街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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よこはま動物園ズーラシアのバリーバが愛媛のとべ動物園に帰還へ

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バリーバ (Белая медведица Баллыба)
(2015年2月1日撮影 於 よこはま動物園ズーラシア)

よこはま動物園ズーラシア(以下、「ズーラシア」と略記)の飼育員さんがオフィシャルブログでバリーバの近況について「抱きまくら」という投稿を昨日されていらっしゃいましたので、おそらく翌日である本日木曜日に発表があるだろうと予想していました。ズーラシアより本日(28日)付けで発表があり同園で4年間にわたって飼育されてきた現在25歳のバリーバが2月21日(日)に愛媛のとべ動物園に帰ることになったとのことです。お別れ会は前日20日に開催されるそうです。この件はかなり予想されてきたことであり、そう驚きではありません。すでに昨年11月末に釧路市動物園がツヨシの横浜への移動を発表していましたし、それはズーラシアの了解のもとで行われたであろうことも間違いなかったわけで、私はその時の投稿である「釧路市動物園のツヨシが、よこはま動物園ズーラシアへ ~ ツヨシの新しい出発」でジャンブイ/ツヨシとバリーバ(親子)の2ラインの飼育展示も可能であるとズーラシアが考えている可能性について述べたものの現実的にはやはり難しい面が多くバリーバの愛媛への今春の帰還は決定的であることを状況は示していたことも間違いないわけです。

バリーバの愛媛から横浜への移動(2011年11月のニュース映像)

このバリーバのズーラシアにおける4繁殖シーズン(2012~2015)におけるジャンブイとの繁殖への挑戦ですが、これについては大きく評価が分かれるところでしょう。バリーバは21歳から24歳までの間での横浜での繁殖挑戦ということであったわけですが、それはバリーバには出産経験(ピース)があったために彼女を繁殖可能な年齢の限界まで繁殖に挑戦させたいという関係者(つまり種別調整者と愛媛。横浜の両園担当者)の意図があったことは理解できる話です。そのバリーバのパートナーであった野生出身個体であるジャンブイは彼が20歳から24歳までの間でバリーバとの間で繁殖に挑戦したことになるわけです。 (ちなみにジャンブイの生年はズーラシアの主張する1992年ではなく実は1991年であることについては「『ロシア血統の謎』に迫る(4) ~ 横浜・ズーラシアのジャンブイの誕生・血統の真相を探る」という投稿をご参照下さい。これは近年ノヴォシビルスク動物園が孤児となったジャンブイを保護した正確なデータを公表したために明らかになったわけです。) 
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バリーバ(手前)(2013年2月10日撮影 於 ズーラシア)

さて、野生出身個体という有利な血統を持っているジャンブイが20歳から24歳までという貴重な年月を費やして繁殖に挑戦した彼の、そのパートナーであったバリーバですが、彼女は父娘の間に誕生した近親交配の申し子であるという血統登録情報を突き崩そうとした私の調査・探究は失敗してしまったわけで、つまりこれはジャンブイの持つ野生出身という血統上の決定的なアドヴァンテージに対してバリーバの血統がそれを無にしようとしたことを結果としては意味することになるわけです。 いやしかしその前に、そもそもジャンブイには繁殖能力が十分に備わっているかについての確証が持てない状態ですのでバリーバの血統問題だけを持ち出すのはフェアではないでしょう。

問題は2011年に遡ります。2011年4月のクルミの釧路から男鹿への移動5月の横浜のチロの急死、この段階のあとで同年11月にバリーバが愛媛から横浜に移動したわけです。今更結果論を述べるのは私は嫌いなのですが、2011年末から2012年初頭にかけて実は横浜に移動すべきだったのはバリーバではなくツヨシであるべきだったのです。しかしそうなると釧路にはホッキョクグマ不在となるわけです。それを回避しようとすれば札幌のアイラを2012年2月に札幌から帯広ではなく釧路に移動させるということでも解決は可能だったわけです。こうしておけば2012年4月の故ユキオの上野から釧路への移動は不要だったわけです。

バリーバには、本当にご苦労様でしたと心より言いたいと思います。

(資料)
よこはま動物園ズーラシア(お知らせ/Jan.28 2016 - 【記者発表資料】ホッキョクグマ「バリーバ」がとべ動物園へ帰ります

(過去関連投稿)
愛媛のとべ動物園のバリーバ、よこはま動物園ズーラシアへ
バリーバの素顔 ~ 熟成を期待される隠された彼女の母性発揮の最後のチャンスはあるか?
ピース、その生と死の地平線の彼方に ~ 彼女の癲癇(てんかん)は母親の血統の「負の遺産」が原因?
バリーバ、そのすでに完結した神話 ~ "The Myth recorded and remembered"
ジャンブイの素顔 ~ 彼の出自の謎を追う
夏の日曜日の昼下がりのジャンブイ、再び彼の出自の謎を考える ~ 彼は果たして豪太の伯父なのか?
「ロシア血統の謎」に迫る(4) ~ 横浜・ズーラシアのジャンブイの誕生・血統の真相を探る
バリーバ、クルミ、ポーラの「戦い」の休戦 ~ Female Bears of the Past, Present and Future
「ホッキョクグマ計画推進会議(於 恩賜上野動物園)」について ~ 「ツヨシ問題」の行方や如何
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北米の過去約100年間の飼育下のホッキョクグマ出産記録が語ること ~ 再び考えるキャンディの今後
今年2016年のホッキョクグマの国内再配置を考える ~ 狭まる選択肢と限られたシナリオ
よこはま動物園ズーラシアのバリーバが産室から戸外に復帰 ~ "Après un rêve..."
by polarbearmaniac | 2016-01-28 13:30 | Polarbearology

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