街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


by polarbearmaniac

プロフィールを見る

イギリスのヨークシャー野生動物公園に到着後のニッサンの様子 ~ 欧露間の協力繁殖計画はあるか?

a0151913_2044135.jpg
ヨークシャー野生動物公園に到着したニッサン(Nissan / Ниссан)
Photo(C)Yorkshire Wildlife Park

昨日14日にイギリス・ドンカスターのヨークシャー野生動物公園に到着したロシア・イジェフスク動物園生まれの間もなく2歳になる雄のニッサンですが、モスクワからドイツのフランクフルト空港への到着、そこから陸路(ドーバー海峡のフェリー輸送を含む)でのヨークシャー野生動物公園への輸送、そしてその後の様子を報じる映像が入ってきていますのでご紹介しておきます。途中、フランスのカレー近郊でのアクシデント(昨日すでに御紹介しています)についても映像が挿入されています。





それにしてもニッサン君は本当に大きくなりました。 私が彼に会ったのは一年以上も前ですが、やはり顔の感じは当時の様子を色濃く残しています。
a0151913_2118832.jpg
ニッサン Photo(C)Yorkshire Wildlife Park

それから、上の二番目の映像でヨークシャー野生動物公園の担当者が、「このニッサンのイギリスへの移動は欧州とロシアの動物園においてホッキョクグマの血統を健全な状態に保つための繁殖計画の一環としての移動である。」と語っていますが、仮に本当に欧州とロシアの動物園との間で何か緊密な協力関係のプランでも存在しているとすれば、これは大変重大なことです。それを窺わせる状況というのはないわけではありませんでした。モスクワ動物園は自園で誕生した個体の単純な売却はもう行わないと語っていますから、何かの繁殖計画の中に幼年個体の移動を位置付けるということになるわけで、そうなると今後ロシアから中国へ移動する幼年個体はほとんどないだろうということを意味します。何故なら中国にはホッキョクグマの血統の多様性を維持しながら繁殖をさせていこうという発想などないからです。つまり、中国には繁殖計画というものが存在していないということです。

思い出してみて下さい、昨年ノヴォシビルスク動物園がシルカを単純売却しようとしていた時にモスクワ動物園から横やりが入ったわけで、ノヴォシビルスク動物園はモスクワ動物園に対してシルカの将来の繁殖プランを提示する必要に迫られたということがあったわけです。そういったことからしてロシアでは少なくとも、たとえそれが雑駁なものであれモスクワ動物園が旗振り役となった何らかの繁殖計画は間違いなく存在しているでしょう。しかしそれが欧州と連帯した段階まで達しているとまでは私は考えていません。仮に達しているとすれば多くの矛盾する事象が存在するからです。今回のニッサンのヨークシャー野生動物公園への移動は、あくまでモスクワ動物園が自分が権利を有しているイジェフスク動物園のニッサンを欧州の動物園に売却し、その欧州の某園がニッサンがまだ幼年個体であるためにEAZAのEEPの中で機能を開始した集中基地であるヨークシャー野生動物公園にニッサンを預けたのだと理解すべきだということです。周辺の情報を総合すると欧州とロシアの動物園のホッキョウグマ繁殖計画の緊密な連帯はまだできていない...そう考えます。

(過去関連投稿)
ロシア連邦 ・ ウドムルト共和国 イジェフスク動物園でホッキョクグマの赤ちゃん誕生!
ロシア連邦 ・ ウドムルト共和国 イジェフスク動物園で誕生の赤ちゃんの産室内映像が初めて公開
ロシア連邦 ・ ウドムルト共和国 イジェフスク動物園で誕生の赤ちゃんは順調に成育中
ロシア連邦ウドムルト共和国、イジェフスク動物園の赤ちゃんの近況 ~ ロシア国内の個体の権利関係
ロシア連邦ウドムルト共和国、イジェフスク動物園の赤ちゃん、遂に戸外に登場し公開される
ロシア連邦ウドムルト共和国、イジェフスク動物園の赤ちゃんの追加映像
ロシア連邦・ウドムルト共和国、イジェフスク動物園の赤ちゃんの性別は雄と判明 ~ 名前公募が開始
ロシア連邦・ウドムルト共和国、イジェフスク動物園の雄の赤ちゃんの近況 ~ 泳ぎ始めた赤ちゃん
ロシア・イジェフスク動物園のドゥムカお母さんは母親としての力量不足か? ~ 母親の力量を考える
ロシア・イジェフスク動物園の雄の赤ちゃんの名前が 「ニッサン (Ниссан)」 に決まる
ロシア連邦・ウドムルト共和国、イジェフスク動物園のニッサン君の行動にみる雄らしさ
ロシア連邦・ウドムルト共和国、イジェフスク動物園のニッサン君の近況 ~ 地元の愛称は 「サニョーク」
ロシア連邦・ウドムルト共和国、イジェフスク動物園のニッサンが満一歳となる ~ その真直ぐな成長
ロシア・イジェフスク動物園の一歳のニッサンがモスクワ動物園へ ~ 最終的にはスコットランドに移動か?
モスクワ動物園の生後22ヶ月の雄のニッサンがイギリスのヨークシャー野生動物公園に到着
by polarbearmaniac | 2015-10-15 22:00 | Polarbearology

カテゴリ

全体
Polarbearology
しろくま紀行
異国旅日記
動物園一般
Daily memorabilia
倭国旅日記
しろくまの写真撮影
旅の風景
幻のクーニャ
エッセイ、コラム
街角にて
未分類

最新の記事

ムルマ (Белая мед..
at 2017-07-26 05:45
スネジンカ (Белая м..
at 2017-07-26 05:30
二年振りに訪問のモスクワ動物..
at 2017-07-26 05:00
夜も更けたアルバート通りを歩..
at 2017-07-25 05:45
ペンザからモスクワへ ~ ホ..
at 2017-07-25 02:00
ペンザの「メイエルホリドの家..
at 2017-07-24 05:00
ペンザ動物園訪問二日目 ~ ..
at 2017-07-24 04:00
ベルィ、謙虚さと「大陸的」な..
at 2017-07-23 05:00
快晴の土曜日、ペンザ動物園で..
at 2017-07-23 03:00
ペルミからモスクワ、そしてペ..
at 2017-07-22 04:30

以前の記事

2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月

検索

ブログパーツ

  • このブログに掲載されている写真・画像・イラストを無断で使用することを禁じます。

ライフログ


人生と運命 1


スターリン―青春と革命の時代


モスクワは本のゆりかご


私のモスクワ、心の記憶


自壊する帝国 (新潮文庫)


甦るロシア帝国 (文春文庫)


嘘つきアーニャの真っ赤な真実 (角川文庫)


ロシア 春のソナタ、秋のワルツ-1999-21st


それからのエリス いま明らかになる鴎外「舞姫」の面影


ミチコ・タナカ 男たちへの讃歌 (新潮文庫)


わがユダヤ・ドイツ・ポーランド―マルセル・ライヒ=ラニツキ自伝


ベルリン戦争 (朝日選書)


Hof――ベルリンの記憶


カチンの森――ポーランド指導階級の抹殺


北京烈烈―文化大革命とは何であったか (講談社学術文庫)


慟哭の通州――昭和十二年夏の虐殺事件


主題と変奏―ブルーノ・ワルター回想録 (1965年)


藤田嗣治 異邦人の生涯


Barle's Story: One Polar Bear's Amazing Recovery from Life As a Circus Act


Hotel Adlon: Das Berliner Hotel, in dem die grosse Welt zu Gast war


Ein seltsamer Mann


Alma Rose: Vienna to Auschwitz


St Petersburg: A Cultural History


Gulag


The Guest from the Future: Anna Akhmatova and Isaiah Berlin