街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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ロシア・サンクトペテルブルク、レニングラード動物園でのホッキョクグマへの訓練 (Training)

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(C)Ленинградский зоопарк

近年では日本の複数の動物園でも目的意識に裏付けられたホッキョクグマへの訓練(トレーニング)が行われているようです。しかしその様子は動物園からは断片的な動画などが公表はされているものの一般には公開されていない場合がほとんどですので、詳細については完全にわかっていない部分もあるわけです。3年ほど前に「『ホッキョクグマ飼育マニュアル(Care Manual)』」よりの考察(2) ~ ホッキョクグマの訓練をどう考えるか」という投稿でこの訓練というものの本質が公開を想定したものではない目的で行われることは触れたことがありますし、そこでは実際の訓練の様子を映像で御紹介しています。この「訓練(トレーニング)」という行為は欧米の動物園で始められ、そして現在ではそれが体系化された形で飼育のマニュアルにも登場しているというわけです。

欧米とはやや異なりホッキョクグマの飼育に対して非常に経験的な要素を重視しているロシアの動物園でもこのホッキョクグマの訓練が行われるようになっています。そしてそれは、現代における世界最高のペアであるメンシコフとウスラーダを飼育しているサンクトペテルブルクのレニングラード動物園でも例外ではありません。同園におけるメンシコフとウスラーダに対するバックヤードでの訓練をパターンとして紹介している同園の公式映像がありますのでこれをご覧いただきたいと思います。これは私が今まで見たホッキョクグマの訓練の映像の中ではその複数の方法が最も整理されて紹介されているケースだと思います。私も飼育員さんの御厚意でこの場所に入れてもらったことがあり、実に立派な設備のある場所だったのに驚いた記憶があります。(*注 - 下の映像をうまく再生できない場合は、Video quality を720HDから480、もしくは360に変更してみて下さい。)



さて、冒頭のホッキョクグマ親子のイラストはレニングラード動物園が公式に発表した来年2016年の新年の挨拶です。同園のウスラーダはすでに28歳になったばかりですが彼女の今回の繁殖への挑戦については以前に「ロシア・サンクトペテルブルク、レニングラード動物園の28歳間近のウスラーダ、その果て無き挑戦」という投稿で述べた通りです。このウスラーダに出産が会ったか否かは公式には全く明らかにされていません。レニングラード動物園はこうしたホッキョクグマの赤ちゃん誕生に対する発表が非常に遅いことでも知られていますので仮に出産があったとしても来年2月頃の発表になるでしょう。最近周囲に流れている情報を総合してもウスラーダの出産を臭わせる情報は全くなく、むしろ悲観的とも受け取れる情報があるのですが、しかし昨日になってレニングラード動物園は来年の新年の挨拶に冒頭のようなホッキョクグマ親子、しかも母親は明らかにウスラーダの顔であるイラストをコメントを付けずに発表しています。仮にこれが何らかの意味があるとすれば、ウスラーダに出産があったということを暗示しているようにも思えますが何とも言えません。しかしこの時期に意味深長なイラストだと思えてしかたがありません。レニングラード動物園のエンブレムは確かにホッキョクグマではありますが、しかしそれは一頭のホッキョクグマの抽象的な姿であって、こうした顔を特定できるウスラーダのようなホッキョクグマが子供を連れた姿を新年の挨拶に用いるというのは、そこに何かの意味が込められているという感じがしてなりません。

さて、最後にレニングラード動物園でメンシコフにボトル容器の中に食べ物を入れて与えた映像を飼育員さんが公開していますのでそれも見ていただきましょうか。これはトレーニングではなくエンリッチメントの一種ということです。バックヤードから飼育展示場を撮影していますが、非常に新鮮な印象です。



ともあれ、レニングラード動物園のようなロシアの老舗の動物園でも、こういったトレーニングやエンリッチメントの試みがなされているということは、やはり時代の流れといったことのような気がします。

(資料)
Polar Bear (Ursus Maritimus) Care Manual

(過去関連投稿)
「ホッキョクグマ飼育マニュアル(Care Manual)」よりの考察(2) ~ ホッキョクグマの訓練をどう考えるか
カナダ・ケベック州、サンフェリシアン原生動物園でのイレの健康チェックトレーニング
カナダ・オンタリオ州コクレーン、「ホッキョクグマ居住村」のヘンリーに給餌を兼ねた訓練が行われる
ロシア・サンクトペテルブルク、レニングラード動物園の28歳間近のウスラーダ、その果て無き挑戦
by polarbearmaniac | 2015-12-31 17:00 | Polarbearology

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