街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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札幌・円山動物園のオクタヴィアン(仮称)は雌(メス)と判定 ~ エメン動物園行き決定的か?

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オクタヴィアン(仮称)
(2015年7月4日撮影 於 札幌・円山動物園)

札幌・円山動物園より本日10日付けで発表がありました。 昨年12月21日にララお母さんの8番目の子供として誕生したオクタヴィアン(仮称)は「4月に実施した身体測定時の視診と6カ月齢に成長した現時点までの外観目視(外陰部の確認)により、雌と判定しました」とのことです。DNA判定については「当該サンプルから正確な判定を得ることができませんでした」と述べていますが私の察するところ、多分「雄(オス)」との鑑定結果だっただろうと思います。要するにこれはデンマークのオールボー動物園で2008年12月生まれのミラク2010年11月生まれのアウゴの二頭がDNA鑑定では「雄(オス)」だったものの、後日実際は雌(メス)であったことが判明したのと全く同じ結果なのだろうと思います。そもそも体毛を何本も採取して鑑定のために提供していたものの(今回は確か慶應義塾大学だったでしょうか?)、「当該サンプルから正確な判定を得ることができませんでした」などというはずがありません。 鑑定結果は間違いなく出たはずです。そしてその結果は雄(オス)だったであろうことも間違いないと思います。つまりこれはアイラのケースと同じだっただろうというわけです。2010年12月に誕生したアイラについて北海道大学による最初のDNA鑑定の結果は雄(オス)だったということを当時の飼育員さんはレクチャーの中で話していました。体毛を用いたホッキョクグマの性別判定に関してはDNA鑑定はもうあまりあてにできないということがわかってきたというわけです。おそらく円山動物園は今回のDNA鑑定結果に納得できなかったために性別発表に関して非常に苦慮していたものと思われます。本来は再鑑定すべきだったものの、もう7月ですからそうする時間的余裕がないということだったのでしょう。視診(and/or 外観目視)を重視して雌(メス)であると発表したというのが真相でしょう。 かなり危うさの残る今回の発表だったような気がします。
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オクタヴィアン(仮称)
(2015年7月5日撮影 於 札幌・円山動物園)

実は先週末にこのオクタヴィアンの排尿シーンを再度見る機会があったのですが多少微妙な点はあったものの排尿の方向は体の外側に向けてでした。この排尿の方向による性別判定は欧州においては視診によらない authorize された判定方法ですので、その時点でオクタヴィアンは雌(メス)の可能性が濃厚であると思ったわけでした。このオクタヴィアン(仮称)の排尿シーンを撮影することはできませんでしたが、以下の映像の開始後1分5秒からララの排尿シーンが映っていますのでそれを見て下さい。オクタヴィアン(仮称)の排尿の方向はララと同じに見えました。つまり体の外側に向かってということです。



一方で雄(オス)のイコロの排尿シーンはこれです。 方向は真下、つまり体の部分の内側に落ちているわけです。そしてこの前回のロッテルダム動物園で誕生したヴィックスの有名な写真がこれですがやはり真下、つまり体の部分の内側が排尿の方向です。この時もロッテルダム動物園はこの写真でヴィックスを雄(オス)と判定したわけです。

この排尿の方向のみによって性別判定を行ったのが今回のオランダのロッテルダム動物園であり、これはおそらく視診よりも優れた判定方法だろうと思います。視診というのも今までいくつも間違えた例があるからです。 ひたすら排尿の写真を来園者に対して求め続け、排尿の方向のみによって性別判定を行おうとしたロッテルダム動物園はさすがにホッキョクグマ飼育先進国の動物園だと思いました。 先に挙げたデンマークのオールボー動物園ですが、2010年11月に誕生したアウゴは、視診で雄(オス)、その後のDNA鑑定でも雄(オス)だったわけで結論は一致していたのですが、このどちらも間違いであり実際は雌(メス)だったという稀有の例があるほどです。以下はアウゴの視診による性別判定の様子を再度ご覧ください。 音声は必ずonにして下さい。



視診というものは、このようにちゃんとやっているように見えてもやはり間違えるということです。ですから今回の円山動物園の言う「視診 (外観目視)」も危うさが残るということです。そうするとやはり残るは「排尿の方向」...そういうことではないでしょうか。しかし、円山動物園は排尿の方向については公式には何も述べていません。しかしまあ天王寺動物園のモモの性別判定の件についても投稿しましたが、雄(オス)と視診で判定して真相は雌(メス)だったという例はいくつもあるものの、その逆の例は極めて稀であるという事実もあるわけですから、今回も視診を主にして雌(メス)と判定したのならば、ほぼ正しいということは言えるでしょう。
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オクタヴィアン(仮称)
(2015年7月4日撮影 於 札幌・円山動物園)

さて、このオクタヴィアン(仮称)が雌(メス)であるとしますと、やはりロシアの生物学者であるトゥマノフ氏の研究データ ("REPRODUCTIVE BIOLOGY OF CAPTIVE POLAR BEARS") が示している「ララは年齢を重ねて女腹となった」という考え方はやはり正しいように思います。それからこのオクタヴィアン(仮称)ですが、雌(メス)となりますと日本のホッキョクグマ界における位置付けは相当に微妙でしょう。やはり円山動物園の欧州との個体交換構想のなかにうまくフィットして欧州の雌の幼年・若年個体の集中基地であるオランダのエメン動物園行きとなる可能性が濃厚であるようにも思います。今後の去就が極めて注目されます。 なにしろ日本のホッキョクグマ界には雌(メス)の幼年・若年個体があまりに多すぎるわけです。少ないよりは多いほうがよいですが、それも程度問題でしょう。

それから「愛称候補」として円山動物園は「ノンノ」「リラ」「ルイカ」「レラ」「ハッチ」の5つを候補にあげています。このうち欧州に行っても雌(メス)として通る名前は3つと考えてよいでしょう。後の2つは「改名」される可能性がありそうです。

(*追記 - 以下、北海道新聞の映像です。)


(資料)
札幌市・円山動物園 (Jul.10 2015 - ホッキョクグマの赤ちゃんは女の子でした!7月11日(土)より愛称一般投票を行います!)
(*注 - オクタヴィアンというのは勿論、この赤ちゃんの正式な名前が決まるまで私が便宜上、勝手につけた仮称である。)

(過去関連投稿)
(*以下、性別判定関連)
デンマーク・オールボー動物園、DNA鑑定するも度重なる性別取り違え ~ ミラクは雌(メス)だった!
円山動物園のララの出産日、出産頭数、性別を過去のデータで予想する(前)
円山動物園のララの出産日、出産頭数、性別を過去のデータで予想する(後) ~ データが示すララの"女腹"
札幌・円山動物園のララの産室・寝室内での行動への解釈私論 ~ 『未体験性別パターン』」の赤ちゃんか?
札幌・円山動物園の赤ちゃん、環境訓練で戸外へ登場 ~ 超大物の雄(オス)の赤ちゃんか?
オランダ・ロッテルダム動物園が排尿方向のみを根拠に双子の性別を雄と雌と判定し正式発表を行う
オクタヴィアン(仮称)の "Pan-Genderism" 的な行動と個性の存在感を考える
(*以下、オランダ・エメン動物園関連)
欧州がホッキョクグマの幼年・若年個体をプールする 「集中基地」 を計画 ~ 雌はオランダ、雄はイギリスへ
ドイツ・ブレーマーハーフェン臨海動物園のララ(ラーレ)のお別れ会が開催 ~ エメン動物園へ
オランダ・エメン動物園でのノルチェとラーレの近況 ~ オクタヴィアン(仮称)の移動先となるか?
オランダ・エメン動物園でノルチェとラーレの一般公開が始まる ~ 乗り越えられる既存の「基準」
by polarbearmaniac | 2015-07-10 21:00 | Polarbearology

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