街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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ドイツ・ヴィルヘルマ動物園のフェリックスがオランダ・レネンのアウヴェハンス動物園へ

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フェリックス Photo(C)Bayerischer Rundfunk

大変興味深いニュースが発表されました。ドイツ・シュトゥットガルトのヴィルヘルマ動物園が発表したところによりますと、同園で飼育されている雌のコリンナの繁殖のためにドイツのニュルンベルク動物園から出張してきていた雄のフェリックス(14歳になったばかりです)が昨日25日の朝にオランダ・レネンのアウヴェハンス動物園に向け出発したとのことです。レネンにおいては23歳となる雌のフギースとの間で繁殖を狙うとのことですが、これはEAZAのコーディネーターによる調整の結果のようで出発後に移動の事実を発表するのが欧州では実に多いパターンです。

(*後記 - レネンのアウヴェハンス動物園に到着後のフェリックスの映像が公開されましたのでご紹介しておきます。)


レネンのアウヴェハンス動物園ではあの雄のヴィクトルが繁殖の舞台から引退させられてイギリスのヨークシャー野生動物公園に移動してしまい、先日の投稿でも述べましたが私はアウヴェハンス動物園で飼育されているフギースとフリーダムという二頭の偉大な雌のホッキョクグマたちの今後の繁殖がどうなるのかが疑問だったわけですがフェリックスのレネンへの移動などは考えてもいなかったわけです。何故ならフェリックスはまだ14歳という年齢ですでにニュルンベルク動物園からデンマークのオールボー動物園にも繁殖目的で移動し、それやこれやで6頭の子供たちの父親にもなっていたわけで、出張先からさらにまたレネンに行くということは私の頭の中にはなかったわけでした。欧州におけるホッキョクグマの繁殖に対する認識の厳しさといったものを再度認識する結果となりました。繁殖のためなら大胆な決断を行い有望な個体を仮借なく移動させるということです。「移動させるのは可哀そうだ」という感情を我々が抱くことは逆に実は飼育下における彼らという種のためにならないということですね。「現状維持 = 後退」という考え方が背後にあることも感じ取れます。

さて、フェリックスが出張して来ていたシュトゥットガルトのヴィルヘルマ動物園でのコリンナとの間での今年の繁殖ですが、報道によりますと現時点で希望は少ないとヴィルヘルマ動物園では考えているそうです。来月26歳となる雌のコリンナはやはり年齢的なもので出産は難しいということのようです。欧州の雄のエース格であるフェリックスでさえもコリンナに出産させることができないとすれば、コリンナの繁殖の舞台からの引退も必至の情勢ではないでしょうか。このコリンナはあのヴィルベアの母親ですが、フェリックスが出張してきた当初は彼とうまくやっていたそうですが、そういった期間は長く続かなかったそうです。やはり百戦錬磨と思われていたフェリックスにも相性の問題が立ちはだかったということなのでしょうか。

我々日本のホッキョクグマ界にとっては、いろいろと考えさせられることの多い今回のフェリックスのオランダへの移動です。

(資料)
Wilhelma (Pressemitteilungen/Nov.25 2015 - Gast-Eisbär Felix in die Niederlande abgereist)
Die Welt (Nov.25 2015 - Wenig Hoffnung auf Eisbärbaby in Stuttgart)
BILD (Nov.25 2015 - Eisbär Felix verlässt seine Corinna und die Wilhelma)

(過去関連投稿)
ドイツ・ニュルンベルク動物園、フェリックスの大活躍 ~ 欧州における偉大な雄の素顔
フェリックスさん、はじめまして!
スウェーデン、オルサ・グレンクリット、ベアパークのヴィルベア、静かに 「偉大なる父」 となる日を待つ
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オランダ・レネン、アウヴェハンス動物園のヴィクトルがイギリスのヨークシャー野生動物公園に無事到着
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イギリス・ヨークシャー野生動物公園のヴィクトルの姿 ~ 「飼育下の集団の維持」について
by polarbearmaniac | 2015-11-26 00:30 | Polarbearology

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