街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


by polarbearmaniac

プロフィールを見る

名古屋・東山動物園のサスカッチ、飾れるか「男の花道」~ 雄の国内最高齢となった男の正念場

a0151913_0424100.jpg
サスカッチ (2012年4月21日撮影 於 名古屋・東山動物園)

先日の札幌で、ある方から「国内最高齢の雄(オス)のホッキョクグマは誰ですか?」と聞かれた私は一瞬ドキリとし、名古屋・東山動物園のサスカッチとお答えしたわけですが、自分でも非常にびっくりしたのは「あのサスカッチがもう雄では国内最高齢なのか!」という驚きだったわけでした。 この名古屋のサスカッチは1990年11月22日に東山動物園にカナダの野生孤児として入園していますので、誕生は1989年の10~12月であることは間違いなく、となれば彼は現在25歳ということになります。 野生出身であるため日本では非常に貴重な血統であるわけですが、繁殖という面においては残念ながら日本のホッキョクグマ界への具体的な貢献はまだのようです。 特にミリーとの間で繁殖に成功できていれば、その赤ちゃんは国内ではまったく孤立した血統となり実に貴重な存在となったわけです。

さて、この雄の25歳という年齢ですが、これを非常に悲観的に考えるか楽観的に考えるかが問題です。 たとえばロシア、サンクトペテルブルクのメンシコフは2013年の春に彼が24歳の時に25歳のウスラーダと繁殖行為を行い、そして見事にウスラーダはその年の年末に出産に成功しています。 これはメンシコフのように過去に何度も繁殖に寄与し続けてきた雄であるために24歳という年齢は全く問題ではなかったというわけでした。 さて、それまで何も繁殖に寄与してこなかった雄の場合ですが、アメリカのバッファロー動物園で2012年の春にやはり野生出身の24歳の雄のナヌークがアナーナとの間で繁殖行為を行って年末にルナが誕生したという例があります。 ですから繁殖に関して経験の豊かな雄も実績のない雄も24歳という年齢ならば全く問題ではないということになります(ただし生物学的な繁殖能力がそもそも備わっていればの話しですが)。
a0151913_054478.jpg
サスカッチ (2012年4月21日撮影 於 名古屋・東山動物園)

さて、そうなるとさらに一歳上のこの現在25歳のサスカッチをどう考えるかですが、私はそう悲観する必要はないだろうと思っています。 今年の名古屋での成果がどうなのかはわかりませんが、来年の春に26歳となっているはずのサスカッチに対して思い切って新しいパートナーを与えてみるのも無駄ではないような気もするわけです。 そうなると考え得るのは、今年の秋口に神戸に移動させて来春にみゆきと組ませてみるか、それとも釧路に移動させてツヨシと組ませてみるかという選択肢はあるでしょう。 ただし、最長二年間(二繁殖シーズン)の出張となるでしょう。仮に繁殖に成功すればその赤ちゃんの権利は通常は名古屋が保持することになるでしょう。 一か八か、検討してみてもおかしくはないように思うわけです。 (実は血統面の有利さで上の二つを上回る組み合わせはサスカッチ/キャンディなのですが。)

今から15年ほど前になりますか、当時のダイエーホークスの投手であった工藤公康氏はFA宣言を行い中日入りかメジャー移籍も視野に入れていたものの、当時の巨人の監督であった長嶋茂雄氏の「ジャイアンツに来て、男の花道を飾ってくれ」という一言によって巨人入りとなったわけでした。 サスカッチもどうかその貴重な野生の血で、日本のホッキョクグマ界での男の花道を飾ってほしいと思います。

(過去関連投稿)
名古屋・東山動物園の静かなドラマ ~ サスカッチのストーキングと逃げるオーロラ
現在日本国内最高齢のホッキョクグマはどの個体か? ~ カアチャン、ユキ、ナナの三候補を比較する
by polarbearmaniac | 2015-07-02 23:55 | Polarbearology

カテゴリ

全体
Polarbearology
しろくま紀行
異国旅日記
動物園一般
Daily memorabilia
倭国旅日記
しろくまの写真撮影
旅の風景
幻のクーニャ
エッセイ、コラム
街角にて
未分類

最新の記事

ウクライナ・ムィコラーイウ動..
at 2017-03-25 13:00
ロシア北東部・サハ共和国、ヤ..
at 2017-03-24 15:00
ドイツ・ミュンヘン、ヘラブル..
at 2017-03-23 20:00
男鹿水族館のクルミと豪太のペ..
at 2017-03-22 23:30
ハンガリー・ブダペスト動物園..
at 2017-03-21 20:00
ロシア・ノヴォシビルスク動物..
at 2017-03-21 18:00
ロシア・ノヴォシビルスク市の..
at 2017-03-20 19:00
デンマーク・オールボー動物園..
at 2017-03-19 20:30
チェコ・ブルノ動物園の「国際..
at 2017-03-19 00:30
ドイツ・ミュンヘン、ヘラブル..
at 2017-03-18 11:00

以前の記事

2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月

検索

ブログパーツ

  • このブログに掲載されている写真・画像・イラストを無断で使用することを禁じます。

ライフログ


人生と運命 1


スターリン―青春と革命の時代


モスクワは本のゆりかご


私のモスクワ、心の記憶


自壊する帝国 (新潮文庫)


甦るロシア帝国 (文春文庫)


嘘つきアーニャの真っ赤な真実 (角川文庫)


ロシア 春のソナタ、秋のワルツ-1999-21st


それからのエリス いま明らかになる鴎外「舞姫」の面影


ミチコ・タナカ 男たちへの讃歌 (新潮文庫)


わがユダヤ・ドイツ・ポーランド―マルセル・ライヒ=ラニツキ自伝


ベルリン戦争 (朝日選書)


Hof――ベルリンの記憶


カチンの森――ポーランド指導階級の抹殺


北京烈烈―文化大革命とは何であったか (講談社学術文庫)


慟哭の通州――昭和十二年夏の虐殺事件


主題と変奏―ブルーノ・ワルター回想録 (1965年)


藤田嗣治 異邦人の生涯


Barle's Story: One Polar Bear's Amazing Recovery from Life As a Circus Act


Hotel Adlon: Das Berliner Hotel, in dem die grosse Welt zu Gast war


Ein seltsamer Mann


Alma Rose: Vienna to Auschwitz


St Petersburg: A Cultural History


Gulag


The Guest from the Future: Anna Akhmatova and Isaiah Berlin