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街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


by polarbearmaniac

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ロシア・西シベリア、バルナウル動物園が狙うホッキョクグマ飼育展示への新規参入 ~ 可能なのか?

ロシア・西シベリア、バルナウル動物園が狙うホッキョクグマ飼育展示への新規参入 ~ 可能なのか?_a0151913_2210566.jpg
モスクワ動物園の双子(2015年10月1日撮影 於 モスクワ動物園)

今までホッキョクグマの飼育経験が無かったり、あるいはあってもホッキョクグマが不在となって10年以上経過している動物園などがホッキョクグマの飼育を始めようとした場合に、いったいどこからホッキョクグマを連れてくるのかが問題です。もちろん完備されたホッキョクグマ飼育展示場を用意しなければいけないことは当然ですが、最近では繁殖への取り組みがちゃんとできる動物園でなければ実際はホッキョクグマの入手は困難となっています。ホッキョクグマの生息地を自国領内に有しているために野生孤児が出現する可能性が常にあり、また国内の動物園でも比較的頻繁に飼育下でホッキョクグマが誕生しているロシアの場合もその例外ではありません。報道によればロシア・西シベリアの人口65万人の工業都市であるバルナウル (Барнаул) の動物園は今までホッキョクグマの飼育経験が無いものの、新規にホッキョクグマ飼育に参入しようという強い意志を見せていることが報道によって明らかになりました。
ロシア・西シベリア、バルナウル動物園が狙うホッキョクグマ飼育展示への新規参入 ~ 可能なのか?_a0151913_221271.jpg
このバルナウル動物園 (Барнаульский зоопарк) の園長さんはホッキョクグマの入手について最近ロシア国内の某動物園を訪問してホッキョクグマを購入したいと持ちかけ、そしてその入手にはある程度の自信を見せています。ただしその購入の実現のためにはEARAZA (Евроазиатская региональная ассоциация зоопарков и аквариумов / Еuro-Аsian Regional Association of Zoos and Aquariums - ユーラシア地域動物園水族館協会) の許可が必要であり(ということはつまり実質的にはモスクワ動物園が首を縦に振るということと同じ)、さらにホッキョクグマは Red List(絶滅のおそれのある野生生物のリスト)に入っているために入手には多くの書類を用意する必要があるとも語っています。これはやはりホッキョクグマ飼育に新規参入しようとする動物園に対してロシア国内で課されているある種の「規制」のようなものが存在し、それを突破するための要件が厳しいということを言いたいのでしょう。

さて、このバルナウル動物園の園長さんがホッキョクグマを購入したいと持ちかけたのは、まずモスクワ動物園とみて間違いないのではないかとも思われます。となれば、昨年11月にシモーナから誕生した双子(冒頭に写真)の一頭の入手を狙っているということになるでしょう。そしてバルナウル動物園の園長さんがホッキョクグマの入手にある程度の自信のようなものを見せていることから考えればやはりモスクワ動物園からの購入の交渉が進展しているような印象を受けます。しかしモスクワ動物園は自園で生まれたホッキョクグマを単純売却する方針ではなくなっており、バルナウル動物園そこに何らかの将来における繁殖計画をモスクワ動物園に示す必要があるはずです。また飼育施設の環境も良好なものでなければならないわけですが、そういった問題をクリアできるのかが私には疑問に思えてきます。 となるとバルナウル動物園の園長さんがホッキョクグマの入手を持ちかけたのはノヴォシビルスク動物園ではないかという推測も成り立つように思います。ゲルダとクラーシン(カイ)との間で今年の年末に赤ちゃんが誕生するであろうことを見越して話をノヴォシビルスク動物園に持って行ったということも十分に考えられそうです。

ロシアではサハリンのユジノサハリンスク(旧豊原)のサハリン動植物園もホッキョクグマの飼育展示に新規参入する意思を見せていますし、あとはハバロフスクやカリーニングラードの動物園ではホッキョクグマが不在になったばかりで、やはり新規個体の入手を計画しているわけです。これは非常に面白くなってきました。日本の動物園でホッキョクグマ飼育展示に新規参入しようという動物園はまずないでしょう。やはり海外からの入手が困難であるということと、国内からの調達もすでに頭数が減っていて難しいからです。日本においても、その個体の将来の繁殖という観点を抜きにしたホッキョクグマ飼育展示の新規参入は好ましくないでしょう。それは、とうの昔に世界の趨勢となっているわけです。新規参入だけではなくすでにホッキョクグマを飼育展示している動物園においても、飼育展示だけでは到底済まされないということです。熊本市動植物園が若年個体であるマルルをこの先もずっと飼育したければ、彼女のパートナーを自ら調達せねばならないということなのです。

(資料)
Аргументы и факты (Oct.18 2015 - Белого медведя собирается купить Барнаульский зоопарк)
ПолитСибРу (Oct.19 2015 - В Барнаульском зоопарке появится белый медведь)
ИД Алтапресс (Oct.19 2015 - В Барнаульском зоопарке появятся белый медведь, леопард и северный олень)

(過去関連投稿)
ロシア極東・沿海州、ハバロフスク動物園(プリアムールスキー動物園)が新しいホッキョクグマの導入を表明
by polarbearmaniac | 2015-10-21 22:30 | Polarbearology

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