街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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釧路市動物園のツヨシ、その「ララファミリー」にあって特異な性格を考える ~ 3月1日にズーラシアに来園

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ツヨシ(2012年2月26日撮影 於 釧路市動物園)

釧路市動物園から2月4日付けで発表があり、同園で飼育されている12歳のツヨシが3月1日に同園を出発してよこはま動物園ズーラシア(以下「ズーラシア」と略記)へ向かうことになったそうです。壮行会は2月21日の日曜日に行われるそうです。また同じ2月4日付けでズーラシアからも「ツヨシ来園」の正式な発表がありました。来園日は出発日と同じ3月1日です。つまり、新千歳から羽田までの空輸ということになるでしょう。いよいよこれで移動の具体的スケジュールが明らかになったわけです。
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ツヨシ(2012年2月26日撮影 於 釧路市動物園)

さて、以前に私はある場所で「あなたのブログは雌(メス)のホッキョクグマ中心のブログですね。」と、ある方から言われたことがありました。私はホッキョクグマに関することは広範囲に投稿しているのですが、やはり力点はホッキョクグマの誕生から成長というものに置かれているわけで、そうなると自然に親子の関係に考察が及びます。親子とは言っても父親は育児に関与しませんので、もっぱら母親に視線が注がれるわけです。そうなると自然に雌(メス)のホッキョクグマに力点が置かれた記述が多くなるのは当然だと思うわけです。ですから私は雌(メス)のホッキョクグマの性格分析には力を注ぎますが、雄(オス)のホッキョクグマについては簡単な記述に留めていることが多いわけです。さて、結果的に雌(メス)のホッキョクグマに力点を置いている私がいまだにまだ掴みきれないのが今回問題になっているツヨシです。
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ツヨシ(2012年2月26日撮影 於 釧路市動物園)

私はツヨシの札幌時代(つまり母親であるララとの同居時代)を見た経験がありません。その時代の話しはごく少数の方から聞いているだけですので私個人として確定的に語ることはできませんが、このツヨシの札幌時代を語る方々は全て、ツヨシの性格ではなくララのツヨシに対する育児を語っているのが興味深い点です。そういった方々の証言の最大公約数は、ララは初めての育児だったために神経がピリピリしていたという点です。さらに、ララとツヨシの別れについてはララがその後の子供たちとの別れよりもツヨシとの別れについて最も狼狽し、そして最も悲しんでいたという証言がありますが、それは正しいだろうと思います。これらから言えることは、ララの育児スタイルはそもそも最初から「情愛型」そして「関与型」という私なりのカテゴリーに属する母親であったであろうという点にあります。そもそもその時代に「ホッキョクグマの母親の育児スタイル」という点の問題意識がファンの間にあったとも思えませんので、あくまでもこれは私なりの推論です。
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ツヨシ(2012年2月26日撮影 於 釧路市動物園)

私の知るツヨシは釧路市動物園で飼育されてからの時代なのですが、クルミと非常に仲が良かったことがまず印象に残っていますが、それ以外は強い印象を得た記憶はあまりありません。非常に話題になった2008年11月に発覚した「ツヨシ(そしてピリカ)」の性別取り違え事件」、そしてその後の経緯については全て以下のニュース映像の内容をご参照下さい。



クルミは2011年4月に男鹿へ移動し、そしてその後の2012年4月に上野動物園から故ユキオがBL契約にてツヨシのパートナーとして釧路市動物園に来園したわけです。これもニュース映像をご参照下さい。



故ユキオとの間の相性は良好ではなかったということで故ユキオは2014年4月に上野動物園に帰還したわけです。この故ユキオの釧路来園、そして上野帰還については私の知る限りでも表面に出ていない関係者同士の確執などを含めていろいろな問題があったわけで、それらを述べることはここではいたしません。

それやこれやいろいろなことがあったわけですが、ツヨシは繁殖可能となっていたはずの2009年、又は2010年の繁殖シーズンから今まで少なくとも、2010年、2011年、2014年、2015年とこれだけの繁殖シーズンを、パートナーがいないために棒に振ってきたわけです。欧州などではこういったことは考えられません。何故これだけの期間を悠長にパートナー無しに構えていられたのかには明らかに原因があるわけですが、それはここでは述べないことにします。言えることは、これは明らかに我々人間の側の怠慢なのです。そしてさらに、私も含めてほとんどのファン、そして動物園関係者の一部も「ツヨシ隠れ蓑病」とでもいってよい一種の「病気」にかかってしまったわけです。この「病気」とは、「ララの子供たちのうちで最も年長のツヨシのパートナーがまず決まらないことには後が決まらない。」という捉え方です。だからピリカの繁殖のことも、そしてイコロやキロルのパートナー問題、そしてその後のアイラ以下の雌の個体などのパートナーを具体的にどうするかについて真面目に考えずに、「とにかくまずはツヨシである。」という、これは「ツヨシを隠れ蓑にしてしまう」という現象を多かれ少なかれ招いてしまったわけです。
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ツヨシ(2012年2月26日撮影 於 釧路市動物園)

さて、前に戻ってこのツヨシの性格ということなのですが、私は彼女は「ララファミリー」にあって他のララの子供たちとはかなり異なる雰囲気を持っているという点を感じるわけです。ララの子供たちの特徴を大雑把言えば以前も述べましたように「刺激に対する反応が俊敏であり、考えていること、感じていることが比較的外から容易に理解することができる」、と大きく括ることができるように思います。またララの子供たちの印象は「個体の魅力は常に外側に発散され、そして実に華麗で豪奢な印象」ということが言えると私は感じています。ところがツヨシの場合は、この「ララファミリー」の性格やら印象やらとは幾分離れた位置に存在しているように感じるわけです。ツヨシは外界からの刺激にストレスを感じやすく、そしてそれを何かで発散させるというよりも自分の内側にため込む性格があるのではないかとも私は考えています。彼女は我々が感じているよりも実は物事をつらい思いで感じているような気がします。まさに彼女は「憂愁のホッキョクグマ」なのです。この点でツヨシの対極にあるのがリラでしょう。リラは「憂愁なきホッキョクグマ (l'ours sans souci)」なのです。
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ツヨシ(2012年2月26日撮影 於 釧路市動物園)

ズーラシアはなんとしてでも早くツヨシとジャンブイの同居を開始すべく、ツヨシの状態を注意深く観察する必要があるでしょう。しかしとにかく時間がありません。今年が勝負だと考えていただきたいと思います。今年の11~12月のツヨシの出産成功に向けて果敢に取り組んでいただきたいと思います。上野のイコロ、横浜のツヨシ、この関東の「ララファミリー」の二頭に一気に年末に二世を誕生させるというくらいの意気込みでないと日本のホッキョクグマの繁殖に弾みがつきません。上野には時間がたっぷりとありますが、横浜には時間がありません。非常に苦しいところです。
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ツヨシ(2012年2月26日撮影 於 釧路市動物園)

「ズーラシアにおけるツヨシ」については横浜市民である私に観察と報告の義務があると考えています。健康状態の許す限り、私なりの視点で今年はツヨシを追いかけていきたいと思っています。ツヨシも当分の間は雪の上を歩くことはできないでしょう。ですから本投稿は雪の上のツヨシの写真ばかりを掲載しました。
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よこはま動物園ズーラシア正面口(2016年2月1日撮影)

(資料)
釧路市動物園(動物園ニュース/Feb.4 2016 - ホッキョクグマの「ツヨシ」のお嫁入り日程が決まりました!
よこはま動物園ズーラシア(記者発表資料/Feb.4 2016 - ホッキョクグマの「ツヨシ」が来園します

(過去関連投稿)
ツヨシをどうするか? ~ 繁殖の展望への不安
憂愁のホッキョクグマ ・ ツヨシの憂鬱
釧路市動物園のユキオとツヨシ ~ 残された繁殖の時間の限られたペアの姿
憂愁のホッキョクグマ、ツヨシに忍び寄る(?)不安の影 ~ 過去の意識を払拭して雌の名前に改名すべき
ジャンブイの素顔 ~ 彼の出自の謎を追う
夏の日曜日の昼下がりのジャンブイ、再び彼の出自の謎を考える ~ 彼は果たして豪太の伯父なのか?
「ロシア血統の謎」に迫る(4) ~ 横浜・ズーラシアのジャンブイの誕生・血統の真相を探る
「ホッキョクグマ計画推進会議(於 恩賜上野動物園)」について ~ 「ツヨシ問題」の行方や如何
釧路市動物園のツヨシが、よこはま動物園ズーラシアへ ~ ツヨシの新しい出発
by polarbearmaniac | 2016-02-04 23:55 | Polarbearology

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