街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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モスクワ動物園の親子の戸外初登場のシーンを振り返って ~ 人間とホッキョクグマのおおらかさ

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シモーナ(Белая медведица Симона)
Photo(C)ТВ Центр

1月5日になっていますが日本の動物園でも世界の動物園でもホッキョクグマの赤ちゃんの誕生については、すでに生まれていて産室内で順調に推移しているケースと1月になってもまだ出産の可能性があると期待されて雌が産室内に留め置かれているケースと、この二つの明暗がはっきりと分かれており正式発表はまだであるものの、どこの園がどちらの状態なのかの情報が、かなり掴めてきています。昨年2015年の繁殖シーズンはすでにほとんど100%結果が出てしまっているということです。前者の場合は遅かれ早かれ正式発表があるわけですし、後者の場合が大きく報じられるということは、あまりありません。これからの発表はアメリカとロシアという通常は非常に発表の遅い国からの朗報だろうと思います。
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Photo(C)В Подмосковье
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モスクワ動物園で初登場の双子(2015年) Photo(C)РИА Новости

今年は新年から固い話が続いていますので、今回は映像を楽しむことにしたいと思います。これはもう定番ともいえるシーンであり以前にもご紹介したことのあるものなのですが、ホッキョクグマ親子が産室のある屋内から戸外へと一歩を進めていくというお馴染みのシーンです。最近はこのシーンが大きくマスコミに報じられる傾向があり、特にドイツと日本はかなり注目を浴びるわけです。一昨年のミュンヘンのヘラブルン動物園などはこのシーンをネットでライブ中継したほどでしたし、昨年は日本でも大阪と札幌では赤ちゃんの一般公開日が園から告知され、そしてその日には多くのファンが集まりましたし複数のTV局も取材を行ったというわけでした。ところが、ホッキョクグマの繁殖実績としては世界一を誇るモスクワ動物園はかなり事情が異なり、親子の戸外登場の日については一切告知を行いません。ファンの側もそういったことはあまり神経質ではないようです。ただしTV局の限られた数社には声がかかっているらしく、その登場のシーンを撮影して報道することによって赤ちゃん登場の告知に代えているということなのでしょう。そういった状況の典型が2013年2月23日のシモーナお母さんと三つ子の登場でした。戸外にいたのはたった五分間だけだったようです。そのシーンを見ていただきましょう。来園者はごく数人しかいないという状態だったわけです。冒頭に映っているのは父親のウランゲリです。私個人的にはこの映像がホッキョクグマ親子の初登場の映像としては最も素晴らしいものだと思っています。仰々しさのない点が実に素晴らしいと思います。ドイツや日本ではこうはいきません。



次は2010年2月27日の映像でシモーナお母さんと双子の赤ちゃんの登場です。



次は2008年3月6日の映像で母親はムルマ、つまり男鹿水族館の豪太の母です。この時の双子なのですが、まず一頭は南フランスのアンティーブのマリンランドで飼育されているラスプーチンなのは明らかなのですが、これが問題なのです問題なのは残る一頭です。血統登録上は中国・大連の森林動物園で飼育されている個体であるということになっていますが、私はこの一頭こそロシア・ノヴォシビルスク動物園のゲルダ(つまりシルカの母)であると考えています。この件については「『ロシア血統の謎』に迫る(1) ~ ラスプーチン、ゲルダ、血統番号2893個体の三頭の謎を追う」という投稿をご参照下さい。



それから次は昨年2015年の2月17日、これはシモーナお母さんと双子の赤ちゃんの初登場の映像です。



やはりムルマよりもシモーナのほうが悠々としていて細心さの中に大らかさを感じます。シモーナのほうがムルマよりもモスクワ動物園の担当者からは評価が高いということもうなずけるように思います。ともかく、こうしてフワリとした形で登場するのがモスクワ動物園で誕生した赤ちゃんたちなのです。ドイツや日本ではこのようなやり方はもう無理でしょう。「何日から公開するのか?」といった問い合わせが動物園になされ、動物園は「登場日は未定です。」という回答をせざるを得ないわけですが、これに納得するファンはあまりいないでしょう。

(過去関連投稿)
モスクワ動物園で昨年末に誕生した赤ちゃんが遂に公開!
(続報) モスクワ動物園で公開のホッキョクグマの赤ちゃん
モスクワ動物園の赤ちゃん情報 (続報 -動画)
モスクワ動物園で誕生の三つ子の赤ちゃん、初めて戸外に登場!
モスクワ動物園で誕生の双子の赤ちゃんが戸外へ初登場! ~ 「大本命」シモーナの貫録
モスクワ動物園のシモーナ親子のお披露目の日の姿 ~ シモーナの貫録と安定感、そして大らかさ
モスクワ動物園の飼育主任エゴロフ氏の語るシモーナとムルマ ~ 幼年個体の単純売却は行わない方針へ
「ロシア血統の謎」に迫る(1) ~ ラスプーチン、ゲルダ、血統番号2893個体の三頭の謎を追う
by polarbearmaniac | 2016-01-05 06:00 | Polarbearology

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