街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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ポーランド・ワルシャワ動物園のグレゴールとアレウトの近況 ~ 「汝ラ札幌ニ来タモウコトナカレ」

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グレゴールとアレウト Photo(C)ZOO Warszawa

私が欧州のホッキョクグマ界を見ていて一番理解できないのがこのポーランド・ワルシャワ動物園で暮らす4歳の雄の双子兄弟であるグレゴールとアレウトについてです。この双子兄弟は2010年12月にドイツのニュルンベルク動物園でヴェラから誕生したわけで、あのフロッケの弟にあたるわけです。そういった彼らがニュルンベルク動物園からワルシャワ動物園に揃って移動したのが2013年の4月なのですが昨年12月に4歳となり、お誕生会が開催された件については「ポーランド・ワルシャワ動物園のグレゴールとアレウトの双子が四歳となる ~ 進まぬ新施設建設計画」という投稿でご紹介していました。つまりグレゴールとアレウトは帯広のアイラと同年齢ということになります。 比較的最近の彼らの様子を見てみましょう。まず昨年10月のものです。

 
欧州は今まで幼年個体については非常に早い時期にペアの組み合わせを決めて2歳を目前にした段階で欧州域内の他の動物園に移動させてきたわけですが、そういったペア形成の調整から漏れてしまった個体が何頭か存在しており、このグレゴールとアレウトもそうした個体のうちの二頭であるわけです。他には例のドイツのハノーファー動物園のシュプリンターとナヌークなどもそういったパートナーの決まらない(決まる当てのない)雄の若年個体というわけです。EAZAのコーディネーターというのはオランダの動物園で生まれた個体のペア形成には熱心でもドイツやデンマークの動物園で生まれた個体については何か軽視しているような印象を受けます。ニュルンベルク動物園は「このグレゴールとアレウトを移動させないと次の繁殖ができないにもかかわらずEAZAのコーディネーターからは何も言ってこない」という不満を漏らしていましたしオールボー動物園はミラクのパートナーが決まらずミラクが雌だと判明してもEAZAのコーディネーターの制止を押し切ってミラクをカナダのサンフェリシアン原生動物園に送ってしまうという強硬姿勢さえみせたわけでした。

さて、このワルシャワ動物園のグレゴールとアレウトですが母親のヴェラはモスクワ動物園のシモーナの娘ですから「アンデルマ/ウスラーダ系」ということになります。一方で父親は欧州屈指の繁殖能力を持つフェリックスですが彼の父親は先日亡くなったエリックであり祖母はアイカですので、エリックは欧州に勢力を拡大しているいわゆる「ロストック系」ではありません。ですからオランダなどの動物園で生まれた「ロストック系」をパートナーとすることに問題があるようには思えませんが現実はこうしてこの双子兄弟は4歳半になってもまだ一緒に暮らしているわけです。 再びこの双子兄弟の最近の様子を見てみましょう。 まず今年の4月頃のものです。



上の映像ですが、いかに双子兄弟とはいえこの年齢になっても雄二頭をこうして同居させ続けていることが本当に良いことなのかを考えてしまいます。 場合によっては危険な関係になる可能性があるようにも思うわけです。 次にこれは今年の5月のものです。



ちょっとした「悪い予想」をしておきましょうか。札幌の円山動物園が新施設完成を期にララファミリーの雌の個体と欧州の雄の個体の交換を実現させようとしたとき欧州側からニュルンベルク動物園が権利を有しているこのグレゴールとアレウトの双子兄弟のどちらかが交換候補として提示される可能性は大いにあるだろうと私は考えます。そこで円山動物園がその提案にホイホイと乗ってアイラかマルルかポロロのうちの一頭を欧州に出すとします。そうなれば札幌にやってくるのはグレゴールかアレウトということになります。そういう正式発表が円山動物園からなされた日に日本の一人の某ホッキョクグママニアから罵声を帯びた峻烈な非難投稿がなされるでしょう。タイトルは「ポーランド・ワルシャワ動物園の〇〇が札幌・円山動物編へ! ~ 10年の歳月を無にした同園の無知と愚行を嗤う」といったものになるでしょう。その某ホッキョクグママニアが何故怒るのか、その理由は説明するまでもないでしょう。 イコロとキロルの欧州個体との交換構想から約10年後、挙句の果てに実現したのがなんと他でもない、札幌にやってきたのは 「アンデルマ/ウスラーダ系」の欧州個体、この意味を良く考えてみて下さい。 (*注 - 誤解の無いように書いておきますが、グレゴールとアレウトは実に素晴らしい雄の若年個体だと思います。問題は彼らの血統が日本には多すぎるほど存在しているということです。)

(資料)
wyborcza.pl (Nov.30 2014 - Misie polarne z zoo czekają na miód i drożdżówki)

(過去関連投稿)
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ポーランド・ワルシャワ動物園のグレゴールとアレウトの双子が四歳となる ~ 進まぬ新施設建設計画
(2011年4月 ニュルンベルク動物園訪問記)
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by polarbearmaniac | 2015-07-09 01:00 | Polarbearology

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