街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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イギリスのヨークシャー野生動物公園のニッサンが飼育展示場に登場 ~ 欧州のホッキョクグマ界の水面下

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(C)Yorkshire Wildlife Park

ロシア・イジェフスク動物園生まれで間もなく2歳になる雄のニッサンがモスクワ動物園からイギリス・ドンカスターのヨークシャー野生動物公園に到着したところまではすでに投稿していますが、このニッサンが同園の飼育展示場に初めて出され、そして慎重にあたりの臭いを嗅ぎまわりながら歩き回る姿が公開されましたのでご紹介しておきます。



さらに同園の飼育担当者の方がこのニッサンについて語っている映像もご紹介しておきます。前回の投稿の映像と語っている内容の趣旨はほぼ同じです。



このマーシュ氏が語る通り、このニッサンは数年後、つまりあと3~4年後にはパートナーが決定され、そしてこのヨークシャー野生動物公園から別の動物園に移ることになるわけですが、それがいったいどこの動物園になるかはまだわかりません。このニッサンの権利を持っているのは欧州の某動物園のはずですが、仮にニッサンのパートナーが決定して彼が別の動物園に移るにしても彼の権利を持つ動物園ではなく別の動物園になる可能性は小さくなく、そうなると彼の権利を持つ動物園はいったい何のためにこのニッサンを購入したのかの説明は難しくなるわけですが、それは個体の交換ということで処理するのかもしれません。このニッサンの権利をモスクワ動物園から取得した某園が一体どこなのかはわかりませんが、考えてみればウィーンのシェーンブルン動物園かもしれないという気がします。シェーンブルン動物園は雄のランツォと雌のリンという三歳のペアを飼育しているのですが両頭共にロストック系であることと、この二頭の他に別のホッキョクグマが来園する予定だと語っていたところからすれば、このニッサンとランツォを入れ替わらせたいと考えておかしくないからです。フィンランドのラヌア動物園で2011年11月に生まれた雄のランツォはラヌア動物園の園長さんが、ああだこうだと条件を付けてEAZAのコーディネーターの尻を叩いたために、EAZAのコーディネーターが四苦八苦してシェーンブルン動物園をランツォの移動先にしたわけでしたが、本来ランツォには血統的にうまい組み合わせのパートナーがいなかったわけで、シェーンブルン動物園としてはランツォではなく全く別の血統であるニッサンをモスクワ動物園から入手してリンのパートナーとしたいと考えたとしても全くおかしくないわけです。そういった話がEAZAのコーディネーターとシェーンブルン動物園の間で内密に合意していてもおかしくはないと思います。

この欧州の若年・幼年個体をプールする集中基地システムに対して札幌の円山動物園がどの程度の情報を得ているかは全くわかりません。多分全く知らないでしょう。 この集中基地という欧州のシステム自体が最近のものだからです。円山動物園の欧州との個体交換計画、その推移を見守りたいと思いますが、円山動物園に関して私が最も理解できないのは、前回の個体交換交渉にドイツのハノーファー動物園を一本釣りにして交渉しようとした、日本のホッキョクグマ界の一般常識を遥かに超えたホッキョクグママニアしか知り得ない絶妙の選択を行い、そして一方で基本を怠った最近の一連の「不祥事」の発生、この二つの間に横たわる、あまりにも大きな落差です。一体これが同じ動物園なのかと信じられない話です。ララの子供たちの将来について私は非常に心配していますが、ともかくもう少し事態の推移を見守りたいと思います。欧州の状況を読み解き、そしてララの子供たちの将来と欧州との関わり合いを予想していくのはもうマニアだけの領域の話になりつつあるようです。それほどまでに複雑な話となっているわけです。

(資料)
The Star (Oct.19 2015 - Nissan the polar bear relaxes at Yorkshire Wildlife Park after 1,000 mile journey)

(過去関連投稿)
*ニッサン関連
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by polarbearmaniac | 2015-10-20 23:55 | Polarbearology

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