街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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フランス東部、ミュルーズ動物園のセシとヴィックスのペアの繁殖への期待 ~ 求められる謙虚な姿勢

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セシとヴィックス Photo(C)Dominique Villiseck/L'Alsace

フランスにおけるホッキョクグマの繁殖基地として今後が大いに期待されているのがアルザス地方の都市であるミュルーズの動物園 (Parc zoologique et botanique de Mulhouse)であり、同園で飼育されているのは4歳の雌のセシ(オランダ、レネン生まれ)と同じ4歳の雄のヴィックス(オランダ、ロッテルダム生まれ)の若年ペアです。セシの母親はフリーダム、ヴィックスの母親はオリンカで、私はこの母親たちがセシやヴィックスの育児を行っている姿も4年前に現地で接していますので非常に親しみを感じるこのミュルーズ動物園の若年ペアです。この動物園にはもう一頭、28歳の雌のティナも飼育されています。

さて、このセシとヴィックスの若年ペアですが、この5月と6月にはこのペアの間でもう繁殖行動も確認されたそうですが獣医で副園長のブノア・カンタール氏に言わせますと、このペアはまだまだ若くて今年の年末におけるセシの出産については悲観的な見解を持っているようです。しかし、セシへの給餌量は増加させるそうで運良くセシが出産するようならば産室に入った後の絶食状態に対する対策としては万全をとりたいという意向だそうです。このミュルーズ動物園ではもう三十年以上もホッキョクグマを飼育してきたわけですが、まだ一度もホッキョクグマの赤ちゃんの誕生はないそうで、昨年春に”グランノール(L'espace Grand Nord)” という新施設をオープした際に完備した産室と親子が過ごせる別区画の展示場もすでに完備されたそうですからミュルーズ動物園がホッキョクグマの繁殖にかける意気込みといったものは本物のようです。しかしカンタール氏は、仮にセシが妊娠していたにせよ今年の暮れは彼女にとっては最初の出産のチャンスということになり、よって出産に成功しても次は育児という関門が立ちはだかることは十分承知しており、過度の期待を持つことについては非常に慎重な姿勢を崩していないようです。しかし準備については万全を期したいということで、ミュルーズ動物園にとっては「ホッキョクグマの繁殖」という息の長い闘いはまだ始まったばかりのようです。ここで昨年の秋の映像ですがセシとヴィックスの姿を見ておきましょう。



次はやはり昨年の秋の映像でティナを加えた三頭のおやつの時間の様子です。



よくこういった繁殖可能な年齢となった若年ペアの間で初めて繁殖行動が確認されたために動物園サイドがあまりに期待を膨らませてマスコミに情報を流し、そしてマスコミがそれを報道したためにファンもそれに煽られて出産の期待を持ったものの結局は出産がなく、動物園が記者会見で「今シーズンは断念」を伝えるというパターンはよくあります。そもそもこういった動物園には謙虚な態度が欠けている場合が多いわけです。しかしこのミュルーズ動物園はそうではないようです。「ホッキョクグマの繁殖成功」の手強さを十分理解しているような感じですね。 日本でも上野動物園などはデアとイコロとの間で狙う繁殖について、今からもう非常に謙虚な態度で臨んでいることが感じられます。

(資料)
L'Alsace (Jul.13 2015 - Les premiers ébats des ours polaires)

(過去関連投稿)
フランス・アルザス地方のミュルーズ動物園の新施設建設計画 ~ 2頭のホッキョクグマの移動について
チェコとフランスにおけるホッキョクグマの搬出入の映像
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フランス東部アルザス地方のミュルーズ動物園にパルミール動物園からティナが無事帰還
フランス東部、ミュルーズ動物園の新施設「グランノール(L'espace Grand Nord)」 がオープン
フランス東部のミュルーズ動物園の 「アンリシスマン (l'enrichissement) – エンリッチメント」 の試み
by polarbearmaniac | 2015-07-23 01:10 | Polarbearology

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