街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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移動先でのホッキョクグマの近況をどう知り、そしてどう伝えるか? ~ エメン、大阪、徳島...

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オクタヴィアン(仮称)  (2015年7月4日撮影 於 円山動物園)

ホッキョクグマの赤ちゃんが誕生してその後1~2年間を母親のもとで暮らした後に他園に移動した後の近況を知るということは実は簡単ではありません。特に国外に移動した場合は、移動先の動物園が情報を詳しく発信してくれるかと言えば必ずしもそうではなく、もっぱら移動先の国のブロガーやファンの情報に頼らざるを得なくなるのはいたしかたありません。しかしその移動先にそのような定期的な情報の発信者の存在がいつもあるかと言えばそうではありません。

オランダのエメン動物園といえば欧州における雌の幼年・若年個体を繁殖可能な年齢になるまでプールして飼育する集中基地としての機能を開始した件についてはすでにご紹介しています。 さて、実は私の見たところこのエメン動物園というのは今のところは情報の発信にはそれほど熱心とはいえない動物園のようです。また、地元の街のホッキョクグマファンの方も、これといった方はいないようです。仮にこの動物園にララの子供たちのうちの一頭、例えばオクタヴィアン(仮称)が移動した場合、彼女の消息の詳細を得るには非常に難しくなりそうです。欧州にも何人ものホッキョクグマ中心のブロガーさんたちがいらっしゃいますから、そうした方々に写真や映像を撮影してもらえるように頼むしかありません。しかしそういう方々もいくつもの動物園を訪問してまわっているわけでエメン動物園だけに行くというわけではありませんので、やはりオクヴィアンの近況というのを知ることは困難を極めるでしょう。
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シルカ (2015年7月14日撮影 於 天王寺動物園)

ロシア・ノヴォシビルスク動物園で誕生し大阪に移動したシルカですがノヴォシビルスクの多くのファンの方々は大阪でのシルカの情報を得ることについて大阪での一般公開以前にはかなり心配していらっしゃったわけですが、さすがに日本の多くの同好の方々が頻繁にシルカの写真や映像をネット上に公開しているためノヴォシビルスクのファンの方々は非常に喜んでおり、「日本の方々に心から感謝します」と何度も何度も述べていらっしゃるほどです。そうしたロシアの方々が写真や映像を見て驚いているのは、そういった写真や映像の数の多さや質の厚みといったものだけではなく、シルカが与えられているおもちゃの種類の多さを知ったことだったようです。 ロシアの動物園ではとても考えられないことだそうです。ロシアのファンの方々は大阪でのシルカの近況を絶えず知ることを通じて同じ動物園のバフィン親子や札幌のララ親子のファンにもなられたようなのは何よりでした。モモの成長も温かい視線で見守っているようです。数週間前に札幌のオクタヴィアン(仮称)が高さのある場所から落下したそうですが、その時にロシアの方々は落下事故のあったのはモモだと勘違いされた方がいて、これはあくまでも私の記憶ですが、その方はこう言っていました。 「モモの痛みはシルカの痛み。シルカの痛みは私たち全ての痛み。」  こういった感じ方や発想はロシア人の感性(あるいはロシア語独特の表現)だろうと思いました。 それからまたロシアの方々は札幌のララの母親としての卓抜の行動にはすっかり魅せられているようで、やはり札幌のララというのはホッキョクグマの母親として只者ではないという気持ちを多くの方々が抱いているようです。
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ポロロ (2015年6月6日撮影 於 とくしま動物園)

さて、日本においては最近では若年・幼年個体としてはミルク、マルル、ポロロ、イコロ、ゴーゴなどが他園に移動したわけですが、移動した先々でいろいろな方々が写真や映像を撮影してネット上に公開しています。 しかしそういったもののほとんどが私も含めて「遠征組」の撮ったもので、移動先で地元の方がフォローし続けているものは少ないというのが現状です。 しかし地元の方がフォローしたものの中ではすでに多くの方々もご存じだとは思いますが、徳島からの「週刊ポロロ通信」という映像シリーズを私は高く評価したいと思います。これを発信していらっしゃる方がどのような方なのかを私は全く知りませんが、すでにVolume.77を数えるほどになっています。最新の映像をご紹介しておきます。



私がこの「週刊ポロロ通信」に感心する理由は、それが定期的であることと同時に、徳島におけるポロロの日常生活をなにげない形で淡々と伝えているからです。話題性のある特別イベントとかポロロの動きの絶妙の瞬間などという、いわゆる「打ち上げ花火」的なシーンではなく、ポロロの平凡な日常の姿を映像にして発信している点です。Volume.76では「とくしま地球温暖化防止大使になる」というタイトルなのですが、その時のイベントの様子は何も伝えず、映像になっているのはポロロの平凡な姿だけです。これが素晴らしいということです。こういったポロロの平凡な姿だけを見せておいて「札幌のみなさん、元気でやってますよ!」という、その感覚の素晴らしさです。これを発信されていらっしゃる方の見識の高さを感じさせます。



こういったものにこそ価値があると私は思います。写真を例で言うならば、連写などして撮るような場面を写真にしたものではないということです(そもそもそれ以前に、周囲の人間は連写の騒音被害の犠牲者でしょう)。本当のホッキョクグマファンだったらホッキョクグマを撮影するのに連写などしないでしょう。そうするのは単なる動物写真撮影マニアであるというにすぎません。「連写シーン」の真逆を行くのがこの「週刊ポロロ通信」の映像だということです。だからこそ価値があるということです。

(過去関連投稿)
欧州がホッキョクグマの幼年・若年個体をプールする 「集中基地」 を計画 ~ 雌はオランダ、雄はイギリスへ
ドイツ・ブレーマーハーフェン臨海動物園のララ(ラーレ)のお別れ会が開催 ~ エメン動物園へ
オランダ・エメン動物園でのノルチェとラーレの近況 ~ オクタヴィアン(仮称)の移動先となるか?
オランダ・エメン動物園でノルチェとラーレの一般公開が始まる ~ 乗り越えられる既存の「基準」
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のシルカの移動日程を知らされぬ現地ファン ~ 送り出す側の方々の心境
ロシアのコムソモリスカヤ・プラウダ紙がノヴォシビルスク動物園のシルカの移動日程、移動先を報じる
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のシルカがノヴォシビルスクを出発し空路モスクワへ ~ 日本への旅立ち
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のシルカの出発に感じた後味の悪さ ~ 大阪市発表を知らなかったロシア側
by polarbearmaniac | 2015-07-19 23:55 | Polarbearology

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