 ノラも本当に大きくなりました。



次の二つは一般の方の撮られたものです。





いろいろな特殊な方法で調べてみたのですが世界の飼育下のホッキョクグマのなかで最もネット上に動画として数多く登場するホッキョクグマはどの個体だと思いますか? クヌートではありません。 正解はなんと札幌のララなのです。そして次にマルルとポロロです。 実は複数の動画サイトを特殊な方法(時間数、及び本数)で調べますと驚くべきことに日本の動物園のホッキョクグマ断トツで上位を独占するわけです。 ララの姿が多いといっても実はララだけを映してララの名前をタイトルの一部に入れた映像の数が突出しているということではなく、実はイコロ/キロル、アイラ、マルル/ポロロ、オクタヴィアン(仮称)と共にララが映っている映像が非常に多いからです。 ララお母さんはまさにネット上の「強者」というわけです。 ところが通常の検索ではこういったことは出てこないのです。 さらに、ララとかマルルとかポロロとかが動画に登場するにせよ、そういった個体名がタイトルになっているケースはそれらの動画の全てではないわけです。 そしてさらにそういった日本のホッキョクグマたちの映像のタイトルは日本語で付けられているために欧米やロシアの方々には日本のホッキョクグマの動画の数の多さに全く気が付かないということです。 そして今年に入ってからは日本のホッキョクグマのネット上の動画数は以前よりさらにより一層、欧米やロシアを圧倒するようになっています。 バフィン親子、ララ親子、シルカ、この五頭だけで世界の飼育下のホッキョクグマの動画の、本数で言えば三分の二、映像時間で言えば四分の三を占めているわけです。 にもかかわらず日本の動物園のホッキョクグマたちはシルカ(そしてデア)を除いて知名度は高いわけではありません。日本語における漢字と平仮名と片仮名という特殊な文字・言語環境にもかかわらずロシアのシルカファンの方々はよくぞ大阪のシルカの映像を追いかけているものだと感心します。やはりシルカがどうしているかを知りたいという熱意ということだろうと思います。

さらに問題なのは、欧米の動物園関係者が「運良く(運悪く?)」日本の動物園のホッキョクグマの映像をネットで見つけた際の反応です。 その方は日本の某動物園の某幼年個体が、ある事情によって格子のある狭い檻に入らざるを得なくなった時の映像を見たようですが、「日本の動物園というのはホッキョクグマの繁殖に成功しているにもかかわらず、そういった個体をこんな場所に飼育している。 日本というのはcrazyな国である。」という発言をしたそうです。 たまたま何故そういう場所に入らざるを得なくなったのかの理由が、せめて動画の説明に付けられていればまだしもよかったわけですが、それがないために常にこういった場所で飼育されているとのだと誤解してしまったようです。 さらに別の欧米の動物園関係者ですが、日本の某動物園の個体で最近国際的にも紹介された某個体の興味深い行動の映像を自園のSNSのページに張り付け、そしてコメントしているのですが、その方は「このホッキョクグマの暮らしている環境と我々のホッキョクグマが暮らしている環境には大きな違いがある」とだけ述べ、その個体の興味深い行動には一切触れていないというわけです。 まあ確かに環境についてはそうなのですが、こればかりは如何ともし難いところです。 欧米の動物園関係者に見せるために日本の動物園のホッキョクグマの動画がアップされているわけではありませんし、「言いたいことは勝手に言わせておけ」と私は思いますが、しかしネットでは非情にも日本の動物園の未整備な部分が晒されてしまっているということは残念ながら事実です。

本題に戻りますが、ロシアのカザン市動物園で2012年暮れに生まれたユムカなどは映像の数も少なく知名度も低かったわけですが、私はそれに反発して2013年の9月にカザン市動物園で何本かのユムカの映像を撮ってネットにアップも行ってみたわけです。 しかし結果的にはカザン市動物園の劣悪な飼育環境をより一層知らしめてしまった結果を生んだだけでした。 ユムカはネット上の「弱者」のままであったということです。 このタリン動物園のノラも知名度としては非常に低く、そして暮らしている環境も良くありません。 だからこそ私はノラに同情し、そして肩入れしてやりたくなるというわけです。

(過去関連投稿)
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by polarbearmaniac | 2015-06-12 23:55 | Polarbearology

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