街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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ロシア・ノヴォシビルスク動物園の赤ちゃんの登場を待つ人々 ~ その時を親子の意思に委ねる度量

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ゲルダ(Gerda the polar bear/Белая медведица Герда)
(2014年9月13日撮影 於 ノヴォシビルスク動物園)

昨年12月7日にロシア・西シベリアの大都市であるノヴォシビルスクの動物園でゲルダお母さんから誕生した一頭の赤ちゃんですが地元では非常に関心が高く、その姿をカメラに収めようと、もう早々と「一眼レフ族」が集まり出しているようです。しかしまだ生後75日ほどですので戸外にはまだ登場してこないでしょう。シルカが初めて戸外に登場したのは2014年3月6日、つまり彼女の生後86日目だったわけです。そうすると、あと10日後ほどが目途ではないかと思います。問題はこのノヴォシビルスク動物園はモスクワ動物園と同じように「赤ちゃん戸外登場」とか「一般公開開始」などという日本やドイツの動物園のようなやり方をせず、赤ちゃんの登場をすべて母親と赤ちゃん自身の意思に委ねたということです。ですから何日に外に出てくるかなどは全くわからないということです。そういったこともあって「一眼レフ族」にとっては気が気ではないのでしょう。地元のTVニュース番組を一つご紹介しておきます。地元のアマチュアカメラマンも札幌に優るとも劣らないカメラとレンズを持っていますね。事実、世界の飼育下のホッキョクグマの親子の姿のなかで最も photogenic なのが札幌のララ親子とノヴォシビルスクのゲルダ親子であることは間違いないと言えると思います。要するに「絵になる親子」なのです。それはネット上の世界中の飼育下のホッキョクグマ親子の過去の多くの写真を見渡しても明らかです。ウスラーダはララ以上に偉大なホッキョクグマですが、ウスラーダの親子としての姿が photogenic かと言えば、その点においてはララにもゲルダにも遥かに及ばないということです。後半にはシルカの映像を入っています。



とにかく赤ちゃん初登場の瞬間をなんとかカメラに収めたいということなのでしょう。ゲルダお母さんは昨日の2月20日には展示場の出入口などに姿を見せていたようです。その昨日の映像です。



ゲルダお母さんがこういう姿を見せるものですから、赤ちゃんも登場してくるのではないかと来園者も幻惑させられるわけです。さて、こうやって赤ちゃんの登場を赤ちゃん自身と母親に全てまかせてしまうやり方というのは、まず日本でもドイツでも無理でしょう。必ず「ホッキョクグマの赤ちゃんをいつから見ることができますか?」という問い合わせが動物園にいくつも入ってくるわけです。それに対して「わかりません。ホッキョクグマに聞いて下さい。」という動物園側の答えに納得する人々は少数派でしょう。私は最近この「一般公開開始」というギラギラとした雰囲気に嫌気がさしています。そういった日に集まってくるのは私も含めて、どこか少し「頭のおかしいファン」というわけです(苦笑)。
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ゲルダ(2014年9月13日撮影 於 ノヴォシビルスク動物園)

話が少し外れましたが、ロシアという国のやり方や人々の考え方には、ホッキョクグマの飼育展示を含めて我々には納得のかないこともいくつかあるわけですが(例えば来園者に対して動物園側がエサを売って、その投げ入れを容認するとかいったこと)、しかしどういうわけかこのように赤ちゃんの登場を親子の意思にまかせるといった、実にホッキョクグマの意思を尊重した度量の広いやり方を行う点があるなど、やはり我々にはロシアというのは容易に理解できない国なのだと思います。モスクワ動物園やレニングラード動物園でシモーナ親子やウスラーダ親子が楽しそうに遊んでいるときは凄い人だかりになり、とてもこれではガラスボードに接近できないと思うわけですが不思議なことに1~2分ほどすると前にいた人は後ろで待っていた人に場所を譲ります。どのロシア人も必ず譲るのです。ですから人だかりでも後ろで待っていればすぐに前に出してもらうことができるのです。そして譲ってもらった自分は今度はやはり1~2分で次の後ろの人に譲るわけです。こういったことは札幌や大阪では全く無理な話です。なにしろ何十分も何時間も前を占領して他人には譲らない人がほとんどなのです。仮に譲っても、その譲られた人が今度は何十分も何時間も次の人には譲らないわけです。一度場所を譲ったらもう二度と前には出られないという気持ちからでしょう。
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ゲルダ(2014年9月12日撮影 於 ノヴォシビルスク動物園)

ホッキョクグマの赤ちゃんを気持ちよく見たいと思ったらやはりロシアの動物園でしょう。個性豊かで素晴らしい母親たちが何頭もいるわけです。もう何度ご紹介したかわかりませんが、このモスクワ動物園の赤ちゃんの戸外登場のシーン、こういったホッキョクグマ親子の意思に全てを委ね、そしてそれを見守る人々の表情のおおらかさはロシアでなければできません。札幌や大阪では全く見ることも味わうこともできない素晴らしい雰囲気です。



実は私は昨年訪問した動物園の中で最も訪問回数の多かったのは何とモスクワ動物園(9回)だったということです。それだけ気持ちの良い場所であるということなのです。

(過去関連投稿)
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のゲルダの出産準備に給餌量が増加 ~ 「小さな正義」が通じぬ国の魅力
モスクワ動物園の親子の戸外初登場のシーンを振り返って ~ 人間とホッキョクグマのおおらかさ
ロシア・ノヴォシビルスク動物園でホッキョクグマの赤ちゃん誕生! ~ やはり出産していたゲルダ!
by polarbearmaniac | 2016-02-21 13:00 | Polarbearology

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