街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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カナダ・ケベック州、サンフェリシアン原生動物園のエサクバク、新パートナーとの間で繁殖に再挑戦

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エサクバク Photo(C)Jean-Luc Doumont/Néomédia

ここ数年にわたって出産を期待されながら成功せず、今年にまた注目が集まるホッキョクグマとしてはカナダ・ケベック州、サンフェリシアン原生動物園(Zoo sauvage de Saint-Félicien) のエサクバク (Aisaqvak/Aisaqvaq) が挙げられます。何故とりわけ彼女に注目が集まるかといえば、それは彼女には過去に出産・育児成功の経験があるものの、その後にパートナーに変更があったために新しいパートナーである雄の個体の繁殖能力が試されているとでもいった状況だからです。

現在12歳のこのエサクバクは2009年の11月にトロント動物園から長期出張していた同じく野生出身のイヌクシュクとの間でタイガとガヌークという双子を出産し、その時のサンフェリシアン原生動物園の情報発信の素晴らしさは記憶に新しいところです。エサクバクはその後、欧州との個体交換でカナダにやってきたオランダ・レネンのアウヴェハンス動物園生まれのイレ (Yellé)を新しいパートナーとして2012年、2013年、そして昨年の2014年と三回にわたって繁殖に挑戦しましたが、いずれも出産がなかったわけでした。

出産・育児経験のあるエサクバクが三年続いて結果が出せなかったため、サンフェリシアン原生動物園はイレに見切りをつけたのでしょう、イレにかわってケベック水族館で飼育されていた15歳の雄のエディを二繁殖シーズンの出張ということでサンフェリシアン原生動物園に連れてきたというわけです。エサクバクは果たして今年に年末にエディとの間での繁殖への挑戦の結果が出せるかどうかというところに注目が集まるわけです。エサクバクのパートナーが2009年当時のイヌクシュクから何故イレに変わったのかということですが、それはイヌクシュクがもともと彼が所属していたトロント動物園でのホッキョクグマの繁殖を担うことになったためで、このイヌクシュクはトロント動物園でオーロラをパートナーとして目覚ましい活躍を行いました。残念ながらオーロラは自分で育児をすることができずに生まれた個体は二度も人工哺育となったわけで、それが現在アシニボイン公園動物園で飼育されているハドソンとハンフリーというわけです。

飼育下でホッキョクグマのペアの間での繁殖が成功しないことはそれほど不思議なことでもなく、むしろ成功しているほうが特別の幸運に恵まれていると考えてもよいのですが、エサクバクのように6~7歳で出産・育児に成功した雌の個体がパートナーの雄を変えてその後に繁殖に成功しなかった場合、新しいパートナーとなった雄の繁殖能力云々の視点がどうしても生じてきてしまうのはしょうがありません。雄にとっては非常に残酷な話でしょう。その点において雌は、たとえ一度であっても繁殖に成功すればその評価は非常に高まるというわけです。繁殖の成否だけがホッキョクグマの個体の価値を決めるわけではもちろんありませんが、賞賛という点においてはどうしても世間一般の評価はそこに向かうということになります。エサクバクの新しいパートナーであるエディの評価は、彼がこのサンフェリシアン原生動物園に留まる二シーズンの間にある程度決まってくるということになります。ここで今年の秋のカナダにおける初雪とエディの姿を見ておきましょう。



また、今年の3月のエサクバクとエディの同居の様子を見てみましょう。



それから、これはコーンで遊ぶエサクバクです。



このサンフェリシアン原生動物園も以前にはエサクバクの出産準備などの情報を発信していたのですが昨年も今年もそういった情報をほとんど流していません。非常に慎重になっているということは言えそうです。2009年のエサクバクの最初の繁殖があまりにうまくいったためか、サンフェリシアン原生動物園もその後のホッキョクグマの繁殖に対してやや楽観視し過ぎていた感も無きにしも非ずといった感じもします。

このサンフェリシアン原生動物園のホッキョクグマ飼育展示場にはライブカメラがあります。 こちらをクリックしてみて下さい。不思議なことにブラウザがIEだと見ることはできないようです。

(資料)
Néomédia (Jun24 2015 - Zoo sauvage de Saint-Félicien | Aisaqvak prend du soleil)

(過去関連投稿)
カナダでの飼育下期待の星、イヌクシュクの物語
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カナダ・ケベック州、サンフェリシアン原生動物園のエサクバクの新しいパートナーとしてエディが来園
by polarbearmaniac | 2015-11-09 16:30 | Polarbearology

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