街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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「格子型施設が望ましい」と宣告されたリラの今後 ~ Lilas, sentenced to life incagement in Sapporo

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リラ (2015年11月3日撮影 於 円山動物園)

さて、札幌の円山動物園が一見奇妙ではあるものの、一方では当然とも言える内容の告知を行っています。それは、昨年12月に誕生したリラと母親のララをメインの展示場から格子のある二区画に来週の火曜日の閉園後に移動させるという内容です。その理由は現在ララ親子の暮らす展示場が新飼育展示場の建設工事の仮囲いが設置が行われるという点と、リラの活発な行動によって格子型施設が望ましいからなのだという二つが挙げられています。 

さて実は私は雪景色の中の母娘を見ておきたいと考え、そして私なりに心と頭の中でリラの誕生日を祝ってやりたいと考えてこの週末に札幌に行こうと航空券もホテルも直前で確保していたわけですが、木曜日に公式ブログの中でララ親子の移動は翌日金曜日に行われるという内容でしたので札幌行きは急遽断念して航空券もホテルもキャンセルし別の某所に行くことにしました。ところが金曜日夜に別の某所に到着してみれば、円山動物園のHPの金曜日の発表ではララ親子の移動は実は来週火曜日の閉園後となっているのに気が付いたというわけです。まるでうまく「騙された」ような気持ちにはなりましたが、いやまあ、こんなことはよくあるケースですし「騙される」人間が悪いわけですからどうでもよい話なのですが、さてこのララ親子の格子のある二区画への移動ですが、これが意味するところはリラは少なくとも札幌に暮らす間は格子のある場所からは出られないということを意味するわけです。なにしろ「格子型施設が望ましい」ということだからです。ですから現在デナリの暮らす飼育展示場に後日ララ親子が移動するということもないということを意味します。何故なら、あそこは「格子型施設」ではないからです。

さて、2013年9月のマルルの落下事故が発生した現在のデナリの暮らす飼育展示場ですが、その事故の時にも触れたのですが、結局その落下事故対策には「ミルウォーキー動物園方式」、つまり防護 (安全) ネット設置以外にはリラに対しては有効な対策にはならないということになります。「落下しないようにする」のではなく「落下してもいいからケガをしないようにする」という方式です。濠のある部分全体に地面に近い部分にネットを張り巡らし、落下すれば地面に近い部分でネットで受け止めてやり、そして次にネットを支えているワイヤーを緩めて濠の下の地面にゆっくりと下してやるというやり方です。しかしそういった造作を今から行うということはもう無理でしょう。つまりリラは円山動物園のように濠のある飼育展示場のある動物園ではずっと格子型施設に入れられたままだということです。
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リラ (2015年11月3日撮影 於 円山動物園)

こうした格子のある狭い区画に入れられたホッキョクグマ親子の姿が写真やら動画でネットに流れるとなりますと日本のホッキョクグマ界の大きなイメージダウンになるでしょう。まるでカザン市動物園のような光景ですね。こうなるであろう原因を作ったのは他ならぬリラ自身であるとも言えますから、やはりリラは超個性的な個体、いや非常に特異な個体であるということに結果としてはなります。ララお母さんは夏頃から大奮闘してこのリラを「普通のホッキョクグマ」にしようと頑張ったようで、そしてそれに成功したように私には見えましたが、しかしやはりそう成り切れなかったのだろうと思います。以前にも述べましたが、偉大なる母親は必ず「失敗作」を一つだけ作りだすわけです。ウスラーダもそうでした。シモーナもそうだったわけです。今まで目立った「失敗作」の無かったララお母さんは、こうして真に偉大なる母親の仲間入りしたことに間違いはないでしょう。いや、そんな冗談はさておき、このララのような、果たして今後も日本に再び現れるかどうかがはなはだ疑問であるほどの偉大な母親の最近二回の親子の姿(ララとマルル/ポロロ、そしてララとリラ)を晩秋から冬期にかけて終日十分に観察することができない(できなかった)ことは非常に残念なことです。いつぞやも述べましたが、確実さ(現実に存在しているもの)を犠牲にして不確実さ(得られるだろうとの期待)に賭けた結果の空しさを、後年我々は思い知ることになるだろうというわけです。

(資料)
札幌市・円山動物園 (Dec.18 2015 - ホッキョクグマ「ララ親子」の展示場を変更します

(過去関連投稿)
ホッキョクグマが堀に落ちたらどうなるか? ~ 大ケガから回復したホッキョクグマ、元気に故郷に里帰り!
ホッキョクグマが堀に落ちたらどうなるか?(その2)(前) ~  動物園の危機管理
ホッキョクグマが堀に落ちたらどうなるか?(その2)(後)~ 堀に居座ったホッキョクグマ
デンマーク・オールボー動物園のアウゴが約5メートル下の堀に転落、重傷を負い安楽死の処置にて死亡!
「ホッキョクグマはバランス感覚が優れている」 という説は本当なのか? ~ 過去の事故例から考える
札幌・円山動物園のマルル転落事件後の同園の関連発表 ~ "Nothing can come of nothing."
札幌・円山動物園、一昨日のマルルの転落事故についてHPで説明
札幌・円山動物園、マルル転落事故の経過と今後の対策を発表
by polarbearmaniac | 2015-12-18 23:55 | Polarbearology

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